トップページ 本棚 メモ帳 告知板 道具箱 サイトの表示設定 リンク集 Twitter

#111854 タマゴ料理専門店

Basic Informations:

Subject ID:
#111854
Subject Name:
タマゴ料理専門店
Registration Date:
2005-06-12 12:40:00
Precaution Level:
Level 2

Handling Instructions:

店舗#111854に関する情報、特に出現した地点に関する情報を収集してください。これまでに観測された出現地点は、地図-111854-1に記録されています。情報収集に際しては、特に電子掲示板の書き込みや飲食店のレビューサイトにおける評価コメントなどを積極的に記録してください。店舗#111854が供するサービスについては、これまでのところ観測された事例について強い一貫性が見られます。

店舗#111854を運営しているスタッフと思われる、参考人#111854へのヒアリングを試みてください。現時点では局員によるヒアリングは一度しか実施できておらず、参考人#111854に関する情報が不足している状態です。店舗#111854に進入することができた局員は参考人#111854へのヒアリングを実施し、店舗#111854並びに参考人#111854に関する正確な情報を収集するよう務めてください。

店舗#111854で提供される食品に関しては、現時点では顕著な異常性が見られないため、本案件の取扱対象外となっています。何らかの特異性が確認された場合、この手順については変更される可能性があります。

Subject Details:

案件#111854は、不定期かつ位置を変えて出現する料理店(店舗#111854)及びそのスタッフ(参考人#111854)、及びそれらに係る一連の案件です。

店舗#111854の存在を当局が確認したもっとも古い時期は、1996年7月21日になります。当時ホウエン地方ヒワマキシティ第四支局に勤務していた局員が、「廃屋に前兆なしに料理店が出現した」という事案について日報に記載していました。日報に記載された料理店は翌日には消失したため、本件は単発の事案として管理対象外となっていました。その後も、カントー地方ニビシティ、シンオウ地方フタバタウン、ジョウト地方ヒワダタウンでほぼ同一の事象が発生しましたが、発生地点と時期の開きのため、これらが相互に関連付けられることはありませんでした。2005年4月までに行われた未解決事案の一斉監査に伴い、「突如出現しその後消滅する料理店」という事案が各地で発生していることが発覚、案件立ち上げが決定されました。

店舗#111854は、主に放棄された建築物を乗っ取る形で出現する未知の料理店です。乗っ取られる建築物は、かつて何らかの店舗であったものが多く観測されていますが、家主が不在となった一軒家や、中断された工事現場に放置されたプレハブ小屋が対象となったケースも複数存在しています。稀な事例として、集合住宅に存在し長らく使用されていなかった集会所が乗っ取られたケースが確認されています。店舗#111854が乗っ取ることが可能な建築物の範囲は不明ですが、現時点では集合住宅の一室やオフィスビルのテナントが対象となった事例は確認されていません。また、廃校となった学校等の規模の大きな建築物が対象となった事例も未確認です。

店舗#111854の内部構造は元の建築物の形状を保っていますが、内装は常に一定の様式に作り替えられます。一般に「古びた大衆食堂」と形容されるもので、異なる所在の店舗#111854に複数回訪れたという市民からのヒアリングでも、出現地点に依らず内装のイメージは常に一貫しているとの証言が得られました。店舗#111854の内装は出現と同時に再構成されるようで、出現直後に入店した市民は店舗内部で内装工事などは行われていなかったと証言しています。

店舗#111854は一般的な大衆食堂をモチーフとしていますが、サービスとして供される料理が卵料理、または卵を使用した料理で一貫している点に特徴があります。これまでの調査で確認されたメニューの抜粋を以下に示します:

卵が含まれないメニューはこれまでに確認されておらず、すべての料理には明確に卵が使用されています。

店舗#111854にはスタッフが一人おり、スタッフ#111854に分類されています。スタッフ#111854は携帯獣の「ハピナス」と一致する外見をしており、少なくとも日本語を話すことが可能です。スタッフ#111854の発話は非常に流暢であり、一般的な高齢女性と遜色ない会話ができることが分かっています。店舗#111854にはスタッフ#111854以外の人員は存在せず、スタッフ#111854が店舗#111854におけるすべての業務を担当しているようです。

以下は、2003年10月下旬、休暇中の局員が偶然店舗#111854へ入店した際の会話を、局員の証言から再構成したものです。局員は店舗#111854について知識を持たず、単にハピナスが経営している風変わりな食堂としてしか認識していなかった点に留意してください:

局員A:
卵ともやしの炒め物をセットで。
スタッフ#111854:
はーい。ご飯は大盛りにします?
局員A:
並でお願いします。
スタッフ#111854:
はい、どうもね。ちょっと待ってくださいね。
局員A:
ハピナスのおばちゃん。このお店、一人でやってるんですか?
スタッフ#111854:
そうなんですよねぇ。昔は旦那がいたんだけど、先立たれちゃって。
局員A:
ああ、そういうことなんですか。
スタッフ#111854:
いいタマゴを産んでくれてたんだけど、歳には勝てないもんですねぇ。
局員A:
卵料理を出してるのは、そういう理由があって。
スタッフ#111854:
ええ、ええ。タマゴは栄養があっておいしい、皆さんにそう言ってもらえて、私も大分長くやらせてもらってます。
局員A:
食堂を開いて、もうずいぶん長くになるんです?
スタッフ#111854:
はい。おかげさまで。食べる物の少ない頃、もう五十年か、六十年くらい前になりますかねえ。その頃は、もっとあっちこっちでお店を開いて、たくさんお客さんに来てもらってました。
局員A:
そんな昔からやってるんですね。他の場所でも食堂を?
スタッフ#111854:
はい、どこでもね、こんな風にタマゴの料理を出してました。
局員A:
食べるものに困る人のために、食堂を開かれてたんですね。
スタッフ#111854:
ええ。やっぱりねえ、お腹を空かせた人を見てると、放っておけなくって。けども、最近は食べる物がないってこともなくなって、私がいなくても、みんなお腹いっぱい食べられるようになりました。
局員A:
確かに――。
スタッフ#111854:
ほんのちょっとだけね、寂しいと思うこともあるんですけども、けれどもね、私みたいなのが暇になるって、いいことなんですよ。
スタッフ#111854:
ああ、お客さん。きくらげともやし、多めに入れます? サービスできますよ。

店舗#111854が出現する条件、及び次の場所へ転移する条件は分かっていません。スタッフ#111854が何らかの異常能力を持っている可能性が示唆されていますが、立証されたものではありません。

店舗#111854で提供される食品については、材料として必ずラッキーまたはハピナスの食用卵が一つ以上使用されている点を除いて特異な点は見られません。ラッキーまたはハピナスの食用卵は一般的な食材として使用されていることを鑑みて、本案件の管理対象外とされました。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。