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#109827 攻撃的なボイスレコーダー

Basic Informations:

Subject ID:
#109827
Subject Name:
攻撃的なボイスレコーダー
Registration Date:
2004-10-20
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

これまでに回収された機器#109827は、各拠点に用意した耐火性の金庫へまとめて保管してください。保管する際は機器ごとにラベリングをして、それぞれを識別可能な状態にしておくことが望ましいです。機器#109827は外観とは異なり動作に一切の電力を必要としないため、仮に電池を抜いた状態であっても起動を試みるべきではありません。機器#109827が起動されているかは、本体前面上部にある電源ランプにより確認することができます。

家電量販店や、小規模な電器店を備えるデパート/ショッピングモールを定期的に巡回し、既存の商品に混合させる形で機器#109827が販売されていないかを確認してください。通常、機器#109827は店舗の従業員に無断で配置されており、正規の経路で入荷されることはありません。発見した場合は速やかに店舗責任者へ連絡し、在庫も含めたすべての機器#109827を接収してください。

Subject Details:

案件#109827は、録音した音声にある一定の指向性を持った認知異常を引き起こす効果を付与するボイスレコーダー(機器#109827)と、それに掛かる一連の案件です。

当局に寄せられた「穏和な会話を録音したにもかかわらず、聞かせたすべての人が強い不快感を示したボイスレコーダーがある」という通報により、このアイテムの存在が認識されました。通報者からボイスレコーダーを接収して局内でテストを実施したところ、通報にあった通りの異常特性が確認できました。これにより当局は案件の立ち上げを決定するとともに、ボイスレコーダーを機器#109827として指定しました。

機器#109827は、隅にペラップのイラストが描かれた、外見上一般的なものと何ら相違の見られないボイスレコーダーです。モデルは古いもので、一見すると単三電池二本を動力源としているように見えますが、これは実際には正しくありません。機器#109827は電池がセットされていようといまいと、すべての機能を利用することができます。電池をセットして種々の動作確認を行い、その後残容量を確認したところ、電池はまったく使用されていないことが明らかになりました。

機器#109827の異常特性は、音声を録音した時ではなく、録音した音声を再生する場合に顕現します。録音された音声を耳にした人間及び携帯獣は、それがいかなる内容であろうと、非常に強い嫌悪感と不快感を覚えます。時として、ボイスレコーダーそのものや近くにいる人間/携帯獣に対する攻撃に及ぶこともあります。それらの感情は録音が終了するかあるいは中断されると即座に消失し、周囲の人間及び携帯獣は平静さを取り戻します。同時に、録音された音声を耳にした場合に想定される本来の感情と、実際に自らが抱いた感情の著しい乖離に強く困惑します。

この特性のために、機器#109827は様々なトラブルを発生させる要因となっていました。以下はこれまでに確認された、ボイスレコーダーとして機器#109827を使用したために発生した事案の一覧です。

事案#109827-1:
ジョウト地方コガネシティ在住の会社員が、商談の内容を記録するために機器#109827を使用。その後録音した音声を元に議事録を作成しようと試みたが、途中で強い不快感を覚えたため、上司に商談の中止を直訴するため席を立った直後に不快感が消失。この事に強く困惑した会社員は、自身の精神状態に何らかの問題があると考え休職を申し出ている。会社員はその後局員からの説明を受けて納得し、現在は復職している。
事案#109827-3:
ホウエン地方カイナシティ在住の女性が、帰宅してくる子供に向けて間食の置き場所を録音。帰宅した子供が機器#109827を再生したところ、著しい嫌悪感を覚えて機器#109827を破壊。その直後に平静さを取り戻し、自分の行動について整合性が取れず激しく狼狽、母親が帰宅するまでパニック状態に陥っていた。後日局員が説明に赴き再現実験を行ったことで原理を理解して納得し、破損した機器#109827を回収。
事案#109827-6:
シンオウ地方クロガネシティに立ち寄ったトレーナーが、連れていたペラップに言葉を覚えさせるためのツールとして機器#109827を購入して使用。しかしながら、録音した音声を再生した直後にペラップがひどく興奮し、機器#109827を破損させるに至った。過去の事例とは異なり、機器#109827が機能停止してもペラップの怒りは収まらず、その後2時間近くに渡って機器#109827を執拗に攻撃し続けた。

一部の局員から、機器#109827のデザイン、及び事案#109827-6で見られた事象より、機器#109827はペラップと何らかの関連性を持っているのではないか、あるいは機器#109827自体にペラップの特異な性質が一部組み込まれているのではないかといった仮説が提唱されています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。