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#111846 スペシャリスト・メーカー

Basic Informations:

Subject ID:
#111846
Subject Name:
スペシャリスト・メーカー
Registration Date:
2006-06-07
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

機器#111846は起動に必要な装置を取り外された状態で、シンオウ地方トバリシティ第七支局の中異常性物品保管庫のブロックB-4に保管されています。当該ブロックには人間の局員のみが立ち入り可能であり、携帯獣の局員は一切の例外なく進入が禁止されています。機器#111846と共に回収された文書#111846に関しては異常性が確認されなかったため、携帯獣の局員を含む案件担当者及びセキュリティクリアランスを得た局員について参照することが許可されています。携帯獣#111846については-1から-74までのナンバリングが設定され、すべてについてモンスターボールからの解放禁止措置が為されています。

機器#111846の製造元と思われる「扶桑電機工業」についての調査が進められています。かつてアムリタ・ファウンデーションに所属していた構成員より、同団体が「扶桑電機工業」と名乗る要注意団体と接触を持っていたことが明らかになっています。アムリタ・ファウンデーションは機器#111846を使用して別の異常なオブジェクトを生成している疑いが持たれており、扶桑電機工業と共に一部の案件について関連があるとの見方が示されています。

Subject Details:

案件#111846は、携帯獣の身体機能・精神機能を広範に作り替える機能を備えた由来不明の機器(機器#111846)、機器#111846の影響を受けたと推定される74体の携帯獣(携帯獣#111846)、並びに機器#111846のマニュアルと思しき文書(文書#111846)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

2006年3月16日、シンオウ地方トバリシティ近隣にて不審なプレハブ小屋の存在が確認され、翌3月17日に警察当局と共に強制捜査が行われました。プレハブ小屋からは携帯獣の格納された多数のモンスターボール/スーパーボール/ハイパーボールと共に、電源が取り外され稼働停止した状態の機器#111846が発見されました。ボール群及び機器#111846はその場で押収され、プレハブ小屋と共に当局の管理下に入りました。

機器#111846は、ポケモンセンターに配備されている携帯獣回復装置(「リカバリーマシン」として知られています)と類似した構成の大型機器です。稼働には外部電源を必要とし、通常のリカバリーマシンより容量の大きなACアダプターが取り付けられています。ACアダプターは構造上一般的なものと大きな差異は見られませんが、製造元の刻印が人為的に潰された形跡があります。機器#111846の正面には「FUSOU」と赤いセリフ体でデザインされたコーポレートロゴと思われるシールが貼付されています。

同時に回収された文書#111846には、機器#111846は「スペシャリスト」を製造するための機器であることが記されています。携帯獣が格納されたモンスターボールをセットし、文書#111846に記載された数字17桁のコードを入力することにより、携帯獣を「スペシャリスト」に変換することが可能であることが示されています。モンスターボールは同時に6つまでセットすることが可能です。また、モンスターボールと互換性のある携帯獣格納デバイスはすべて処理可能であると推定されています。

文書#111846には、目的に沿った「スペシャリスト」を製造するためのコードが計317種掲載されています。文書#111846の末尾には「追加サポート」として、文書#111846に掲載されていないさらなる「スペシャリスト」を製造するためのコード集を別料金で提供する旨の記載が見られます。連絡先として複数の営業所の電話番号が記載されていましたが、当局の調べによりこれらの番号が現在は使われていないことを確認しています。

文書#111846に従って機器#111846を操作すると、携帯獣#111846が生成されます。機器#111846及び文書#111846の回収時に合わせて回収されたモンスターボールに格納された携帯獣は、その後の調査によりすべて携帯獣#111846であることが判明しました。これらの携帯獣は概ね野生の個体と推測されますが、一部については過去に盗難届または失踪届が出されたトレーナー所有の携帯獣である可能性が示唆されています。

携帯獣#111846について情報学的検査を行った結果、ある程度の規則に基づく異常性が確認されました。すべての携帯獣は思考を行う器官、人間で言うところの脳に相当する器官が極度に萎縮しています。これは携帯獣が自発的な行動を起こすことを防止するために執られた人為的な措置と考えられています。携帯獣#111846-1から-74は例外なく、最低限の生命維持のための行動と、後述する特異な行動を除き、一般的に期待される種々の行動を取れないか、または取ることができません。

携帯獣#111846-1から-74は、各々の個体ごとに何らかの「技能」を身に着けています。例として、携帯獣#111846-16は外見上携帯獣の「プリン」ですが、一般的なプリン個体が習得し得ない高度な研削加工技術を習得しており、必要な器具/機器を与えることで数世代前の工業機械並の精度と速度で平面研削を行うことが可能です。以下は携帯獣#111846の個体と、それぞれが習得している技能の抜粋です:

[携帯獣#111846-7]

種族:チラーミィ
技能:被覆アーク溶接の技能。産業機械の溶接に特に能力を発揮。技能の発揮にはバッテリー式の溶接機を必要とする。

[携帯獣#111846-22]

種族:マダツボミ
技能:オブジェクト指向言語によるプログラミングの技能。C++のテンプレートメタプログラミングに特化し、同言語及びテンプレートメタプログラミングが許容される開発環境では極めて高い生産性を発揮。他の言語については本来の技能を発揮できず、習熟した人間にやや劣る程度の生産性に留まる。

[携帯獣#111846-24]

種族:サンド
技能:魚介類の調理技能。特に魚類を捌くことに特化している。手元に精巧に研がれた包丁が無い限り動こうとしない。条件を満たした場合、工業機械による処理と同等の生産性を発揮する。

[携帯獣#111846-28]

種族:マリル
技能:携帯獣#111846-24と同一の技能を保持。異なる種族の携帯獣であっても、入力されたコードが同じであれば同一の技能が割り当てられると推測。

[携帯獣#111846-45]

種族:エイパム
技能:塗装に関する技術を習得。一般的なプレハブ小屋程度の大きさの建造物であれば、凡そ20分で塗装を完了する技術を持つことを確認。エイパムは通常手先より尻尾の方が繊細な動きが可能であることが知られているが、当該個体は尻尾は一切使用しない。

[携帯獣#111846-63]

種族:パチリス
技能:小型電子機器の修理に関する技術を習得。確認された修理可能な機器のリストはリストL-111846-63-1を参照。修理された結果、機器が本来備えていない機能が追加されるケースが確認されている。

機器#111846による変換を受けた携帯獣は、その多くが種族的な特徴を喪失する傾向にあります。携帯獣#111846-63は外見上パチリス個体ですが、本来のパチリスが備えている発電・蓄電に関する能力が完全に失われています。これは機器#111846が「スペシャリスト」を生成するに当たり、不要と判断した能力を除去しているものと見られています。

確認された携帯獣#111846はいずれも四肢またはそれに類する器官を備えています。この事は携帯獣#111846に変換可能な携帯獣の種族が限定されている可能性を示していますが、これを裏付ける証跡は得られていません。

[2006-09-11 Update]

かつてアムリタ・ファウンデーションに所属し、当局に保護を求めて出頭した元構成員から本件についての証言が得られました。同団体は機器#111846を使用し、食用に特化した性質を持つ携帯獣#111846を生産していたとのことです。機器#111846にてオリジナルとなる個体を生成したのち、別の機器を使用して当該携帯獣#111846を大量に複写したと証言しています。証言の内容から、この携帯獣は案件#107063で取り扱われているカモネギであると見られています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。