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「ヌイコグマ嵐」(作者:オンドゥル大使さん)


「可愛い上に力も強く、ちょいと凶暴……これぞ、ポケモン! というヌイコグマは最高じゃよ」

 アローラ地方、ウラウラ島、十番道路の老婆の言葉より。


 ヌイコグマ

 ――じたばたポケモン。懐いた相手や仲間以外に触られると物凄い力で暴れるので、非常にキケン。


 その年、アローラを襲った冷害の嵐は2月になる頃には鳴りを潜め、すっかり気候の変動に参ってしまった南国の人々はショッピングに繰り出そうとしていた。

 どうにも冷える年にはアローラで育った人間は弱いようで、その日も雪がちらつく中、アーカラ島の子供達がこぞって草むらにポケモンを捕獲に出ていた。

 ジョウトで開発された新型モンスターボールがアローラでも解禁され、クリスマスキャロルに彩られた南国の街で売り切れが続出したほどだ。

 一部は闇に流れたらしい、というほどの売れ行きを記録した新進気鋭のボール――クイックボールの性能に子供達は胸を高鳴らせていた。

「出会ってすぐにボールを投げたほうが確率高いんだぜ!」

 それは今までのポケモンの捕獲方式からは一歩外れた概念であったのだ。

 ポケモンを捕獲するのには、弱らせてから時間をかけて体力と気力を奪い、こちらの集中力とあちらの集中力が拮抗した瞬間に投げるのが一番。

 大人達はそう教わってきたし、子供達にもその教えは浸透していた。

 だが、新型の登場はその古い観念を完全に塗り替えたのだ。

 出会い頭にボールを投げる、という新たな息吹がアローラに吹き荒れ、新鋭トレーナーの手にはどれも試作品でありながらその存在感を示す黄色と水色のカラーリングボールが握られていた。

 女性に売るのには、黄色のカラーリングは金運が上がるだの、幸せのボールだのという謳い文句で売られていたクイックボール。男性に売るのには、手早く、なおかつ強力なポケモンも早期決着! というキャッチコピーで売られたクイックボールはその年の年間ボール売り上げの高順位を勝ち取っていた。

 アローラ地方にて、どの場所にいてもどのトレーナーもクイックボールを使用する。

 その手軽さから、今まで人々が丹念に準備を重ねてから挑むべきとされてきた秘境でさえも、安易に踏み出せるようになった。

 記録上、この年が最も新人トレーナーの輩出率が多かったとされている。

 アローラに拠点を置く研究者達への貢献度も高く、研究が五年進んだとされたほどだ。

 飛躍的にアローラに技術革新をもたらしたクイックボールの存在は、ポケモンの捕獲率の上昇、及び熟練度の低いトレーナーでも、容易に一歩を踏み出せる要因となった。

 2月の上旬の出来事である。

 クイックボールを手にポケモンの捕獲に出かけた子供が帰って来ないという報告が一件、黄昏時の斜陽が差し込む警官詰所にもたらされた。

「はぁ、それは奥さん、子供達だって夢中になっているんですよ」

 警官はこう返答し、旅人の始まりだ、快く出迎えようじゃないか、と寛容であった。

 しかし女性は取り乱してこう叫んだのだ。

「危ない目に遭っていたらどうするの!」

 過保護だ、と警官は判断したらしい。現に女性はアローラの出身ではなかった。さもありなん、と警官は調書を取り、子供達の出向いた先だけを記している。

 ――アーカラ島、八番道路。

 そこでぷつんと子供達の消息が途絶えたのだと言っている。

 それまでの足取りはトレーナーの位置情報をある程度捕捉する新型図鑑が保証していた。

 八番道路でガラの悪いトレーナーにでも出会って、身包み剥がされたか。

 最悪の想定があったとしてもその程度であった。

 警官は女性からの証言をこう纏めている。

「三十歳過ぎの痩せぎすの女性。子供は二人。長男が十二歳。カントーで認定されたポケモントレーナーであり、島の子供達とポケモンを取りに出かけた」と凡庸な記述が残されている。

 事ここにおいて、早急な判断が求められる案件だとは誰も思っていなかったのであった。

 通報した女性もどこかヒステリックの内に、子供の時の事だ、一つくらい過ちがあっても、と認めている節があったとされている。

 とかく、この女性に関しての記述は以上であり、その先に発展した記録は認められない。

 警官はアーカラ島でバスの事業を展開している友人に相談した。

「困るんだよ。こういう風にいちいちトレーナーの位置測定なんてしていたらキリがない。ただでさえトレーナー人口の受け皿はないんだ。アローラみたいな自由な地方の風土でカントーみたいな文明国の異国風を吹かせないで欲しいね」

