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#120399 フワンテにつかまった少女

Basic Informations:

Subject ID:
#120399
Subject Name:
フワンテにつかまった少女
Registration Date:
2008-02-26
Precaution Level:
Level 2

Handling Instructions:

浮遊体#120399が存在している領域は、当局により完全な飛行禁止区域に設定されました。警備員を周辺に展開し、浮遊体#120399に近付こうとする人物がいないかを常に監視してください。浮遊体#120399は静止して動かないため、飛行禁止区域は常に一定の範囲になります。浮遊体#120399の近辺を通過する通常の飛行物、特に空を飛んでいる最中の携帯獣や携帯獣に搭乗したトレーナーが互いに接触することが無いよう警戒を呼びかけてください。

性質上、浮遊体#120399に物理的に近付くことは困難であり、対象のサンプルを得ることは難しいと考えられています。浮遊体#120399に接近する方法については現在も議論と研究が進められており、その状況については月次で更新されるレポートR-120399-2-Mで確認することができます。これまでに実行が試みられ失敗に終わった接触計画に関しては、レポートR-120399-3-Nに計画単位で取りまとめられています。案件担当者はこれらの資料を自由に参照する権限を持ちます。

可能であれば、案件担当者は参考人リストL-120399に列挙された人物について情報収集を行ってください。これまでに得られたいくつかの情報は、浮遊体#120399に関わりがあるとされる複数の人間の存在を示唆しています。特にリストL-120399の第4セクションに取りまとめられた2名の失踪者については、浮遊体#120399そのものと何らかの深い関わりを持っている可能性があります。

Subject Details:

案件#120399は、カントー地方シオンタウンの上空を浮遊している未確認飛行物体(浮遊体#120399)と、それに掛かる一連の案件です。

本案件の中心となる浮遊体#120399が最初に確認されたのは、2008年1月中旬のことでした。カントー地方シオンタウンの中心に位置する住宅街である「シオンニュータウン」上空を飛行していたトレーナーが浮遊体#120399を発見し、その様子を見て「フワンテに捕まった女の子がいる」と救急連絡をしたのが切っ掛けとなりました。当初はフワンテによる子供の連れ去り事案と考えられ、専門に組織された救助隊が出動しました。

救助隊による救出と調査の試みが行われていましたが、その過程で近隣をエアームドに搭乗して飛行していた別のポケモントレーナーとニアミスし、救急隊員一名とトレーナーが軽い怪我を負う事案が発生しました。事案発生時の状況と救助隊による調査の過程で判明した浮遊体#120399の異常な性質から、本件については当局に引き渡す案件だという結論が下されました。通報を受けた局員が現場に駆け付け、初期調査と関係者へのヒアリングを経て案件立ち上げが決定しました。

浮遊体#120399は、一般的なサイズと風貌をした一体のフワンテと、その足に両手を絡める形で帯同している概ね6歳頃の少女と思われる人間です。フワンテと少女は浮遊したまま時折わずかに動く程度で、自発的に移動したり何らかの行動を起こしたりする素振りをほとんど見せません。後述する浮遊体#120399の性質上、フワンテに帯同している少女がどのような人物かを調査する試みは難航しています。浮遊体#120399は風雨/風雪に晒されても影響を受けているようには見受けられず、その場を離れることはありません。

浮遊体#120399が持つ特性として、推定で周囲20m以内に異常空間を作り出すというものが挙げられます。浮遊体#120399が展開するこの空間内では、内部には入り込んだあらゆる飛行者の位置/空間認識能力が狂わされ、浮遊体#120399に接近することが著しく困難になります。実際に浮遊体#120399への接近を試みた救助隊員からは「どれだけ前に進んでも、フワンテが同じ速度で遠ざかっていくように見えた」という証言が得られました。これについては、周囲で様子を観察していた他の救助隊員も同様の発言をしています。

当局が実施した複数回の実験では、あらゆる飛行手段を持ってしても、浮遊体#120399へ接触することは著しく困難かまたは不可能であるという結論が出ています。浮遊体#120399は認識異常を引き起こすだけでなく、実際に空間そのものを変質させている可能性が濃厚です。発見時に生じた救助隊とトレーナーによる衝突事故についても、浮遊体#120399がある程度の意図を持って両者を衝突へ導いた疑義が示されています。

近隣を通過するトレーナーや飛行免許を持った市民にとって浮遊体#120399の効果は移動の妨げになる虞があるため、周囲一体を飛行禁止にする措置が取られました。浮遊体#120399が少なくとも視覚的にはその場からほとんど移動しない(これまでの観測では、移動範囲は概ね半径60cm以内であるとの結果が出ています)ことから、現在の保全プロトコルは有効に機能していると考えられています。

浮遊体#120399の正確な起源については明らかになっていません。フワンテが少女を拘束しているのか、少女が自発的にフワンテに掴まっているのか、或いはフワンテは少女から離れようとしているがそれができないのか、いずれについても根拠の無い仮説のレベルに留まっています。浮遊体#120399の起源を探るための調査は現在も進行中です。

本案件と関連性があると推定される事案が近隣で複数発生しています。注目すべきは浮遊体#120399が存在する「シオンニュータウン」そのもので、当局が調査中の事案に関わっている疑いのある人物が複数居住している他、他の地域と比較して案件/事案の発生頻度が統計的に見て有意なレベルで高いことも判明しています。

中でも特記すべき重大事案として、2007年末頃に6歳から7歳までの少女3名がほぼ同時期に失踪し、翌年始めにその内の1名が変死体で発見されたというものが挙げられます。残る2名の失踪者のうちの1名について、容姿上の特徴から浮遊体#120399を構成する人間部分に該当するのではないかという意見も上がっています。しかしながらこれまでのところ、いかなる形においても両者を明確に関連付ける証跡は得られていません。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。