Basic Informations:
- Subject ID:
- #114118
- Subject Name:
- 不思議のダンジョン
- Registration Date:
- 2006-03-01 12:23:22
- Precaution Level:
- Level 2
Handling Instructions:
案件#114118を発見したと供述する人が現れたら、必ず詳細を尋ねるようにしてください。尋ねる際は、くれぐれも発見者の発言内容を否定するようなことはしないでください。発見者がヒステリックを起こす可能性もあります。
発見者の発言内容は全て録音及び記述をし、保管するようにしてください。録音された内容を確認したい場合は、案件担当者の許可を取ってください。録音と記述内容に異なる点があった場合、案件担当者に報告、及び記述を修正するようお願い致します。
他の案件と比べて案件#114118の特異な点は、全て供述者の妄想か夢である可能性も高いということです。事実なのか明確に分かるまでは、安易にレベルの引き上げは行わないようにしてください。
局員が案件#114118を見つけた場合、直ちに案件担当者及び局長に報告してください。決して案件#114118の中には入らないでください。ひとまずその場から離れ、身の安全を確保してください。
Subject Details:
案件#114118は、近年目撃情報が現われた異常な場所と、それに掛かる一連の案件です。
2005年11月頃、「不思議な場所を発見した。案件にして欲しい」という電話が管理局本部に寄せられました。発見者の話を詳しく聞くと、「ポケモン達がまるで人間のような生活をしている場所に迷い込んだ」とのことでした。発見者は酷く恐怖におびえている様子でした。
これ以降、このような「ポケモンが人間紛いの生活をしている」という場所を発見したと供述する人が、続けざまに複数現れました。
案件#114118が現れたと言っている場所は実に様々で、トンネルを潜った先にあったという供述もあれば、気がついたらそこにいた等という供述もありました。しかし局員がその場所へ向かうと、人間紛いの生活をしているポケモンはどこにもいませんでした。このことから、供述者の夢か妄想である可能性も高いとみています。しかしどの道夢であるとしても、なぜ急にこのような夢を見る人が増えて管理局に連絡するようになったのか、という謎が残ります。
発見者は全員、案件#114118のことを「不思議のダンジョン」と呼称しておりました。全員決まってそう呼んでいるのは、何かファクターがあるのではないかと思われます。しかし、それが何かは全く分かっておりません。発見者の供述からもそれは読み取れませんでした。こちらはかなり重要なことである可能性も高いので、今度重点的に調査をしていく予定です。
以下に、発見者と局員の会話の一部を纏めてあります。
発見者#114118-1
「なんか、ポケモンが人間のような暮らしをしていて、とても異様でした。彼らは全て、人間の言葉を話していました。しかも、かなり流暢に会話していて驚きました。周りには、たくさん立派な家も建っていました。ポケモン達が建てたんでしょうか。お店とかカフェみたいなものもあって、そこでポケモンが店員をやっていました。ポケモンがこんなことをしているなんて信じられない。あそこは不思議のダンジョンです」
発見者#114118-2
「あの場所は、とても不思議で恐ろしかった。人間のような暮らしをしたポケモンがたくさんいた。しかも、ポケモン達は人間の俺を見た瞬間、一斉に襲いかかってきたんだ。俺は何とか逃げてこれたが、一歩遅かったら殺されていたかもしれない」
「本当に襲いかかってきたんですか」
「本当だ。襲ってきた理由は分からない」
「人間だからなのでは?」
「たぶん違う。あいつらは明らかに自我を失っていた」
「自我を失っていた?」
「本当に奇妙な所だ。あそこは不思議のダンジョンだ」
発見者#114118-3
「不思議のダンジョンは、時間によって地形が変わるんだ」
「地形が変わる?」
「私はあの場所から早く出たかったのに迷ってしまったんだ。彷徨い歩いて、私はもう一度同じ地点に立った。そしたら、地形が変わっていることに気がついた」
「具体的にはどこが変わっていたんですか」
「大きな石の転がっている場所が左にずれていた」
「……それは地形が変わったとは言えないのでは?」
「違う! 地形が変わったんだ! 早く案件にしろ!(証言者はこれ以降怒鳴り散らしており、聞き取ることができませんでした)」
発見者#114118-4
「あまりに衝撃的で、私は気絶してしまいました。目が覚めると、なぜか不思議のダンジョンの入り口にいたんです」
「誰かが運んでくれたんでしょうかね」
「さあどうでしょう。でも、あの場所にはポケモン以外いなかったし、あの恐ろしいポケモン達がそんなことするとはとても思えません」
発見者#114118-5
「目が覚めたら、僕はあの場所にいたんです。思わず怖くなって、僕は大声で叫びました。そしたら、ポケモン達が一斉にこっちに群がってきたんです。その後は、覚えていません」
共通しているのは、「不思議のダンジョン」と呼称していること。ポケモンが人間のように暮らしていたと供述していること。この場所に強い恐怖を抱いているということです。
なお、現在案件#114118のSubject Nameを「不思議のダンジョン」にしておりますが、こちらは今後変更する方向でいきます。不思議を解明するのが我々の仕事である以上、名称に「不思議」と付けるのは些か安直で不適切であると考えました。
本局では今後も、案件#114118に関して調査を続けていきます。
なお、発見者の話の中から、個人的に一つ気になることがありました。
その発見者によると、不思議のダンジョンには「例の不思議な地帯について情報があればこちらへ」という張り紙が張ってある建物があったそうです。
この「不思議な地帯」というのが、いったいどこを指しているのか、そして、この建物がどういう所なのか、現在さっぱり分かっておりません。まず、案件#114118を見つけないことには始まりません。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。