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#107063 量産型食用カモネギ

Basic Informations:

Subject ID:
#107063
Subject Name:
量産型食用カモネギ
Registration Date:
2003-12-06
Precaution Level:
Level 2

Handling Instructions:

対象となるカモネギの変異体を発見した場合は速やかに確保し、急を要する状況でなければ市販されている標準的なモンスターボールに収容した上で、カントー地方ヤマブキシティにある管理局のバイオリサーチセンターまで輸送してください。対象はこれまでのところ明確な攻撃の意志を見せたことが無いため、モンスターボールへの収容は容易です。また前述の通り市販品のモンスターボールで対応することが可能なため、管理局保有の対有異常性携帯獣用の専用ボールを使用する必要はありません。ただし、手元にボールのストックが無い場合や確保に緊急を要する場合は、特に許可を得ず専用ボールを使用しても構いません。

2005年現在、本案件で取り扱うカモネギの変異体はほぼ根絶されていると見られています。管理局による広報活動の結果からか、生産元/製造元による市場への流通はほぼ停止しています。現状では、過去にカモネギが流通した実績のある市場をターゲットとして、残された在庫が放出されていないかの監視が主要な取り組み方針になっています。管理局が保守している一覧にリストアップされた掲示板やブログを巡回し、「カモネギの安売り」といったキーワードで変異体が販売されていないかを確かめてください。

バイオリサーチセンターに在籍する局員は、対象となるカモネギとの接触時にレベル1対バイオハザード用スーツの着用が義務付けられます。確保されたカモネギは、これまでのところモンスターボール外で72時間以上生存することができておらず、生きている個体の研究活動を行う場合は事前に必要な手続きを済ませておく必要があります。死亡した個体のサンプルは既に十分確保できているため、死体は通常の廃棄物処理手順に沿って処分してください。

このカモネギを生産/製造していたと推定される「アムリタ・ファウンデーション」とのコンタクトを試みてください。現在までに得られた証拠から、アムリタ・ファウンデーションが少なくとも何らかの形で本件に関与していることは確実視されています。必要に応じ、非致死性の武器を用いた確保・拘留も認められます。

Subject Details:

案件#107063は、通常の個体とは顕著な違いを見せる異常なカモネギの個体群と、それに掛かる一連の案件です。非異常性のカモネギは本案件の取扱対象ではありません。

通常、このカモネギは途上国や貧困国に「新鮮な食肉の提供」という形で大量に持ち込まれ、無償かまたはそれに近い極端な安価で市民に配布/販売されます。初期の段階では先進国での出現は認められませんでしたが、末期には在庫処分という形式をとってしばしば辺境の都市で販売が確認されています。いずれの場合も、提供されるカモネギの特徴は一貫しており、そして一貫して異常です。

カモネギは一見したところ通常の個体と相違していないように見えますが、自発的に動くことがほぼありません。最小限の生命活動を除いては、身体機能そのものを停止させていることが分かりました。視覚や聴覚は機能しているようですが、何らかの指示や呼びかけに応答することはほとんどありません。食事や睡眠といった基本的な生命活動さえ行わないため、静止状態となるモンスターボールに収容していない限り、72時間以内に栄養失調または脱水症状で衰弱死します。

基本的に指示命令に応答しないことは先述した通りですが、わずかながら例外もあります。例外の一つは「戻れ」という指示で、この指示を受けた個体は速やかに何らかの形で「戻ろう」とします。戻る先は、自分に紐付くモンスターボールがあればそれを最優先し、なければ直近で住処や戻るべき場所と想定される場所になります。

もう一つの例外は「準備しろ」というものです。「準備しろ」という命令を受けたカモネギは保持しているクキを使い、自分自身の首を切断して自殺します。この時躊躇などはまったく見られず、自殺は常に一回で確実に成功します。自殺してから3分以内に、カモネギからすべての羽が抜け落ちます。この段階で、「準備しろ」という命令に対するカモネギの行動は完了したと見られています。

通常のカモネギと同様に、このカモネギも食肉に適した身体構造を持ちます。先述した「準備しろ」という命令に対する自殺と抜羽は、おそらくカモネギの生体を食材とするための「準備」を指すものと推定されます。しかしながら後述する理由により、このカモネギを食べることは絶対に避けるべきです。

死亡したカモネギの細胞を分析したところ、依存性のある麻薬物質が含まれていることが発覚しました。これは異常性の無いカモネギの個体にも微量に含まれているものですが、異常性のある個体の含有量は通常のおよそ800倍と極めて多量です。この物質が含まれる食物や飲料を長期に渡って大量に摂取し続けた場合、最終的に重度の依存症に陥る虞があることが分かっていますが、本案件で取り扱うカモネギの場合、わずか1kgほどの摂食でほぼ回復不能な依存症に陥ります。

これまでに実施されたカモネギの配布イベントを追跡し、配布に際して主導的な立場にある「アムリタ・ファウンデーション」という組織の存在を突き止めました。アムリタ・ファウンデーションは、声明によると「世界のあらゆる地域への食糧供給による人道的支援」を目的とする非営利団体です。慈善団体を自称していますが、その活動内容には不明瞭な点が多々あり、実態としては人道支援を装った営利行為が目的と見られています。

アムリタ・ファウンデーションが異常なカモネギをどのような手段で確保しているのかは不明ですが、その特異な性質上、カモネギは工業的な手法で「製造」されているか、或いは何らかの方法で不法にデジタルコピーされた個体を実体化しているものと考えられています。

本案件で危惧すべきは、カモネギの異常個体が齎す重篤な依存症そのものに加え、異常性の無いカモネギが乱獲されていることです。カモネギは元々携帯獣の中でも希少な食肉可能な種として知られていましたが、本案件で依存症を容易に誘発する異常個体が拡散されたことによって、カモネギの肉の需要が急激に高まりました。結果としてカモネギが乱獲され、生息数を激減させるに至っています。

管理局では、2002年より各国の政府機関と連携したアムリタ・ファウンデーションの活動に対する告発キャンペーンを繰り返し実施し、各地域における異常個体の配布を未然に阻止する状況を作り出すことに成功しました。これに伴いカモネギを用いた利益創出が困難になり、同団体によるカモネギの異常個体の生産及び拡散は既に停止されたものと見られます。管理局では原状回復の施策として異常性の無い個体を積極的に保護すると共に、優秀なポケモンブリーダーと個別契約を結び、通常個体の繁殖活動を支援しています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。