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#114954 ふぞろいの玉子たち

Basic Informations:

Subject ID:
#114954
Subject Name:
ふぞろいの玉子たち
Registration Date:
2006-06-06
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

集団#114954と思しき集団が確認された場合、速やかに最寄りの拠点へ移動させてください。こちらの指示に従わない場合は、非致死性の武器を用いて制圧することも認められています。一般的なタマタマと同程度の技能を行使する可能性があることが分かっているため、対応にあたっては主に超能力系統の攻撃に耐性を持つ携帯獣を帯同させることが望ましいと言えます。拠点へ移動させたあとは、集団#114954の構成に応じて対人用/対携帯獣用の標準移送手順に沿ってカントー地方タマムシシティ第七支局へ移送してください。

カントー地方タマムシシティ第七支局へ所属する局員は、集団#114954の性質に応じて適切な給餌を行ってください。集団#114954の統率者は日々変化するため、給餌の都度確認を取る必要があります。判断が付かない場合、独断で行動せず上席に相談の上対応を協議してください。

Subject Details:

案件#114954は、ある特異な性質を持って活動する集団(集団#114954)と、それに掛かる一連の案件です。

2006年の2月中旬頃、ジョウト地方エンジュシティにあるポケモンセンターへ、旅行で現地を訪れていたトレーナーから「奇妙な集団が街を歩いている」との申し出がありました。センターの職員が現場へ向かったところ、後述する性質を持つ異常な集団が街を彷徨っているのが発見されました。異常性があると判断した職員が当局へ通報し、駆け付けた局員により集団が確保されました。この時、集団は特に抵抗の意志を見せませんでした。

当初この事案は単発の事案として取り扱われ、対応の優先度は低く見積もられていましたが、その後ある程度の間を置いて同一の性質を持つ集団が複数発見されました。一部の局員から案件として管理すべきとの提言が上がり、裁定委員会はこれを承認、各地の事案を取りまとめた上で、案件#114954として管理することを決定しました。担当者が割り当てられるとともに、集団#114954についてのより踏み込んだ調査が実施されました。

集団#114954は、6人/体/個の人間/携帯獣/無機物(構成体#114954)からなる異常な集団です。集団は必ず6の単位で形成され、それ以上少ない数になることも多い数になることも決してありません。6人/体/個の構成体#114954で一集団を形成し、他の構成体#114954に対して概ね40センチメートルから1メートル以内の距離を置きつつ活動します。6を一単位とすることから、集団#114954は携帯獣の「タマタマ」とほぼ同じ性質を持つと推定されています。

この集団#114954が持つ最大の特徴は、まったく関連性の見られない複数の人間/携帯獣/無機物から成る構成体#114954により集団が形成されることです。各集団#114954の調査結果から、恐らく種族的/物質的な制約は存在しないものと推定されています。無機物については携帯獣由来のサイコキネシスによって地面を引きずる形で移動させられていることがほとんどですが、動力を持つものであればそれを用いて移動しているケースもあります。すべての構成体#114954は自我を持たず、単一の集合意識に基づいて行動しているようです。

集団#114954は一般的なタマタマと同程度のサイコキネシス能力を持ち、捕獲に抵抗して攻撃を試みてくるケースが数件確認されています。このことから、集団#114954はタマタマの変種或いは亜種である可能性が示唆されています。しかしながら、本来のタマタマと構成する要素があまりに異なるためか、これまで実験したすべてのデバイスは集団#114954をタマタマとしては判定せず、特定不能の未知の存在と判断するか、そもそも存在そのものを認識することができません。

以下は、これまでに確認された集団#114954と、集団#114954を形成する構成体#114954をまとめた一覧です:

