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#86211 マリルが流す油

Basic Informations:

Subject ID:
#86211
Subject Name:
マリルが流す油
Registration Date:
1997-04-27
Precaution Level:
Level 2

Handling Instructions:

オブジェクト#86211は、ホウエン地方トクサネシティ第一支局にある大収容室に収容されています。案件担当者は日々オブジェクト#86211の状態を観察し、詳細についてレポートを記述するようにしてください。3日に1度(1997-03-01時点で「5日に1度」から改訂)清掃担当者が収容室を清掃し、収容室に堆積した分泌物#86211を回収してください。分泌物#86211は鋼鉄製のタンクに保管し、必要に応じて拠点内の燃料として使用することができます。分泌物#86211は引火しやすいため、不用意に火気へ近付けるような行為は避けてください。

Subject Details:

案件#86211は、自然死したマリルの遺体のように見える物体(オブジェクト#86211)とそこから分泌される油のような液体(分泌物#86211)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

1996年12月16日、周辺海域で漁に従事していた海女のひとりが、海面に浮かぶマリルの遺体を発見しました。遺体の周辺に油のように見える液体が浮かんでいたことから、当初マリルは船舶から漏洩した燃料を摂取したことによって中毒死したものと考えられていました。その後、発見者である海女はマリルの遺体を海岸へ移動させ、ポケモンセンターへ引き取りを要請しました。要請を受けて駆けつけたポケモンセンターの職員が通常の手順に沿ってマリルを検分したところいくつかの不審な点が見つかり、当局の窓口担当者へ通報しました。局員はマリルを回収しトクサネシティ第一支局へ移送、その後の観察といくつかの実験を経て、案件の立ち上げが決定されました。以後、マリルの遺体はオブジェクト#86211として管理されることとなりました。

オブジェクト#86211は、外見上♂のマリルの遺体のように見える由来不明の物体です。身長/体重については平均的なマリル個体と矛盾のない範囲にありますが、携帯獣向けのデバイスはこれまでのテストにおいて例外なくオブジェクト#86211を「コリンク」と判定しています。データ化による完全スキャンは、未知の原因により対象の符号化が必ず失敗に終わるために未だ実施できていません。各種デバイスがオブジェクト#86211をコリンクと判定する理由については、現在も正確な原理が判明していません。生体サンプルを取得しての検査は、後述する特性により不可能と推定されています。

オブジェクト#86211の顕著な異常特性のひとつとして、マリルの尻尾に相当する球体から、常に油のような液体である分泌物#86211が滲み出ていることです。分泌物は1時間につきおよそ0.06リットル(1997-02-28までは、1時間に付きおよそ0.035リットルでした)分泌され、そのペースは多少の上下こそ見られますが概ね一定です。これは本来の異常性のないマリルの尻尾に充填されている液体と類似した性質を持ちますが、相違点として可燃性で極めて引火しやすく、高いエネルギーを持っていることが分かっています。

分泌物#86211の特異な性質は、オブジェクト#86211を驚異的な速度で修復するというものです。当局の実験では、生体サンプル取得のためにオブジェクト#86211の右脚を切除したところ、周辺の分泌物#86211が切断面付近に集中し、およそ20分で完全に元の状態まで修復したという事象が記録されています。この時、切除された右脚は直ちに分泌物#86211へ変化し始め、こちらは約7分で完全に分泌物#86211へ変貌を遂げました。切除したサンプルが極めて短時間で分泌物#86211へ変質してしまうという性質から、オブジェクト#86211の生体サンプルを得ることには成功していません。

採取した分泌物#86211が高いエネルギーを持つことから、支局では熱源としての利用可能性を実験中です。この実験を通してある程度の安全性を確保できた場合は、ホウエン地方トクサネシティ内の各支局においても同様の実験を行う計画が策定されています。

[1998-03-01 Update]

収容室を確認した担当者が、オブジェクト#86211が分泌する分泌物#86211の量が明らかに増加していることを指摘しました。これは1997-03-01にも確認された事象です。清掃のペースについては「3日に一度」から変更はありませんが、オブジェクト#86211の状態についてはより注意深く観察する必要があります。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。