Basic Informations:
- Subject ID:
- #118965
- Subject Name:
- 不思議な少年少女たち
- Registration Date:
- 2007-09-13
- Precaution Level:
- Level 2
Handling Instructions:
身元不明者#118965と思しき人物を発見したという通報がなされた、あるいは当局にて身元不明者#118965と思しき人物を保護した際は、所持品や特徴を元に身元の調査を行ってください。調査によっても身元が明らかにならず、その由来が不明であると判断せざるを得ない場合は、対人用の手順に沿ってシンオウ地方クロガネシティ第四支局まで移送してください。身元不明者#118965を受け入れた局員は、対象からヒアリングを行った上で個別の収容室へ収容してください。
これまで確認された限りでは、身元不明者#118965そのものはごく普通の健康な児童であるため、栄養価の高い食事を1日に3度与え、収容されている拠点の低セキュリティエリアで自由に遊ばせることが望ましいと考えられます。本人が希望するならば、単純な玩具や平易な内容の絵本などを与えることも許可されています。ただし種類に関わらず、人と携帯獣の関係性について記した書籍を与えることは禁止されています。
それぞれの身元不明者#118965の養育担当となった職員はできるだけ身元不明者#118965の側に寄り添い、対象の口にした言葉や仕草を詳細に記録することが求められます。記録は所定のファイルに日々保存してください。身元不明者#118965が何らかの示唆的な発言をした場合、職員は直ちに拠点監督者に詳細な報告を行ってください。
Subject Details:
案件#118965は、概ね異常性はないものの、由来が完全に不明な人間の児童(身元不明者#118965)と、それに掛かる一連の案件です。
身元不明者#118965が初めて確認されたのは、2005年7月頃のことです。ホウエン地方フエンタウン近郊を散策していたトレーナーが、道端で倒れている10歳くらいの少年を見つけて保護しました。少年は病院へ移送されましたが、そこで行われた検査で健康には特段の問題が無いことが明らかとなりました。直ちに身元の調査が行われましたが、少年は着用していた衣服を除いて一切の所持品が無く、他に身元の情報へ繋がるようなものもありませんでした。病院は少年を児童養護施設へ移送し、さらに調査が継続されることとなりました。
児童養護施設の職員による少年の身元調査の過程で、当局の局員が事案発生の虞ありとして担当者へ連絡を取りました。この時点で既に少年の発見から一年近くが経過していましたが、身元に関わる情報はまったく得られていない状態でした。さらに職員に対して実施したヒアリングの結果、少年について何らかの異常性があることを示唆する証言が得られました。養護施設の職員との協議の結果、当局は少年の身元引受人となることが決定、少年はシンオウ地方クロガネシティ第四支局へ移送されました。少年の身元に関する調査は、当局が引き続き行うこととなりました。
その後一年半に渡り、当局の情報網を用いた大規模な調査が行われましたが、最終的に少年の身元を明らかにすることはできませんでした。少年の由来についての疑念が払拭できないこともあり、裁定委員会は案件#118965の立ち上げを決定、少年を身元不明者#118965と認定しました。
身元不明者#118965は、外見や身体構造的には完全に人間の男児です。概ね10歳頃の平均的な身長/体重であり、知能テストの結果についても特に矛盾した点はありません。しかしながらその由来は完全に不明であり、またいくつかの気になる行動や証言を見せています。
彼は完全に人間の少年でありながら、自身を「ここに来る前は『ピカチュウ』だった」と繰り返し主張します。自分はかつて携帯獣の「ピカチュウ」であり、目を覚ますと見知らぬ道で「ニンゲン」になって倒れていたというのが身元不明者#118965の主張です。それに関連し、名前を除くほとんどの記憶を喪失しているとも証言しています。案件担当者は少年の身体検査を実施しましたが、身元不明者#118965について一切の特異な点を見いだすことはできませんでした。検査結果は身元不明者#118965が紛れもなく人間であることを示すものばかりであり、携帯獣としての特徴は一つも検出されませんでした。しかしながら、身元不明者#118965は自分がピカチュウであったことにある種の確信を持っているようです。一部局員からなされた指摘に基づき、身元不明者#118965に対して標準的な精神鑑定が実施されましたが、例えば精神的なショックで自分自身をピカチュウであると誤認しているといった、一般的な症状についてはまったく確認されませんでした。
第一発見者であるトレーナーや児童養護施設の職員への詳細なヒアリングを通して判明したことは、身元不明者#118965は一切の物理的並びに精神的な影響力を持たず、ただ普通の特徴の無い少年としてしか見なされていなかったということのみでした。彼らの健康状態や精神状態に異常は無く、身元不明者#118965が他の存在に何らかの影響をもたらす可能性は否定されています。
時折、身元不明者#118965は自分がピカチュウであった頃の記憶を思い出すようです。断片的に語られる内容はいずれもピカチュウの生態と完全に合致した内容であり、矛盾した点は見られません。その他の携帯獣に関する知識はごく表層的なレベルに留まっており、身元不明者#118965の携帯獣に関する知識はピカチュウに関わることにほぼ限定されています。担当局員によるヒアリングの結果、身元不明者#118965には通常の子供に期待される程度の識字能力を持たないことが判明しました。そのため先のピカチュウに関する知識は、少なくとも書籍などから能動的に得た情報ではないと推測されています。
身元不明者#118965の特筆すべき行動として、職員に対して不定期に「石を持った子はまだ来ないの?」と問い掛けるものがあります。これが何を意味するのかについては明らかになっていませんが、数名の局員は身元不明者#118965の特異性を指摘し、本案件の警戒レベル引き上げを提案しています。
[2007-12-10 Update]
案件#118965の立ち上げに当たり、これまでに当局が認識していない同種の事案が発生していないかについての調査が実施されました。その結果、身元が一切分かっていない少年少女が合計15名、各地に点在して保護されていることが明らかとなりました。それぞれの最寄の拠点から局員が派遣され、関係者に対してヒアリングを行いました。ヒアリングの結果全員について身元不明者#118965と同じ特徴(自身をかつて携帯獣であったと証言している/該当する携帯獣の生態についての詳細な知識がある/顕著に低い識字能力)が見られたことから、事情を説明した上で身元不明者を確保、全員をシンオウ地方クロガネシティ第四支局へ移送しました。合計16名となった身元不明者#118965は、それぞれ身元不明者#118965-1から-16として再分類されました。
[2009-11-28 Update]
2009-04-18から2009-11-20にかけて、身元不明者#118965と同じ特徴を持つ身元不明の少年少女が新たに5名、各地で発見・保護されました。5名はシンオウ地方クロガネシティへ順次移送され、身元不明者#118965-16から-21として分類されました。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。