[集団#114954-1]
構成体#114954-1-1:
ホウエン地方にあるカイナ南高校の夏期仕様のものと一致する制服を着用した、16歳頃と見られる少年。右手に折りたたみ式の携帯電話を持っているが、既知のあらゆる機種と一致しない。
構成体#114954-1-2:
高齢(少なく見積もっても20歳以上)かつオッドアイになっている♂のニャース。集団#114954-1-4の側にいることが多い。
構成体#114954-1-3:
通常個体よりも一回り大きな♂のペロッパフ。青いリボンが結びつけられている。
構成体#114954-1-4:
72歳頃と推定される、ベージュのエプロンを着用した女性。手に調理用の泡立て器を持っている。
構成体#114954-1-5:
2000年代前半にSony社が発売した四足歩行型ロボット「AIBO」の初期モデル。風雨に晒されかなり老朽化している。
構成体#114954-1-6:
カントー地方シオンタウン在住の5歳の少女と外見的に一致する少女。本人は健在であり、何ら異常が無いことを確認済。本人を摸した別の存在と思われる。
[集団#114954-2]
構成体#114954-2-1:
アトラクション用のピカチュウの着ぐるみ。内部スキャンで人が入っていないことが判明。
構成体#114954-2-2:
大手金融機関のシステム子会社のものと一致するIDカードを提げた30代後半の男性。カードに記載された内容を元に該当する企業へ照会したところ、対象者は既に現場から退場しているとの回答が得られた。
構成体#114954-2-3:
14歳頃と思われる少年のミイラ化した遺体が載せられた医療用のストレッチャー。遺体ではなくストレッチャーが構成要員である。
構成体#114954-2-4:
2004年頃行方不明となり、後に山中で白骨化した遺体で発見された20歳代の成人女性トレーナーと一致する人物。所持品は失踪当時のものとほぼ一致するが、携帯獣の入ったモンスターボールはすべて喪失している。
構成体#114954-2-5:
右腕を喪失した50歳代の成人男性。切断面は完全に治療され、視認できるような傷跡は残されていない。後述する集団#114954-2-6のキャリアとなっている。
構成体#114954-2-6:
集団#114954-2-5のものと推定される右腕。自力での移動は困難を伴うためか、ほとんどの場合において集団#114954-2-5が左手に持って持ち運んでいる。指先や手を動かすことで意思疎通が可能。
[集団#114954-3]
構成体#114954-3-1:
旅行用のスーツケースを持った60歳代前半の男性。小さな帽子を被り、赤いネクタイをしている。外見は2年前から行方不明となっている男性と酷似しているが、これまでのところ同一人物であるとの確証は得られていない。
構成体#114954-3-2:
小包を持った大人のオオタチ。♀と判明。小包と本体が何らかの理由で一体化しているようで、両者を分離させることができていない。小包内部をX線検査で確認したところ、内部には大量の蝋燭が詰まっていることが判明した。
構成体#114954-3-3:
カントー地方シオンタウン北西部にあるシオン第三中学校が定める冬季仕様のものと一致する制服を着用した、小柄な14歳頃の少女。学校指定のバッグと、テニスラケットが入っていると思われるバッグをそれぞれ提げている。
構成体#114954-3-4:
ライムグリーンのバランスボール。
構成体#114954-3-5:
中身が空になった消火器。転がるようにして移動する。接触したものが居ないにも関わらず、不定期なタイミングで直立姿勢になっている。
構成体#114954-3-6:
大柄なサイホーン。♂の個体。本来サイホーンにはほとんど知性が見られないことが分かっているが、本個体はしばしばこの集団を統率している姿が目撃されている。
[集団#114954-4]
構成体#114954-4-1:
6歳頃の少年に対し、自分自身を一般的な風船のように持たせたフワンテ。本来付いているはずの「×」マークが存在しない。調査の結果少年は集団の構成員ではなく、フワンテをこの場に安定させるためのスタビライザーとしての役割を担っていることが判明。
構成体#114954-4-2:
子供用のヒメグマ人形。自律的に移動しているように見える。製品のタグに「まりな」という所有者と思しき名前が油性マジックで記載されている。