 一笑に付したバス運転手は警官にこう切り返した。

「じゃあバスの運転の傍らにでも探してみるよ」

 ここでようやく、少年達の風貌が明らかになってきたようである。

 赤い帽子を被った小柄な背丈。目の下に特徴的な泣き黒子。

 他の面子もどこかで聞いたような背格好と風貌であったそうである。

 トレーナーの格好など画一化されて久しい。少年達がどのような格好であったのか、結局最後まで判明する事はなかったのだ。

 バスの運転手はその翌日、あまりの積雪にバスの運行を断念した、と警官に返し、その上でこう結論付けた。

「少年達は慣れない雪路で道に迷ったのではないか」

 ――遭難。

 それは真っ先に思い浮かべるもののはずであったが、南国島アローラにおいては当てはまらない。

 冷害が発生した件数が少なく、積雪による遭難などまず起こり得ないからだ。

 ゆえに、対処法も存在せず。

 警官もバス運転手も、雪が解けるのを待つしかない、と結んでいる。

 しかし、当たり前の事であるが、雪解けまで待つほど悠長な保護者ではなかった。

 独自に捜索隊を結成すると警官に突きつけ、責任の所在を取らせようとしたのである。

 その際には、警官もさすがに慌てたらしく、記述の中に焦りを滲ませた。

「あの母親の度量にも困ったものだ。トレーナーの行方不明者など、数え始めれば星の数にも登る」

 極めつけは、少年は十二歳。アローラの決め事では、十歳以上のトレーナー取得者に関しての積極的な関与はしない、とある。

 つまり生きるも死ぬも、そのトレーナーの力量次第。

 この言及もそこに端を発しているようだ。

「私は……奥さん、あなたは少しばかり心配性だ。子供の家出くらい大目に見ればいいではないか。少し家を空けたくらい、カントーの立派なトレーナーなんて十年近く帰ってこない、と言っておいた。だが、母親にはその論法は通じなかったらしく、捜索隊の結成は時間の問題であった。私はここに来て始末書を書かされるのは嫌だったので、母親と捜索隊の結成には従った」

 彼は結局、母親の声には逆らえなかったのだ。

 それが結局のところ、絶望の始まりだとは、この時、誰も思わなかったようである。


 捜索隊の発足には地方自治体と母親の集めた生え抜きのエリートトレーナーが選ばれた。

 彼らはポケモンによる難事件の解決、ポケモン関係のいざこざ専門の火消し屋であった。いわばポケモン界でも選ばれた人間達。彼らの決定を覆すのは難しく、失踪三日目にして、この案件は転がり始める事になった。

 捜索隊の一人はこう述懐している。

「正直なところ、母親の強硬さに関しては疑問を挟む部分もあったが、慣れない土地で子供が行方不明となれば動かぬわけにもいかない。何よりも、大枚をはたいてもらっている。仕事の分くらいは働こう」

 アローラの土地勘のある人間ならば既に察しがつくと思われるが、アローラ地方はカントーに比べ、断崖絶壁や人の手の及んでいない秘境や魔境の数多い場所。

 当時の人間の価値観ならば母親の焦燥も分からなくもない判断であった。

 だが同じくらい、アローラの人々は感情の起伏が緩やかで、どうせこうして人々が松明片手に捜索隊を掻き集めたところで、ほとんど用を成すまい、と考えていたのである。

 その思考回路は、捜索隊隊長を務めた人間の記述に見られた。

「アローラで生きるか死ぬか、という極地に見舞われる事は確かに数多い。だが、自然の雄大さを湛えている場所で、そのような詮索は野暮に等しいのだ。ホウエンの海域で海難事故を危ぶむが如く、それはまったくもって取り越し苦労というほかない。母親に、あなたとあなたの子供はそれを承服してこの地に分け入ったのでしょう、と言い聞かせてもよかったが、そういう事には慣れていない」

 喧嘩っ早く、他人の意見には耳を貸さない、というような門外漢は、そもそもアローラの気風に向いていない。

 その穏やかさは、後年明らかになったポケモンの異常進化形態――リージョンフォームの一つ、アローラライチュウをもってして「パンケーキの食べ過ぎでそうなった」と結論付けていた事からも明らかだ。

