Basic Informations:
- Subject ID:
- #115064
- Subject Name:
- 恐らくはコラッタではない何か
- Registration Date:
- 2006-06-19
- Precaution Level:
- Level 3
Handling Instructions:
ショッピングモールサイトを定期的に巡回し、不審な「ペットショップ」が出店していないことを確認してください。本案件で取り扱う異常な携帯獣を販売していると思しき店舗を発見した場合は、速やかにサイトの管理者へ報告して退去を命じさせてください。ショッピングモールサイトの利用者にはできるだけ積極的に注意喚起を行い、不審な店舗から携帯獣を購入しないよう呼び掛けてください。
これまでに16体のコラッタのように見える異常な生物を収容しています。いずれも同一の異常特性を示しており、取り扱いには注意を要します。いかなる形の接触においても、対レベル2バイオハザード用スーツを着用することが義務付けられています。この生物はほとんどが管理局に対して敵対的で、これまでに計5件の収容違反を起こしています。現在の収容手順はこれらの違反を受けて都度改訂を行ったものになります。
一般市民からコラッタのように見える異常な生物について届け出があった場合は速やかに確保し、可能な限り詳細に入手経路を質問してください。これまでのケースでは未確認ですが、仮に野生のコラッタが異常特性を示しているという証言があった場合は、最悪の場合当該地域に棲息するすべてのコラッタを検疫する必要が生じます。これはこの生物に限らず、正常に見えるコラッタも含んだ措置です。
Subject Details:
案件#115064は、大手ショッピングモールサイトに不定期に出現する「オブライエンのペット・ショップ」という詳細不明のペット用品店と、そこで販売されているコラッタのように見える異常な生物からなる一連の案件です。
条件は不明ですが、概ね一年の間に2回から3回のペースでそれぞれ一週間ほどの間、ショッピングモールサイトの検索結果に「オブライエンのペット・ショップ」という店舗が表示されるようになります。これは検索に使用したキーワードに依存しておらず、正常な検索結果の間に自身を挿入する形で出現します。リンクをクリックすると、「オブライエンのペット・ショップ」が開設した特設サイトへ移動します。
移動先のサイトでは「キュートでクールでユーモラスな、エキゾチックでエキサイティングなニューエイジ・ペット」という触れ込みで、通常より青みの強い体色をしたコラッタのように見える生物の写真を展示し、税込価格2,000円で販売しています。この広告には異常性はなく、多くの利用者が興味を持たずにこの時点でページから退去します。写真に興味を持って購入手続きを進めると、決済にはクレジットカードのみが使用可能な旨のメッセージが表示されます。通常利用可能な銀行振込等の入金手段は、この販売店が開示している情報の不足により利用できません。
クレジットカードによる決済を完了すると、一週間以内に決済を行った人間の元へ標準的なケージに入れられた青いコラッタのような生物が届けられます。この生物は一見した限りでは体色以外に通常のコラッタと差異が無いように見受けられますが、管理局があらゆる観点から調査を行った結果、次のような異常性を持っていることが分かりました:
- 性別
- この生物は性別を区別できません。個体により差異はありますが、いずれも♂♀両方の特徴を持っているか、またはどちらも持っていません。
- 視覚
- 顔にある瞳は機能しておらず、代わりに尻尾に隠された「第三の瞳」と呼ぶべき器官で視覚情報を得ています。事実上単眼生物であるためか、通常のコラッタと比較して空間認識能力が著しく劣っています。
- 聴覚/嗅覚
- 視覚の機能を補うため、これらの機能が発達しています。管理局による観測の結果では、聴覚は通常のコラッタの三倍、嗅覚に至っては約十倍の鋭さを持っています。
- 前歯
- コラッタの特徴である前歯にも異常が見られます。通常のコラッタとは異なり、前歯は超ジュラルミンによって構成されています。仮に欠損が発生しても、長くとも三時間以内には完全に元の形状に自己修復する機能を持ちます。
- 鳴き声
- 通常のコラッタとは異なり、この生物は「効きの悪くなった自転車のブレーキを引いた時のような音」と形容される非常に不快で耳障りな鳴き声を上げます。死亡した個体を解剖した結果からは、声帯部分に通常のコラッタとの差異は認められませんでした。
- 血液
- 血液の色は明るい青をしています。負傷した際は特に顕著ですが、流出するなどして血液が減少すると、通常の動物以上に動きが鈍くなります。そのためか、皮膚は通常のコラッタとは比較にならないほど強固であり、およそジュゴンのそれに匹敵する強度と耐熱性を持ちます。
- 携帯獣としての性質
- この生物は外見こそコラッタに酷似していますが、携帯獣用に開発されたデバイスはこの生物を携帯獣として認識することができないか、または誤認識します。これまでのテスト結果では、全126台のデバイスのうち98台が認識不能と判定、4台がフリージオと判定、2台がそれぞれライボルトまたはトドグラーと判定、残り20台の判定結果は次の通りです:オオタチ・ドクケイル・コンパン・ポリゴンZ・アンノーン(Q)・バッフロン・ポッタイシ・バリヤード・アンノーン(T)・ニャオニクス(♀)・ハガネール・コフーライ・マグカルゴ・モジャンボ・シェイミ(ランドフォルム)・カラカラ・ハブネーク・バルキー・ニンフィア・ケイコウオ。なお、コラッタとして判定したデバイスは存在しませんでした。
- 生殖
- これだけの差異が認められるにもかかわらず、生殖器を持つ個体の場合は異常性の無い♂♀両方のコラッタと繁殖活動を行うことができます。生まれてくるタマゴは、つがいとなるコラッタが♂♀どちらであっても(つまり、正常なコラッタとこの生物のどちらがタマゴを産んでも)、この生物とまったく同じ異常性を持った個体となります。
通常のコラッタと問題なく生殖が行えることから、この生物が仮に野に放たれるようなことがあれば、個体数は幾何級数的に増大していく恐れがあります。現在の案件対応方針は、この生物を頒布している「オブライエンのペット・ショップ」と名乗る個人または組織への接触と、この生物が野生に生息していないかの監視に重点が置かれています。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。