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#120165 ひとかげ

Basic Informations:

Subject ID:
#120165
Subject Name:
ひとかげ
Registration Date:
2008-01-30
Precaution Level:
Level 4

Handling Instructions:

使用していないオブジェクト#120165並びにオブジェクト#120165を使用して撮影した写真が記録された情報媒体は、案件担当者が指定する高異常性物品保管庫の所定のブロックに集積し、70cm×190cm×100cmの耐火性金庫に保管します。金庫のセキュリティキーは案件担当者と拠点監督者が保持し、双方のキーを同時に使用しない限り開錠できない状態を保ちます。

プロトコル・ダンデライオンに基づく調査結果は秘匿すべき個人情報を含んでいるため、案件担当者並びにレベル4セキュリティクリアランス保持者以外のアクセスを遮断する措置を取ります。案件担当者が当案件より離任することが決まった場合、プロトコルUXに基づく記憶処理を受ける義務が課せられています。プロトコルUXに基づく記憶処理に不具合の生じる虞のある局員は、当案件の担当者に割り当ててはなりません。

案件担当者は週に一度、各拠点に駐留する案件副担当者からプロトコル・ダンデライオンに基づく調査結果を受領し、結果をレポートへ取りまとめます。レポートでは、プロトコル・ダンデライオンの実行結果を分類し、事象#120165が確認され分類が「レッド」または「カーマイン」となった個人について、リストL-120165-12へ氏名及び調査時点の居住地を記録します。リストL-120165-12は自動暗号化措置を施し、局内ネットワークから物理的に遮断された端末に保管します。

オブジェクト#120165に指定されたデジタルカメラは現時点で46機存在し、それぞれオブジェクト#120165-1から-46に分類されています。当局の管理外にあるオブジェクト#120165が発見された場合、いかなる状況であっても速やかに接収してください。これまでのところ、当局は計34機のオブジェクト#120165を接収しています。

当局の管理していないオブジェクト#120165により撮影されたデジタル写真がネットワーク上で拡散された事例が複数回確認されています。案件担当者は、インシデント発生時に情報保全第二部へ速やかに通報し、当該デジタル写真をネットワークから削除するとともに、デジタル写真そのものを含む関連情報を精度の低いねつ造またはデマであるとのカバーストーリーを展開します。カバーストーリーの展開に当たっては、情報保全第二部の専任局員が対応に当たってください。

Subject Details:

案件#120165は、未知の異常特性を持つデジタルカメラ(オブジェクト#120165)と、オブジェクト#120165を用いて撮影された写真に見られる特異な事象(事象#120165)、及びそれらに係る一連の案件です。

2007年9月下旬、シンオウ地方トバリシティ第一支局にて、市民から「デジタルカメラで撮影した写真に奇妙なものが写り込んでいる」との申し出がありました。局員が撮影に使用されたデジタルカメラ及び撮影されたデジタル写真を回収し、初期調査を実施しました。調査の結果後述する事象#120165の発生が確認されたため、担当した局員が案件の立ち上げを申請、裁定委員会は翌日案件立ち上げを承認しました。

案件の立ち上げ後、複数の支局で事象#120165が過去に発生していたことが報告され、担当者判断で回収されていた物品及び情報資産が案件担当者の元へ集められました。それに伴い事象#120165が持つ性質の分析が進み、案件の警戒レベルが「4」に再設定されました。

事象#120165は、オブジェクト#120165で撮影された人物について、未知の条件に基づいて影が携帯獣の「ヒトカゲ」のようなフォルムとして描写される事象です。通常影は生成元となる人物のシルエットが投射された形状を取りますが、事象#120165が発生している人物についてはその限りではありません。確認できるのは一般的に知られる「ヒトカゲ」のフォルムに基づいた影であり、元となった人物の影は反映されません。

事象#120165はオブジェクト#120165で撮影されたデジタル写真にのみ発生する事象であることに注意してください。事象#120165が発生している対象であっても、オブジェクト#120165を通さず直接影を視認した場合、通常通り本人のシルエットが投射されていることが確認できます。よって、事象#120165が発生するかどうかは、オブジェクト#120165を使用して確認する必要があります。

オブジェクト#120165で撮影されたデジタル写真に複数の人物が写り込んでいた場合、事象#120165が発生するかは対象の性質に依存します。これは同じデジタル写真に撮影された被写体について、それぞれ事象#120165が発生する被写体と発生しない被写体が混在することを意味します。他方、過去に一度でも事象#120165が確認された被写体については、いかなる条件においてもオブジェクト#120165を使用してデジタル写真を撮影する限り事象#120165が発生し、発生有無が変わることはありません。これは事象#120165が発生しないパターンについても同様であり、一度事象#120165が発生しなかった被写体について条件を変更することで事象#120165が発生したケースは未だ確認されていません。

プロトコル・ダンデライオンは、事象#120165の発生条件を特定するために定められました。目的を秘匿した状態で、サンプリングされた市民についてオブジェクト#120165による撮影実験を行います。事象#120165の発生が確認された場合は「レッド」、発生の疑義が持たれた場合(撮影時のアングルにより事象#120165の発生有無が確認できない等)は「イエロー」、事象#120165が明示的に発生しなかった場合は「グリーン」に分類されます。分類結果は厳重に保管され、所定のセキュリティクリアランス保持者以外はアクセスが遮断されます。

事象#120165が何を意味しているのかは定かではありません。人影として携帯獣の「ヒトカゲ」が写り込む理由や、事象発生の条件も未だ明らかにされていません。事象#120165が特定の集団に属している、或いはある共通する属性を持つ人物に対して発生するといったデータも得られていません。人間と携帯獣の境界に掛かる案件と見做されるため、事象#120165の性質特定を急ぐ必要があると考えられています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。