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#148530 忘れられていた世界

Basic Informations:

Subject ID:
#148530
Subject Name:
忘れられていた世界
Registration Date:
2017-01-25
Precaution Level:
Level 5

Handling Instructions:

オブジェクト#148530-1が存在するポイント#148530は非異常性の鍵により三重に施錠し、外部の人間並びに携帯獣を決して侵入させないよう厳重に警備してください。事前に書式F-148530-1に沿って作成・申請された計画に基づくものを除いて、オブジェクト#148530を使用した実験は一切認可されません。実験計画は事前に承認者のレビューを受ける必要があり、承認者が却下した場合実験は認可されません。実験から得られた知見は書式F-148530-4に基づくレポートに取りまとめ、案件別サーバに暗号化の上保管します。

ポイント#148530全域及び周辺500mまでの地点について、携帯獣の「クレッフィ」の存在を検知するための低密度スキャン波が常時展開されています。低密度スキャン波がクレッフィの存在を検知した場合、現地に常駐する保安要員が直ちに検出地点まで向かうことになっています。クレッフィが野生だった場合は捕獲の上ポイント#148530から少なくとも直線距離で10km以上離れた地点へ移送され、トレーナーが帯同させていた場合は当該トレーナーを確保の上事情聴取を行います。トレーナーがクレッフィを意図的にポイント#148530内へ帯同させたことが判明した場合、詳細についてヒアリングを行ってください。

エリア#148530内の探査により作成された探査記録#148530は、案件担当者およびレベル6以上のセキュリティクリアランス保持者のみが閲覧を許可されています。案件担当者が本案件のアサインを解除された場合、またはレベル6以上のセキュリティクリアランス保持者がその権限を剥奪された場合、プロトコルUXに基づく記憶処理を受けることが義務付けられています。探査記録#148530は当局の情報公開ポリシーの適用除外を受け、本案件が無力化されない限り一切の情報公開がなされず、また文書そのものの存在についても無期限に秘匿されます。

Subject Details:

案件#148530は、ある地域に存在する廃屋(ポイント#148530)に据え付けられた扉(オブジェクト#148530-1)とオブジェクト#148530-1に対応する鍵(オブジェクト#148530-2)、並びにオブジェクト#148530-1を通じて侵入することが可能な領域(エリア#148530)、及びそれらに係る一連の案件です。

ポイント#148530が発見されたのは2017年1月25日、オブジェクト#148530-1の存在が確認されたのは2月上旬頃となります。ポイント#148530の近隣は土地所有者である近隣の住人によって立ち入りが禁止されていましたが、当該住人が一か月ほど前から行方が分からなくなっていることを受け、警察当局が捜査を行っていました。捜査の過程でポイント#148530付近で失踪した可能性が示唆され、またそれに関連して異常な事象が関与している虞有りとの見方が示されたことから、ポイント#148530について案件管理局が接収、管理下に収めました。

オブジェクト#148530-1は、所々が錆びついた鉄製の扉です。ステンレス製のドアノブが取り付けられており、ドアノブには鍵穴が存在します。鍵穴に外見上特異な点は見られませんが、未知の原理によりオブジェクト#148530-2以外の挿入を物理的に受け付けない性質を持っています。これは鍵穴に対して非異常性の鍵や針金を差し込むことができず、オブジェクト#148530-2のみが開錠/施錠に対応していることを意味します。

オブジェクト#148530-2は、オブジェクト#148530-1に対応する異常な鍵です。携帯獣の一種である「クレッフィ」が一度でも保持した鍵は、例外なくすべてオブジェクト#148530-2となり、オブジェクト#148530-1の開錠/施錠に使用することが可能になります。オブジェクト#148530-2に変化しても本来の鍵としての性質は保持されたままです。一度オブジェクト#148530-2となった鍵は永続的にその性質を保持し、非異常性の鍵へ戻す方法は発見されていません。オブジェクト#148530-1をオブジェクト#148530-2を使用して開錠することにより、エリア#148530へ侵入することが可能になります。

エリア#148530は、オブジェクト#148530-1をオブジェクト#148530-2を使用して開錠することにより進入することができる異常な領域です。エリア#148530は現状オブジェクト#148530-1からのみアクセス可能であり、他にアクセスするための方法は確認されていません。また、オブジェクト#148530-1を通過する以外の方法でポイント#148530へ戻る方法も見つかっていません。