 彼らに深い洞察力を求めてはならないのである。

 ゆえに、捜索は難航した。

 八番道路で行方不明になったからと言って、では八番道路に急行する、というのは馬鹿げていたのである。

 まずは現地の人々の話を統合し、少年達が自然に近い形で発見されるのを待つべきだ。

 そのほうが少年達の事を、翻って大事に思っている事に繋がるからである。

 トレーナー放任主義ではない。彼らの前途を真に危ぶむのならば、決断と冒険の偉大さを自ら知るのもまた、旅の醍醐味の一つだと考えたのである。

 結論として、八番道路周辺はここ一ヶ月間、ほぼ封鎖状態であったのが分かった。

 雪による道路状態の劣悪さ。観測所は完全に機能を停止し、この年、星の観測も儘ならなかった事が明らかになっている。

 記述では、観光客の激減に伴い、観測所の職員達は、ただただ冬が過ぎるのを待つしかない、とまで思ったようだ。

 冷害がここに来て障壁となったのである。

 母親はヒステリックに喚くかに思われたが、案外、現地の判断には冷静に対応している。

 それは彼女もまた、自分が門外漢である事を悟っていたのもあるのだろう。

 あるいは少年達の動向が、どこかで他人事に思えていたのかもしれない。

 自分で起こした火種でありながら、母親は少しずつ醒めていく己の心に、一つの文章を綴っている。

「私は……子供の事など心の底ではどうでもいいと思っていたのかもしれません。いいえ、それもまたポケモントレーナーの醍醐味、旅の一つの形であるとも。カントーで大成しなかった長男を、アローラの土地が癒してくれるとも思っていたのかも。……いずれにせよ、私はあまりに愚鈍で、あまりに軽率で、あまりに……無力でした」

 母親の記述は後にも先にもこの一文だけだ。

 それは、捜索四日目にして先遣隊が拾い集めた文献が影響しているのだろう。

「八番道路は冷害の影響を受けたせいか、冬眠し損ねたポケモンが徘徊している。周辺住民に三件の被害あり」

 その報告を受けた捜索隊の隊長は、被害を受けた三件の家屋を訪問した際、すすり泣く子供の背を撫でてこう尋ねた。

「お母さんはどこへ?」

 子供は窓枠を示してたどたどしいアローラ訛りでこう返した。

「連れて行かれた」

 何に、という主語を欠いたその発言に、先遣隊は窓枠に貼りついた海苔のようなものを発見した。

 赤黒く、先端に行くに連れて茶褐色が混じる。

 人の毛髪であった。

 茶褐色の部分は皮膚から削げ落ちた部位なのだと分かった時、先遣隊の一人が貧血に見舞われた。

 もう一件の被害家屋では暖炉が荒らされており、ケイコウオを日干しにしたものが奪い取られていた。

 暖炉につけられた荒々しい爪痕から、当初、先遣隊は強盗団の線を疑ったようである。

「新手の犯罪被害かもしれない」

 そう判断した材料は二つ。

 一つは、最初に訪れた家屋の母親があまりに若かった事。もう一つは、ケイコウオの日干しは一部地域においては重宝されており、貴重なため持ち帰って流し売りでもするつもりである、という結論からであった。

 犯罪被害となれば動かざるを得ないのが現地警察なのであったが、既に警官に一報が入っており、この時点で現地警察の介入は大きく遅れた。

 現地をにわか仕込みで知っている者達が大挙として動いている状態で警察まで動けば、何事か、アローラの危機か、とただでさえ温厚な人々に苦痛を与えかねない。

 現地警察が結局、この一件に関与したのはこの第一報より二十日後になる。

 それまで、ほとんど素人の群集に過ぎない彼らが八番道路の積雪地帯に一番接近していたのは、相当に危険な行為であったが、先遣隊と分隊による報告と対処、という形で落ち着いていたのはある種の僥倖だろう。

