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#105833 廃棄された施設

Basic Informations:

Subject ID:
#105833
Subject Name:
廃棄された施設
Registration Date:
2003-07-16
Precaution Level:
Level 1

Handling Instructions:

施設#105833の周囲、半径500mは「人体並びに携帯獣に対し有毒性のガスが充満している」とのカバーストーリーが流布され、周囲に当局と無関係な市民が侵入しないための施策が取られています。施設#105833周辺は物理的に進入が困難であり、警備は最小限に止められています。かつて施設#105833内部からは種々の通信を妨害する電波がごく狭い範囲に対し発信されていましたが、現在はすべて停止しています。施設#105833内は既に全域の探査が完了しており、案件担当者は作成済の地図を適切なセキュリティクリアランス保持者に提供することが許可されています。

施設#105833は既に全セクションが稼働を停止しており、異常なオブジェクトが生産されることはありません。施設#105833にて収集されたすべての情報はアーカイブされ、対応するセキュリティクリアランスを保持する局員であれば内容を閲覧することが許可されています。施設#105833より回収された非異常のオブジェクトは、ホウエン地方フエンタウン第二支局に隣接する低異常性物品保管庫のブロックB-6の耐火性金庫に集積されています。オブジェクトを研究目的で使用したい場合、案件担当者並びに拠点監督者から事前の許可を得てください。

本稿執筆時点における当案件の対応方針は、かつて施設#105833を制御していたと思われるサーバーコンピュータ群(機器#105833に指定)の捜索に焦点が当てられています。機器#105833は施設#105833内の全機能を制御していたと考えられ、その性能について強い異常性の疑義が呈されています。機器#105833が破壊された有力または完全な証跡が発見されるか、機器#105833を当局が確保するかのいずれかの条件が満たされるまで、本案件は警戒レベル「1」のまま保持されます。

Subject Details:

案件#105833は、稼働を停止した工場と見られる施設(施設#105833)と施設#105833に設置されていたと推定されるサーバーコンピュータ群(機器#105833)、及びそれらに係る一連の案件です。

施設#105833は2003年5月初頭に当局のフィールドワークチームによって発見され、初期調査により種々の異常性が見られたことから速やかに当局の管理下に置かれました。本来の土地所有者とは連絡を取ることができませんでした。少なくとも五年以内に人間や携帯獣が立ち入った形跡がないことから、施設#105833は放棄されて相当な時間が経過しているものとの推測が立てられています。

施設#105833はホウエン地方フエンタウン北部の山間部に建造された、由来及び目的が不明の工業施設です。施設#105833は山林の奥地に存在し、周囲約700m×700mはすべての木々が伐採されています。地上3階建て、地下6階建ての構造をしており、内部探査により完全な地図が作成されています。一部区域では設備の不良により人体及び携帯獣にとって有毒な物質が漏洩しているため、探査に際してはレベル3対バイオハザードスーツの着用が義務付けられます。

地上部分は事務作業並びに軽作業を行うためのフロアとなっており、休憩室や仮眠室と見られる部屋も確認されています。地上1階部分には「サーバールーム」と表札の付けられた部屋が存在しますが、該当する部屋はすべての機器や用具が撤去されており、サーバーコンピュータの存在は確認できませんでした。事務作業を行うフロアには複数台のコンピュータ端末が残されていましたが、それらはいずれも物理的に損壊されており、またすべての筐体からハードディスクドライブが抜き取られていました。

地下部分は合計26のセクションに分かれています。セクションごとに形状の異なる鋼製の部品を製造していた形跡が見られます。全26セクション中15のセクションからほぼ完全な部品が回収されていますが、部品を組み合わせた最終的な完成形がどのようなものかは明らかになっていません。回収された部品の量から、最終製品は量産を前提として設計されていたことが伺えます。これまでのところ、施設#105833から回収された部品が使用された製品が市場に流通した記録はありません。

地下6階に存在する大広間は、発見時に入り口となるドアがロックされていた唯一のフロアです。位置及び周辺の証跡から、高セキュリティエリアと推定されるセクションになっています。内部には合計52台の培養カプセルが存在し、その全台が破壊されていました。カプセル内部には白骨化した携帯獣の遺体(遺体#105833-1から-52と指定)が残されていました。遺体#105833の種族特定はすべて完了しています。詳細はリストL-105833-4を参照してください。遺体#105833の中に同一の種族は存在せず、また同系統の種族も存在しませんでした。分類や本来の生息地にも規則性は確認されていません。カプセルは中央に存在する大型の装置にケーブルで接続されていますが、装置は人為的に破壊されています。破壊するにあたり、小規模な指向性爆薬が使用されたものと推定されています。携帯獣を収容していたカプセルがどのような機能を果たしていたのかは分かっていません。

内部の配線を辿ると、最終的にすべてのケーブルが地上1階のサーバールームへ接続されていることが分かります。このことから、サーバールームに配置されたコンピュータが施設#105833全域を制御していたものと考えられています。サーバールームには物理的破壊の痕跡が見られないため、何者かがサーバールームに存在した機器を持ち去ったことが示唆されています。施設#105833に関する情報が含まれる可能性が高いことから、当局ではサーバーコンピュータ群を機器#105833と指定し、現在も捜索を続けています。

[2016-02-15 Update]

イッシュ地方ライモンシティ中央図書館の書庫に所蔵されていた書籍に、施設#105833より回収された部品群とすべて合致する特徴を持つ携帯獣のイラストが収録されていることが確認されました。書籍には携帯獣の正式な名称は不明であるとしつつも、人間の手で製造された古代の携帯獣であるとの説明が記載されています。書籍の著者とコンタクトを取る試みが続けられています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。