エリア#148530は地球とほぼ同一の環境(大気/重力/光量等)であり、人類や携帯獣は支障なく活動することができますが、土壌や大気のサンプルから得られた構成成分は地球のそれと僅かな差異を見せています。空は灰色で覆われていますが雲は見えず、観測した局員からは「雲一つない青空を灰色に塗りつぶしたかのよう」との証言が得られました。エリア#148530にて証跡として撮影された写真が、局員の証言を裏付けています。

エリア#148530内には何らかの生物が生息していると思しき痕跡が多数確認されましたが、生物との接触は果たせていません。また、高度な技術が用いられた人工物も多数発見されていますが、これらはいずれも起源不明であり、いかなる経緯で制作されたのは明らかになっていません。

エリア#148530の探査記録の抜粋は以下の通りです:

探査記録#148530-1:
2017-02-04記録。探査に当たった局員は4名。探査に要した時間は02:21。使用したのはポイント#148530に残置されていた鍵(オブジェクト#148530-2-1に指定)。エリア#148530の性質を把握するための初期調査として、周辺の土壌や大気のサンプルを収集。サンプルを分析して得られた情報から、エリア#148530は地球とほぼ同一の環境であると判断。探査は問題なく完了。
探査記録#148530-2:
2017-02-07記録。探査に当たった局員は3名。探査に要した時間は00:12。使用したのはオブジェクト#148530-2-1。同一のオブジェクト#148530-2を使用して進入した場合に、エリア#148530にどのような変化が生じるかを確認する目的で実施。結果、前回の探査時と同一地点に出現した。状況についても前回の調査時から変化が見られず。このことから、同一のオブジェクト#148530-2を使用した場合、オブジェクト#148530-1を経由して同じ地点へ移動できるとの仮説が提唱された。探査は問題なく完了。
探査記録#148530-3:
2017-02-07記録。探査に当たった局員は3名。探査に要した時間は00:38。使用したのは局員が帯同させているクレッフィから同意を得て入手した鍵(オブジェクト#148530-2-2に指定)。オブジェクト#148530-2の種類を変更することによる変化を観測する目的で実施。結果、探査記録#148530-1及び-2で観測された場所とは異なる地点に接続されたことを確認。探査記録#148530-1及び-2の接続地点はポイント#148530に酷似した廃屋の屋内だったのに対し、この探査では放棄されたと見られる学校の教室に残置された用具入れへ接続された。以後、オブジェクト#148530-2ごとにどの地点へ接続されるかを記録することが義務付けられる。探査は問題なく完了。
探査記録#148530-4:
2017-02-12記録。探査に当たった局員は5名。探査に要した時間は03:11。使用したのは当局で生成した鍵(オブジェクト#148530-2-3に指定)。接続地点は内部が荒廃したポケモンセンターと見られる建物。内部からいくつかの資料及び物品が持ち帰られ、解析を担当するチームへ回された。ポケモンセンターより外へ出ておよそ2km圏内の探索も行われたが、周囲にその他の建築物は見当たらず。北方は山岳地帯となっていた。探査は問題なく完了。
探査記録#148530-5:
2017-02-24記録。探査に当たった局員は4名。探査に要した時間は02:53。使用したのは当局で生成した鍵(オブジェクト#148530-2-4に指定)。接続地点は競技用バトルフィールドと見られる施設の整理口。中央のバトルフィールドにて、携帯獣の「サイドン」に酷似した骨格を持つ生物の白骨化した遺体が発見された。遺体の一部が持ち帰られ、解析を担当するチームへ回された。施設内にて残置されていたカレンダーが発見され、暦について地球と同じものが使用されているとの仮説が有力視される。カレンダーは「1996年」のものであった。探査は問題なく完了。
探査記録#148530-6:
[アクセス拒否]
探査記録#148530-7:
[アクセス拒否]
探査記録#148530-8:
[アクセス拒否]

[2017-06-29 Update]

エリア#148530の探査について、裁定委員会はこれ以上の実施を許可しない方針で一致しました。オブジェクト#148530-1及び-2は無期限の管理下に置かれ、探査記録#148530-6から-8をレベル6セキュリティクリアランス保持者以外すべてのアクセスを遮断する設定を追加します。案件担当者はオブジェクト#148530-1及び-2の保全のみを行い、それ以上の対応は行ってはなりません。

探査記録#148530-6から-8に関して、当局の定める手順に基づくデータ抹消を行うことが提案されています。この提案は現在保留されています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。