Basic Informations:
- Subject ID:
- #125949
- Subject Name:
- デデンネの絵
- Registration Date:
- 2009-11-29
- Precaution Level:
- Level 2
Handling Instructions:
アイテム#125949は、ホウエン地方カイナシティ第七支局の中異常性取得物保管庫のブロック4-Aに据え付けている、70cm×70cm×70cmの鉛製の金庫に保管してください。金庫の暗証番号は案件担当者が設定します。設定した暗証番号については、書式F-125949-3に沿ってワークフローを回付し、上長が把握できるようにしておいてください。鉛製の金庫へ入れている限り、アイテム#125949は異常特性を発揮しません。
調査・研究の目的でアイテム#125949を持ち出す場合、少なくとも周囲500m以内に不要な電子機器、特に映像が受信可能な機器が置かれていないことを十分確認してください。事象#125949は近隣に存在するすべての電子機器に影響を与えるため、アイテム#125949を活性化させる際は110番道路近郊に設置された当局の実験施設を使用することを強く推奨します。
Subject Details:
案件#125949は、クレヨンにより描かれたデデンネの絵(アイテム#125949)と、アイテム#125949が発生させる異常現象(事象#125949)、及びそれらに掛かる一連の案件です。
当局がアイテム#125949を入手したのは、ホウエン地方フエンタウン近郊に存在する放棄された一軒家においてです。近隣住民から「テレビに時折デデンネやパチリスが映り込むようになった」との通報を受けて当局が調査を進めていた過程で、機能停止した冷蔵庫に磁石で張り付けられた状態で発見されました。現地での簡易的なテストにより異常現象の原因がこの絵にあると判明、当局によって回収されました。
アイテム#125949は、破かれたスケッチブックにクレヨンで乱雑に描かれたデデンネと思しきイラストです。イラストの正確な制作者は分かっていません。発見された廃屋には4年ほど前まで3人ほどの人間が居住していたとの証言を得ていますが、その中にこのようなイラストを描くような小児が含まれていたという情報は確認されていません。イラストの右下には黒いクレヨンで「ゆうた」とたどたどしい筆致で署名がされており、おそらくはこの「ゆうた」がイラストの制作者と推定されますが、それを裏付ける情報は何一つ存在しません。加えて「ゆうた」なる名前の人物がこの近隣に居住していた記録はありません。
このアイテムの特性は、小型の磁石によって黒板/白板のような磁石が貼付可能な場所へ掲示された際に発揮されます。アイテム#125949が活性化すると、周囲の映像を受信可能な電子機器すべてについて、人間の代わりに「電気袋を持つ携帯獣」が出現するようになります。具体的には、ピカチュウ/ライチュウ/ピチュー/プラスル/マイナン/パチリス/エモンガ/デデンネの8種に加え、これまでに発見例の無い未知の携帯獣が8体確認されています。さらに、これまで映像/写真に登場していない携帯獣が含まれている可能性もあります。
特に顕著な影響を受けるのはテレビで、アイテム#125949の半径500m以内ではテレビ番組に登場するすべて人間が電気袋を持ったいずれかの携帯獣に置き換えられます。置き換えのルールは特に無いようで、前日にライチュウに置換されたワイドショー番組の司会者が、翌日の確認ではパチリスに風貌の似た未知の携帯獣に置き換わっていました。ただし出演者の性別に付いては置き換え後も反映されるようで、ピカチュウに置き換えられた人物はいずれも置換前の性別と置換後の性別が一致していることが目視で確認できました。
他の電子機器も様々な影響を受けます。分かりやすい例として、撮影者が範囲内でデジタルカメラや携帯電話のカメラ機能を使用して人物を撮影した場合、テレビの場合と同じように電気袋を持ったいずれかの携帯獣に置き換えられることが確認されました。この時所持品や衣服についても同様の影響を受けるようで、ピチューに変化した男性局員の場合、着用していた制服がピチューの体格に合わせて縮小していました。所持していたバッグについても同じく縮小し、ピチューが現実的に持てるサイズに変化していました。これらの変化は一貫して写真にのみ影響し、被写体には何ら影響を及ぼしません。
範囲内で無線または有線によるインターネット接続を行うと、画面に表示される写真に登場する人間がこれまでと同じルールで電気袋を持つ携帯獣に置き換えられます。この時の画像は保存することで「固定化」することが可能で、固定化した画像は範囲外でもそのままの状態で閲覧することができます。注意点として、ハードディスクやリムーバブルデバイスに保管されている人間が撮影された写真を範囲内で編集して上書き保存した場合、写真内の置換が永続化されます。この場合、バックアップから復元しない限り、元の体裁の写真に戻すことはできません。
これまでテストした限りにおいて、携帯獣は置き換えの対象とはならないようです。被写体となった携帯獣についてはいずれも本来の姿が保持され、電気袋を持った携帯獣に変化することはありません。範囲内においても不審な行動や事象はまったく確認されなかったため、アイテム#125949は人間にのみ効果をもたらすものと考えられています。
アイテム#125949の効果範囲は遮蔽物があると著しく減衰するようで、特に鉛については一切透過することができないことが分かりました。これに伴い現在の収容手順が制定され、比較的安全な保管方法が確立されました。アイテム#125949の性質が変化しない限り、この収容状態が無期限に保たれることになっています。
いつの時点でイラストがアイテム#125949に変貌したのかは定かではありません。アイテム#125949が貼付されていた際の状況から、イラストは冷蔵庫に貼付されて少なくとも5年近く経過しているように見えましたが、近隣住民から通報がなされたのはごく最近のことで、それまでは事象#125949は一度も確認されていませんでした。何らかの外的要因によりアイテム#125949が変化したのか、元々内包していた異常特性が活性化されたのかについては、局員の間でも意見が分かれています。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。