 無用な被害を、出さずに済んだのだ。

 明けて五日目、三件目の家屋にはきつい、血の臭気が漂っていた。

 虫ポケモンのたかる家屋の軒先で人が流したのにしてはあまりに膨大な量の血糊が発見される。

 致死量に値する張りついた鮮血の影に、先遣隊は震えた。

 同時に、これが犯罪集団の仕業にしてはあまりに残忍極まる、これは人間の仕業ではないのではないか、とそこに至って初めて、ポケモンによる災害を疑う事になる。

 しかし、結論を急ぐのには、まだ看過出来ない部分の数多い。

 少年達はトレーナー。ポケモンを所持していたはずだ。

 だからこそ、野性の高レベル個体に出会った程度では満身創痍で引き返す事はあっても、完全にその戦いで死に絶える、とまではいかないはず。

 捜索隊はポケモンによる被害を母親に説明し、もしもの場合、の判断を仰いだ。

「加害ポケモンを捕獲なさいますか?」

 彼らはエリートトレーナーの集団である。ポケモンに手傷を負わせ、撤退させるよりも捕獲し後年の調査に回す事を優先したのだ。

 母親もトレーナー事情に関しては一任していたらしい。そこに迷いを挟む余地はないようであった。

 捜索隊はようやく、八番道路に足を踏み入れた。

 妙に静かであった、と綴られている。

 虫ポケモンも、鳥ポケモンも、天も地も、全て時が凍ったかのように静まり返っている。

 静謐の只中で、雪を掻き分け、踏み締める音が淡々と響く。

 雪原の中に小高い山のようなものがある事に気づいた。近くには木の実の成る樹が生えている。

 熱帯のアローラには背の高い樹から大量の木の実が実り、熟成する。熟れて落ちた木の実が山を形作り、その中に群棲するポケモンも多い。

 先遣隊が木の実で出来ているらしい山を突いた。すると、ごとりと表面の雪と共に中身が転がる。

 唖然としたのは、軽く突いただけなのに、滴ったのは真っ赤な鮮血であったからだ。

 慌てて掻き出すとあまりに小さい肉片が、ほとんど日干しのように紫色に変色して現れた。

 掌ほどしかないその欠片を目にし、血潮と照らし合わせて先遣隊はその正体が人間の死骸である事を確認する。

 何かがヒトを食い漁った。

 ともすればこれは、行方不明の少年らかもしれない。

 通常ならば、これはすぐさま母親の下に取って返すべき情報であったが、先遣隊の身体が凍り付いたのは、何も冷たい外気のせいばかりではない。

 樹木の陰から現れた小山のような姿を目にしたからだ。

 慄いた先遣隊の生き残りは、その時誰とも知らず、口にしていた。

「……ヌイコグマだ」

 呟くような、声音であった。


 捜索隊の本陣は暖を取り、母親と警官共々、先遣隊の持ち帰る情報を心待ちにしていた。

 八番道路に踏み込んだのだ。それなりの情報は持ってきてもらわないと困る。

 捜索隊の隊長はこの時、疲弊の中に母親へと交渉を持ちかけたらしい。

「今のままだとあまりに料金倍率が釣り合いません。このまま継続調査となると、少しばかり上乗せしてもらわないと、捜索隊維持も馬鹿にならないんですよ」

 好機だと感じたのだろう。今の母親ならばどのような料金でも子供達を連れ戻したいはずだ。

 その弱みに付け込んだ話。通らないはずがない、と。

 しかし母親がそれに返答する前に、先遣隊は帰還してきた。

 皆、恐怖と戦慄に満ちた顔色を湛えて。

 何があったのか、と問い質してもその数人には最初、要領を得ない返事ばかりが見られた。

 火を焚いて一時間、ようやく一人が話せるレベルになった。

「……ポケモンだ」

 まず間違いなく、先遣隊はポケモンに襲われたのだ。この報告がもたらされた時、既に夕刻であった。

 差し込む斜陽を眺め、隊長は先を促す。

「それは……分かったが、どのようなポケモンなんだ?」

 震える呼気を漏らし、先遣隊の一人は酷く疲弊した様子で答える。

「ヌイコグマだ」

 ヌイコグマ、というポケモンに関してこの時、理解されていたのは現在の図鑑説明に落ち着く前のものである。隊長が尋ねたのは、あの愛らしいヌイコグマか、という逆質問であった。

「スーパーなどでも力仕事をしてくれている。あんなポケモンに殺傷は出来ない」

 先遣隊の人々はしかし、頑として首を横に振る。

「あれは……ヌイコグマだった」

 錯乱しているのか。隊長は日を改めますか、と警官と母親に了承を取った。

 帰ってきた先遣隊はその時点で八名。二名減っている事に、この時、驚くべき事ながら誰も気づかなかった。


 エリートトレーナー同士の派閥競争というものがある。

 彼らは地方においてジムトレーナークラスの権限を与えられたエリートだ。捜索隊の職務に就いていた者達は皆、ジムトレーナーと同等か、あるいはそれ以上の権限を有している。