構成体#114954-4-3:
買い物カゴに缶詰を満載した補助用のカート。缶詰のパッケージは、中身としてすべて携帯獣の肉を加工した食品が詰められていることを示唆している。缶詰の由来は不明。
構成体#114954-4-4:
パジャマ姿の8歳頃の少女。枕を抱えている。眠って居るような表情をしているが、時折言葉を呟くことがある。言葉を録音して解析したところ、呟いた時間におけるシルフカンパニー社の株価と一致していることが判明した。
構成体#114954-4-5:
剣道着及び防具一式を着用した50歳代の男性。竹刀の代用として鉄パイプを所持している。定期的に素振りの練習をしているが、本来の竹刀の持ち方とは逆の持ち方をしている。
構成体#114954-4-6:
口に電球をくわえたプラスル。♂の個体。日の出から昼にかけて電球が点灯し、日の入りから夜にかけて消灯する。夜間に電球が点灯した記録は存在しない。
[集団#114954-5]
構成体#114954-5-1:
全国に支店があるハンバーガーショップの制服を着用した20代前半の男性。376秒間かけて「挨拶をする→メニューを提示する動作をする→ハンバーガーセットを注文されたことを復唱する→代金を受け取る動作をする→釣り銭として420円を返す動作をする→後方からハンバーガー/フライドポテト/ドリンクを取り出しトレイに載せる動作をする→トレイを客に渡す動作をする→一礼する」というサイクルを一切休むことなく繰り返している。
構成体#114954-5-2:
セガ・エンタープライゼス製のアーケード筐体「ブラストシティ」。内部には同社がリリースした対戦型格闘ゲーム「バーチャファイター2」の基盤がセットされている。
構成体#114954-5-3:
ピンク色のバランスボール。
構成体#114954-5-4:
12歳頃の女性トレーナー。2002年頃にホウエン地方で流行したポケモントレーナーのスタイルと一致した服装や装飾品を身に着けている。所持している携帯獣図鑑には所有者情報が記録されていたが、対象のトレーナーは実在した記録が存在しないことが分かっている。
構成体#114954-5-5:
外見上コラッタに見えるが、多数の相違点が確認された未知の生物。後の調査により、案件#115064(「おそらくはコラッタではない何か」)で管理されている生体#115064と一致することが判明。
構成体#114954-5-6:
構成体#114954-3-3とほぼ同じ服装をした別の少女。こちらは陸上部のメンバーが使用するものと同じバッグを提げている。集団#114954-3-3との関連性は不明。
[集団#114954-6]
構成体#114954-6-1:
任天堂製の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」の初期モデル。本来は存在しない「X」「Y」のボタンが追加されている。カートリッジの挿入部分には「スーパーマリオランド」がセットされている。
構成体#114954-6-2:
通常よりもかなり大型のビリリダマ。地上から常に10センチメートル程度浮遊した状態で移動する。
構成体#114954-6-3:
黄色い安全帽に水色のスモックを着用した、4歳から5歳と見られる男児。この集団#114954の統率者となることが多い。
構成体#114954-6-4:
2000年から2002年頃に掛けて人気を博した女性アイドルグループの一人に酷似した女性。当人は現在失踪中であり、家族から捜索願が出されている。当時着用していたステージ衣装のように見える服装をしているが、細部に多数の相違点が見つかっている。
構成体#114954-6-5:
大柄な♂のムーランド。1997年に業務中のインシデントにより殉職した当局の元局員と特徴が一致している。
構成体#114954-6-6:
ところどころに傷が見られる大人のエアームド。移動/行動するたびに、鉄がきしむような激しい音を立てる。携帯獣図鑑による解析は、対象がエアームドではなくサニーゴであるとの矛盾した結果になる。

集団#114954についての調査は、集団を形成する個体自体にも多数の異常性が見られることから難航しています。すべての集団#114954について同一の起源に基づく存在なのかについて、現在も議論が続けられています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。