Basic Informations:
- Subject ID:
- #14745
- Subject Name:
- 常勝無敗の[削除済み]
- Registration Date:
- 1974-09-04
- Precaution Level:
- Level 4
案件#14745の情報の閲覧は、案件担当者であるLevel4管理者権限が必要となります。当案件と関わりの無い、若しくは当案件から外れる事が決定した局員に対しては記憶処理が実施されます。当報告書の情報のクリアランス外への意図的な漏洩は管理局の定める第一級情報規定違反と認定されます。
Handling Instructions:
新たに発見された種族#14745が関わる記録は、案件担当者へ報告し、情報課により異常の無い欺瞞情報へと置換して下さい。欺瞞情報の内容は、情報自体の秘匿、種族の差し替え、記録・情報を否定する情報の追加を行い、種族#14745の実在を完全に秘匿してください。情報の目撃者に関しては、基本的にカバーストーリーを適用し、それが困難である場合には記憶処理が許可されます。
現在までに、一般の管理下にあった種族#14745に関する収容、記憶処理はほぼ終了しています。野生の種族#77860についても、本来の棲息地が人の手が入り難い土地であった事が幸いし、一般の活動圏からの隔離が完了しています。収容された種族#14745は管理局保有の隔離地域[データ開示にはLevel4管理者3名の許可が必要]にて[削除済み]体が棲息しています。繁殖を抑える管理方法により10年後までに[削除済み]体までの個体数減少が見込まれています。
管理局における徹底した情報管理によりカバーストーリー「[削除済み]は実在しない」は効果的に適用されています。管理局の試算では、この収容方法を継続的に適用することで、今後30年以内に#14745の実在性は完全に秘匿され、一般には伝承上の携帯獣、通称「幻のポケモン」として扱われるようになると目されています。
Subject Details:
案件#14745は、種族#14745の戦闘行為の結果に関する異常性とそれに掛かる一連の案件です。
1974年8月、携帯獣の戦闘について研究中のT教授がリーグ公式戦のデータの編纂中に種族#14745の公式戦における勝率が100%という結果になってしまうことに気付きました。T教授は当初、自身の集計ミスだと考えましたが、データを精査した結果、その情報に間違いが無いことが判明しました。T教授は管理局に対しての通達と、種族#14745に関するデータの開示を求めました。管理局における実験の結果、種族#14745自体に異常性ありと判断され、案件の立ち上げが決定されました。T教授には記憶処理が施され欺瞞情報に置換したデータが渡されました。
種族#14745は肉体的組成、携帯獣向けのデバイスでのスキャン共に、一般的な携帯獣として問題の見られない携帯獣の一種族です。種族#14745の異常性は自身が関わった戦闘結果の記録が全て種族#14745側の勝利とされている点にあります。以下は種族#14745に対する実験の記録です。
[実験#14745-1]
1974-08-28
実験内容:種族#14745個体と管理局員の所持する携帯獣(ラッタ:Lv36:♀)との戦闘実験
実験結果:種族#14745個体の勝利。ラッタは種族#14745個体に対して有効的な攻撃を与える事が出来なかった。
[実験#14745-2]
1974-08-28
実験内容:種族#14745個体と属性相性の悪い携帯獣[削除済み]との戦闘実験
実験結果:種族#14745個体の勝利。[削除済み]は種族#14745個体に対して有効的な攻撃を与える事が出来なかった。
[実験#14745-3]
1974-09-02
実験内容:種族#14745個体と[削除済み]との戦闘実験。種族#14745個体側のトレーナーは種族#14745個体に何もしないように指示
実験結果:種族#14745個体の勝利。種族#14745個体はトレーナーの命令を無視した。
[実験#14745-4]
1974-09-04
実験内容:種族#14745個体と[削除済み]との戦闘実験。種族#14745個体は実験に先んじて睡眠薬を投与されている。
実験結果:種族#14745個体の勝利。種族#14745個体は戦闘開始と共に覚醒し、戦闘終了と同時に睡眠状態へ陥った。この時点で案件の立ち上げが決定された。
[実験#14745-5]
1974-09-07
実験内容:種族#14745同士の戦闘実験。#14745-A、#14745-Bとナンバリング
実験結果:#14745-A及び#14745-Bの勝利。実験参加者及び記録を参照した者は「#14745-Aも#14745-Bも両方勝利している」と証言。結果が矛盾している事に関しては、他者に指摘されるまで全員がその矛盾を認識していなかった。
[追記]
実験#14745-5の実験結果に関して、実験担当者は「判別不能と記載したにもかかわらず「#14745-A及び#14745-Bの勝利」という文章に置き換えられていた。」と主張しました。その結果、「種族#14745は戦闘に必ず勝つのではなく、自身が関わる戦闘の記録及び記憶を「種族#14745の勝利」に書き換えている」という仮説が立てられました。
仮説検証の為、今までの実験結果を洗い直した所、これまで全ての実験結果において戦闘終了後の種族#14745個体は回復装置使用の申請が出されているのに対し、対戦相手に関しては回復装置使用の申請が出されていない事が判明しました。現在この仮説が最も有力であると目されています。
この事実に対して、気付いた局員が指摘するまで誰一人としてその矛盾点に気付いていなかったことから、種族#14745の異常性は認識災害を含んでいると推測されます。これは、今まで種族#14745の異常性が一般に露見しなかった事への論拠ともなります。
[実験#14745-6]
1974-09-13
実験内容:種族#14745が勝利したという情報の改竄。文書訂正、データ改変、スクリプトによる自動文章差し替えなど
実験結果:全て失敗。書面、データ上共に改竄は即座に訂正され、スクリプトは機能しなかった。
現在、種族#14745の異常性は「自身が関わる戦闘の記録及び記憶を「種族#14745の勝利」に書き換える」事であると目されています。
この異常性の影響下においては、例え自分の所持する携帯獣が全くの無傷であったとしても自身が敗北したと認識し、それ以上の戦闘を行わなくなります。この異常性が悪用された場合、携帯獣を用いた警備や哨戒は意味をなしません。また、この異常性の情報が一般に漏洩した場合、異常性を悪用しようとする者達による種族#14745の乱獲、及び「ポケモンバトル」という競技自体への深刻な影響などが危険視されています。
そのため管理局では種族#14745自体を人類から隔離し、種族#14745を保護するという収容方法を取る決定がなされました。現在では野生及び人の管理下にあった種族#14745は全て収容済みですが、情報の漏洩の危険性は常にあるものと考え、警戒レベルの引き下げは行われません。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。