 つまるところ、それほどの力量の者達が帰還に支障を来たすはずがない、という慢心があった。

 ポケモンを所持しているキャリアも長く、彼らのような実戦経験を持つトレーナーのポケモンは総じてレベルが高い。

 結論として、先遣隊の一部はその不明ポケモンと交戦しているはずだ。

 日が昇り、ようやく落ち着きが戻ってきた先遣隊の提言したのは彼らの救出であった。

 しかし、捜索隊隊長はここで判断を渋る。

「仮にもエキスパートである自分達が浮き足立てば、料金倍率の釣り上げを依頼主が断る可能性がある」

 彼らはポケモンを操る強みがあるのと同時に、商人であった。

 自分達のスキルを売り込んでいるのに、タダ売り同然で買い叩かれるのは我慢ならない。ここでスキルの低さを見せれば、母親はきっと捜索隊そのものを打ち切るであろう。

 鈍らせた判断は見積もったところ、三時間ほど。

 この三時間が、二つの命運を分けた形となった。

 一つは、捜索隊全滅の危機に瀕する事を救った事。

 もう一つは――逃げ切れなかった先遣隊の命を確実に奪った事だ。

 時間が経ってようやく動き出した捜索隊は八番道路に遂に踏み入った。捜索隊の一人の述懐にこの時、こう評した者がいる。

「穴ぼこだらけの地面だ」

 新雪の上に、ところどころ楕円の形状を持つ穴が開いている。自然陥没だろうか、と疑っていたところ、新たに降り積もった雪の上で転がっている物体を目にした。

 先遣隊の代表者が駆け寄り、その物体を揺する。

「……先遣隊の、逃げ遅れた隊員です」

 搾り出すように口にした隊員は喉元を引き裂かれた死骸に涙を落とした。

 捜索隊の人々はこの時初めて、ポケモンによる被害の実態を理解したのである。

 もう一人の逃げ遅れた隊員は見つからなかった。

 代わりに、点在する陥没痕を辿っていく事に決定した。

 用いられたのはエーフィというポケモンである。

 比較的軽量なポケモンであるエーフィならば陥没に晒されずに済む。雪の上をほとんど足跡さえも残さず、エーフィは額から発する念動力で人気を探った。

 エーフィが一声甲高く鳴いた。

 捜索隊が殺到すると、そこには洞穴が広がっていた。

 大人三人分ほどの深さがある。慎重に足を進めると、湿った何かを靴先が蹴った。

 懐中電灯の光が地面を這い、その行方を探る。

 楕円の光源が映し出したそれに、一同の表情が凍りついた。

 切れ端である。

 ちょうど野球ボールほどの大きさの物体の切れ端が吹き荒ぶ風にころころと移動しているのであった。

「脅かすなよ」

 隊長はそれを拾い上げた。

 どうせ、冬眠ポケモンの食料か何かだと思ったのである。木の実の欠片か。あるいは毛皮か何かだと。

 拾い上げた物体からぼとり、と粘着した物質が零れ落ちた。

 眼球であった。

 手の中には、顔面の切れ端が、落ち窪んだ眼窩から隊長を見据えている。

 目の下に特徴的な泣き黒子をつけたまま。

 悲鳴、あるいはそれは純粋なる恐怖。

 恐れ戦いた隊員達が洞穴から逃げ出してきた。隊長はそれを捨て去り、ああ、と呻いた。

 捜索隊が発足して五日目。

 子供達が死亡してから一週間が経っていた。


 死体は切り分けられたパズルピース、あるいはピザのように複雑であった。

 発見されたのは顔面の一部に頭蓋骨。肉の削げ残った大腿部、靴、そして――赤い帽子。

 ポケモンは、というと、所持していたらしいポケモンは一つもモンスターボールを開く事はなく、洞穴の中に転がっていた。

 ホルスターから外された様子もない。

 他にあったのは剥離したモンスターボールの欠片であった。黄色と水色をベースとしている事から鑑みて間違いない。

 その種類はクイックボールであった。

 モンスターボールは捕獲失敗すると四散し、内側が外側に捲れ上がる形で剥離する。

 これは捕獲失敗ボールの再利用を防ぎ、なおかつ内壁が溶け出す事で自然消滅し、自然を害さないボールとして成立させる事に由来する。カントー、ジョウトが威信をかけて造り出した新型ボールは、捕獲失敗の痕跡として無残に散らばっていた。

