Subject #95879

Basic Informations:

Subject ID:
#95879
Subject Name:
サニーゴの報復
Registration Date:
2000-05-20
Precaution Level:
Level 4

Handling Instructions:

事象#95879の発生条件が満たされたことを確認した場合は、可能な限りの資源を投じて対象#95879を保護するよう努めてください。案件担当者は、対象#95879を保護するためであればどのような資源の利用申請であっても認められることになっています。これまで発生した事象#95879においては、いずれも最終的に対象#95879の保護に失敗し、対象#95879の死亡という結末に至っています。一度でも対象#95879の保護に成功した場合は、その際に執られた措置及び利用された資源について、可能な限り詳細に記録してください。

確認されたすべての事象#95879において、携帯獣#95879群への攻撃は事実上意味を成さないことが分かっています。案件担当者は携帯獣#95879群への攻撃を避け、対象#95879を保護することに注力してください。携帯獣#95879群へ攻撃を加えた場合、攻撃者が対象#95879と共に携帯獣#95879群による侵襲を受ける虞があります。必要以上の損失/損害を避けるためにも、携帯獣#95879群に対する攻撃、特に武器を用いた攻撃は行わないでください。

Subject Details:

案件#95879は、特定の条件を満たした場合に発生する異常な事象(事象#95879)と、その際に出現する共通した特徴を持つ大量のサニーゴ(携帯獣#95879)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

本案件を当局が知るところとなったのは、1999年5月下旬に発生した大手新聞記者の不審死事件について警察機関と共同で捜査を行っていた最中のことです。全身に幾つもの切り傷が刻まれ、さらに死亡後も執拗に殴打した形跡が見られるという被害者の異常な死亡状況から、当初はリベラル的な新聞社の方針と対立する過激な思想の持ち主による猟奇殺人事件との見立てがなされました。捜査は警察機関の手に委ねられ、当局は必要に応じて協力する形となりました。

しかしながら翌年4月下旬、別の大手新聞社の男性社員がカントー地方セキチクシティ第六支局へ出頭し「同業者がサニーゴに殺された、次は自分の番だ」と錯乱した様子で訴え出てきました。局員が男性を保護して事情を聴取したところ、男性は昨年死亡した新聞記者と個人的な交流があり、死亡する一ヶ月ほど前から「あちこちでサニーゴを見掛けるようになった」「サニーゴが自分を監視しているような気がする」と訴えていたことが明らかになりました。その後この男性も最近になってサニーゴを目撃するようになり、身の危険を感じて当局へ保護を申し出たとのことです。局員は上席と協議の上、男性を拠点内にある高セキュリティの収容室へ匿うことを決定しました。

1999年5月15日までは大きな動きは見られませんでしたが、5月16日になって拠点の敷地内でサニーゴが散発的に確認される事案が複数発生、その都度敷地外へ退避させる措置が執られました。しかしながらサニーゴの数は時間を追うごとに増加し、どこから侵入しているのかも定かでないため対症療法的な方策しか採ることができず、5月18日夕刻時点で拠点内にはおよそ240体のサニーゴが出現している状態になりました。

この時出現したすべてのサニーゴは局員には見向きもせず、男性が収容されているフロアを目指し続けていました。男性を別の場所へ移動させる試みもなされましたが、拠点全体がサニーゴに包囲されている状態であり、脱出は既に困難な情勢でした。襲撃者であるサニーゴは携帯獣の局員による攻撃や銃火器を使用した攻撃により一時的に足止めをすることはできましたが、どれだけ負傷してもサニーゴは意に介さず前進し続け、完全に停止させることはできませんでした。最終的には男性のいる収容室へ180体ものサニーゴが一斉に押し寄せるという事態になりました。20名以上の局員による抵抗をすべてはね除け、最終的にサニーゴの集団は男性を惨殺しました。

1999年5月のインシデントを受け、事故調査委員会が設置されました。委員会による調査により、この事象が当局にて管理すべき異常事案に当たるとの結論が出され、正式な案件化が提起されました。また調査の過程で類似した事案についてもさらなる追求が行われ、当局が関与するかなり以前から事案が発生していることが判明しました。調査委員会により事象及びサニーゴについての異常特性が改めて整理され、文書としてまとめられました。

事象#95879は、過去一年以内に発生した虚偽報道に深く関わる、あるいは直接関与した人物(対象#95879)に対して、概ね翌年の4月下旬から5月下旬にかけて発生する原理不明の異常な事象です。「虚偽報道」の範囲は正確には分かっていませんが、現時点では「明確な意図に基づく虚偽の報道」が該当すると考えられています。結果として誤報となった場合に事象#95879の発生条件を満たすのかは、事例の少なさから明らかになっていません。

事象#95879の概要は、後述する異常な特性を持つサニーゴ(携帯獣#95879)が大量に出現し、対象#95879を集団で暴行して死に至らしめるというものです。携帯獣#95879は4月下旬に入ったタイミングから徐々に対象#95879の周囲に出現しはじめ、5月中旬までその状態を継続します。これまでの調査で、概ね5月16日頃から携帯獣#95879が攻撃を開始し、5月18日から19日に掛けて攻撃が激化し対象#95879を殺害するに至るという流れがあることが分かっています。対象#95879の殺傷に際しては本来のサニーゴ由来の技能はほとんど使用されず、単純な殴打や切創を伴う打撃が用いられることが大きな特徴です。

携帯獣#95879は、異常な特性を持ったサニーゴです。この個体群の特徴として、角の一部が破損している、水晶体が白濁している、身体の一部が変色している、あるいは四肢に異常があるなど、身体に何らかの欠損または汚損が必ず見られます。携帯獣図鑑などのデバイスは携帯獣#95879を例外なく「サニーゴ」と認識しますが、概ね温厚で穏やかな性質を持つ通常個体とは大きく異なり、携帯獣#95879はとても敵対的です。対象#95879を殺傷することのみを目的としているようであり、それ以外の存在にはほとんど興味を示しません。対象#95879を殺傷するに辺り邪魔であると判断した場合は、対象#95879に対してほどではありませんが、積極的に攻撃を仕掛けてきます。

こちらからの攻撃で携帯獣#95879にダメージを与えることは不可能ではありませんが、一般的な個体と比較して異常と言うべきレベルで高い耐久力を持ち、さらにサニーゴ由来の自己再生能力を持つために、駆逐/殲滅は現実的な選択肢ではありません。最終的に対象#95879の死亡が確認された時点で携帯獣#95879の目的は達せられるものと想定され、その後速やかにその場から撤退します。この時捕獲された個体についても24時間以内に必ず消失し、行方を追跡することはできません。

何らかの未知の原理により、携帯獣#95879は少なくとも地球上のあらゆる場所に移動、または出現できる可能性があります。1999年5月のインシデントでは、携帯獣#95879が外部から拠点へ侵入した形跡がほとんど見られないにも関わらず、最終的にのべ268体の携帯獣#95879が確認されました。このことから局員の間では、携帯獣#95879は異次元/異空間と呼ぶべき領域を移動し、任意の場所へ出現できるとの見方が示されています。

事象#95879及び携帯獣#95879が確認された最古の事例は、1990年4月のことです。それ以前に事象#95879及び携帯獣#95879が関与していると推定される事件は、これまでのところ一切確認されていません。調査委員会では、傷付き汚れたサニーゴが多数出現するという特徴的な事象から、1989年4月から5月にかけて発生した大手新聞社による虚偽報道事件が事象#95879の起源になったのではないかという仮説を提唱しています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。