 少年達は全滅、逃げ遅れた二人のうち、一人は即死。片方の生死は分からないものの恐らく重症であるのは疑いようもない。

 隊長は決定を求められていた。

 ヌイコグマによる災厄だと結論するのは隊長の役目である。

 しかし、彼は事ここに至っても判断を渋っていた。

 ヌイコグマはアローラにおいて一般認知度の高いポケモンである。そんなポケモンが人を害したなど、世界規模で飛び回ればそれこそアローラからしてみれば害悪でしかない。

 隊長が下したのは二つの決定事項のみ。

「逃げ遅れた隊員を救出する。母親には報せるな。ただし、覚悟をしておくように、と忠言だけ……私がしておく」

 隊長がどのように母親へと状況説明を行ったのか、この時点の記録は一切ない。

 ただ、記録には「無難な判断に落ち着いた」の一文のみが残されている。

 隊長は翌朝からヌイコグマ捕獲作戦を展開する事になった。

 標的は先遣隊が目にしたと言う目撃情報を基にして作成された。

 身の丈は大人三人分ほど。体長は通常のヌイコグマの倍ほどはあったと言う。

 この先遣隊からの情報を得て、隊長が提言した捕獲作戦に用いられたボールは、皮肉にも少年達の命を奪ったのと同じ、クイックボールであった。

 理由は大別すると三つである。

 この時期、クイックボールの価格は通常のモンスターボールよりも安価になっていた。大量の輸入がもたらした結果、物価そのものが下がっていたのである。

 もう一つは遭遇した瞬間、躊躇わずに投げられる事。

 クイックボールは一発でポケモンを捕獲する、という設計思想に基づいている。戦闘でポケモン達を疲弊させるのも惜しい。

 人海戦術で今は確実にヌイコグマを捕獲する。

 最後に、クイックボールを使用した理由としては、被害少年達への手向け、という意味もあったようである。

 雪がちらつく八番道路の海岸線を見やった隊員がふとこぼした。

「大海が凍てついている。大気が恐怖に慄いている」

 その日、沖合は大しけであった。寒冷前線がアローラを直撃し、体感温度は氷点下になっていたと思われる。

 指先のかじかむ中、黄色と水色のボールを握り締めたエリートトレーナー達がヌイコグマ捕獲のため八番道路に分け入った。

 この時点の八番道路の状態について記述しているのは先の警官である。

 彼は捜索隊に同行する事を決めたようであった。それは最初にこの事件を預かったという責任感からそうさせたのだろう。

「積雪は人の腰ほどにもあり、草むらにポケモンの気配はなく、どこか、しんと静まり返った雪原は不気味であった。まるで、こっちに来いよ、と死者が冥界に手招きしているように、誰も無口のまま、雪の根を踏み締める音だけが、ずっ、ずっ、と聞こえてくるだけだ。私は最後尾に位置していたが、ヌイコグマが子供達を襲い、人殺しをしたなど信じられず、何かの間違いだろうと思っていた。その時までは」

 隊長が待てと制止の手を払った。

 八番道路の奥地には古びたモーテルが建設されている。どうやら、モーテルの中に、ヌイコグマの足跡が続いているようなのであった。

「……慎重に行く」

 エーフィを繰り出し、彼らはエーフィの念動波で雪を掻き分けていったが、どうにも時間が経てば経つほどに、灰のような雪は濃くなっていく一方であった。

 薄汚れ、水気を含んだ服装がより、疲労感を押し付けてくる。

 モーテルを間近に控えた時、既にエーフィは疲弊し切っていた。

 隊長のポケモンに代わって自分が、という猛者はいなかった。

 誰もが皆、隊長の判断を待っていた。

 モーテルの扉をバールでこじ開け、押し入ったところで隙間風のような声が漏れ聞こえた。

 おぅい、だとか、あぁ、だとかそういう類の声音であった。

 呼びかける声に隊員の一人が恐慌に駆られたとされている。

「幽霊の声だ!」

 違う、と隊長は叫び返した。これは生きている人間の声であった。

 モーテルの内観はすっかり寂れ切っており、暗がりで一寸先も見えない中、人間一人分ほどの膨らみが地面から隆起しているのを目のいい隊員が発見する。

「あれは……逃げ遅れた同志では?」

 その可能性に至った隊長は駆け出そうとして、ふっと思い留まった。

 どうにも――出来過ぎている。

 人気のないモーテル。闇の中、判断もつかない足場。暗がりから呼びかける仲間の声。

「……罠かもしれない」

 どうしてだか、その結論に達した。

 まさか、ヌイコグマが罠など。皆がそう言いかけて、次いで闇の中に吹いた声に目を見開いた。

 ママぁ、だとか、たすけて、だとかいう声。

 少年だ。子供の生き残りがいたのだ。

 助けなくては、と逸りかけて隊長は先ほどの疑念を濃くした。

 どうして、一週間前ほどに襲った子供を今、生かしておく? どうして、昨日片割れを殺した人間を今、この場に生かしておく?

 疑念が恐怖へと変わり、隊長は強い語調で命令する。

「これは罠だ。わざと、動けないようにして生かされているんだ」

「そんな……! ポケモンがそんな知能を持つなんて」

「だが目の前の現実は、罠の可能性を色濃くしている。私の判断に、まずは誰も何も言わずに静観していて欲しい」

 隊長はそっと、球状のものを転がした。

 緩やかな傾斜のモーテルの奥へと、ボールが転がっていく。

 声の発せられている場所に到達した途端、何かが闇の中で飛びかかった。

 直後、噴射したのは煙である。

 ポケモンから逃げる時に用いるケムリ玉を使用したのだ。飛びかかった何かが呻いて足を踏み鳴らした。隊長が懐中電灯の光で照らし出す。

 その時初めて、捜索隊の人々の視界に、ヌイコグマが入った。

 身の丈は大人の三倍ほどはあっただろうか。

 体長はもっとだ。寸胴で、通常のヌイコグマよりもずっと大きい。冗談のように丸まった尻尾が今はただの畏怖の対象でしかない。

 巨大なヌイコグマはケムリ玉をしきりに叩きのめし、怪力で粉塵を撒き散らした。

 即時退却を判断した隊長は間違っていなかったと思われる。

 モーテルは完全にヌイコグマのテリトリーであった。

 逃げ出した捜索隊の人々は逃げる間際、めいめいにクイックボールを放った。

 一つでも命中すれば捕獲のチャンスはあると思ったのだろう。

 しかし、命中の手応えを得られぬまま、捜索隊の人々がモーテルから八番道路へとなだれ込んだ。

 誰一人として、深追いはしなかった。

 目にしたヌイコグマは明らかに常軌を逸している。

 肩で息をする大人達は一人、また一人と憔悴した面持ちで隊長に最終決定権を仰いだ。

 隊長、隊長、と誰もが声にする中、極限に駆られた隊長がこの時下せたのは三つの結論。

 子供達は死んだ。ヌイコグマに囮にされていた子供も恐らくは生殺しの状態であったのだろう。

 もう一つは、逃げ遅れた先遣隊の二人の死亡。

 最後の一つは、自分達はヌイコグマ一体に対して、あまりにも無力であった、という結論であった。


 ヤトウモリ、という毒ポケモンがいる。

 アローラに群棲するポケモンで、多くの生息地が発見されている中、このポケモンの放つ毒ガスを有効活用しようという発明が行われた。

 ヤトウモリのガスを細分化し、薄め、これが何と香水の素になるというのである。ヤトウモリの香水は海外では高く売られており、世界シェアの規模を誇っていた。

 フェロモン香水に分類されるこの香水の事を、エリートトレーナーの身分ならば知っていても何らおかしくはない。

 彼らが呼びつけたのは、アローラに長く住んでいるヤトウモリ使い達であった。彼らはお互いにヤトウモリの毒性を知り尽くしている。その毒性の薄め方も然り。

 協力を仰いだ隊長はまず、ヤトウモリのフェロモンでポケモンを誘い込むのは可能か、と尋ねていた。

 一族を連ねるのは老婆である。

 彼女は、どうしてそのような事を、と聞き返した。

 多くは話せない、と前置いた上で、隊長はヤトウモリのフェロモン作用を使い、荒れ狂ったポケモンを誘い込めるかどうか、だけを詰問していた。

「可能だが、何に塗りつける? ヤトウモリ単体では、それほど魅力的な餌にはなり得ない」

 廃材、干し草、あらゆる選択肢があったが、どうしてだかこの時、隊長の脳裏にあったのはたった一つだった。

「ヒトの死骸、でもヤトウモリの香水の作用はあるか?」

 一族の男達がその言葉に瞠目する。

 狂気に走ったように思われたのだろう。しかしこの時の隊長の手記は極めて鮮明であり、平時よりもなお冷静な状況判断能力を持っていたと思われる。

 老婆はただ一言、返した。

「可能だ」

 採取出来たのは少なかった。

 元々棺に入れるはずであった遺体にヤトウモリの香水成分を振りかけ、干し肉のように晒して陣を組んだ。

 捜索隊は最早、その名を変えていた。

 ヌイコグマ討伐隊は全員が固唾を呑んでクイックボールを握り締めている。

 八番道路のモーテルにも充分匂いが届くように火を焚いた。これは最初の被害にあった家屋の一部で干したケイコウオや暖炉に相手の爪痕があった事から結論付けられた事実であった。

 ――この個体は火を恐れない。

 陣の先頭には隊長が立ち、額に鉢巻を巻いていたという。

 この時の隊長を隊員の一人はこう評する。

「目は赤らんで炯々として、血走っていて、とてもではないがまともだとは思えなかった。だが、おい、火が弱いぞ、だとか、命令する声は怖いくらいに冷徹で、そして迅速であった。彼が正気であったのか既に狂気の沙汰であったのかを我々に判断する事は最早出来なくなっていたのだ」

 その時、闇が身じろぎした。

「来た」

 誰かの声に討伐隊全員に緊張が走る。

 クイックボールを握る掌が汗ばみ、背にした炎のせいか、全員の頬から汗の粒が湧き出ていた。

 しかしヌイコグマはここで踵を返した。

 ヤトウモリのフェロモンの臭気は満ちているはずである。この誘惑を断ち切られればそこまでだ。

 隊長が立ち上がり、声を荒らげた。

「逃げるのか!」

 ヌイコグマは、その挑発には乗らず、モーテルへと戻っていった。

 静寂の中、しけた大波の砕ける音だけが、深く低く残響した。


 最初の報告から九日が経とうとしていた。

 死骸はせめて焼いてくれ、と誰かが懇願したらしい。焼かれた遺骸から漂う禁忌の芳香に彼らは沈痛な面持ちであった。

 きゅぅ、と誰かの腹の虫が鳴った。

 もうまともに食事をしなくなって三日は経っている。

 しかし食事にしようと誰も言い出さないのは、このような場で誰が飯になどありつけるというのだ、という無言の脅迫観念があったからだ。

 彼らはたった百メートル程度先のモーテル一つに陣取る、たった一体のヌイコグマに煮え湯を飲まされていたのである。

 頬杖をつく男の一人がふと、呟いた。

「殺しては、駄目なのだろうか」

 誰かが言い出さないだろうか、と思っていた。だが誰も言い出さなかったのは、何も殺す事はあるまいと温情の心があったからだ。

 だが、事ここに至って、殺しを渋る理由もまた存在しない。

 被害にあったのは少なくとも五人。

 うち三人は罪もない子供。

 今さら捕獲を提言したところで、人肉の味を覚えたヌイコグマなど誰が使用するものか。

「殺害を依頼しよう」

 憔悴し切った隊長はようやく、と言った様子で切り出した。

 ヌイコグマ殺害の依頼を受けたのは当時のアーカラ島における試練の統括者であった。俗に「しまキング」と呼ばれる実力者である。

 彼はヌイコグマ殺傷を引き受けた。

 その際、自分の援護に二人つけるようにだけ条件を提示した。

 立候補したのは隊長と副隊長である。共に、ここで死んでもいいと思っていたようであった。

 しまキングはモーテルへと続く雪路を一体のポケモンで突破させた。

 そのポケモンの名前は一般には知られておらず、資料も残されていない。ただ「強力なポケモンであった。見た事もない」と記されているのみだ。

 融解した道路を行き、しまキングはモーテルの二十メートル手前で足を止めた。

「来る」と一言だけ添えられ、しまキングが姿勢を沈める。

 瞬間、大気が鳴動し、モーテルから一匹の黒々とした影が躍り出た。

 その速さに隊長と副隊長がホルスターからボールを抜く前に、しまキングが一声張った。

 静止した巨大なポケモンは確かにヌイコグマであったが、薄ピンクの身体が赤黒く汚れており、体毛も黒ずんでいた。

 胴体が異様に長く、頭上のカチューシャ型の耳が発達していたとされている。

 進化途上の個体、としまキングが一言だけ漏らしたのを聞き留める。

 次の瞬間には襲いかかってきたヌイコグマの前足をしまキングの操るポケモンが薙ぎ払った。

 前足が根元から断ち切られ、宙を舞う。

 回転しながら落下してくる丸太のような前足を隊長はじっと見つめていたらしい。

 その間にも状況が動く。

 しまキングの放った一撃がヌイコグマの胴を撃ち抜いた。

 実に十日間、人々を苦しめてきたヌイコグマはしまキングによってたった二発の攻撃のみで無力化された。

 前足が落下した場所が陥没し、その質量を実感させる。

 切り拓いた胃袋からは少年のものと思しき衣服、それに多量の毛髪が発見された。

 ヌイコグマの死骸を討伐隊は殴る、蹴るなどして痛めつけたが、誰一人としてその実感を得ぬまま、ヌイコグマの遺骸は八番道路を下っていった。

 途中、しんしんとこの三日間降り続いていた雪が急な横風に変わり、前も見えない吹雪となって討伐隊の目を眩ませた。

 彼らが人里に戻ったのは四時間も後の事になる。

 母親の記述は完全に途切れ、警官の記述もここに至っては存在しない。

 隊長の手記の最後には、こう綴られている。

「ヌイコグマは凶暴であった。私達はせめて、見た目だけでポケモンの能力や性質を判断せぬよう、後世に伝えるまでである」

 この記述から現在のアローラ図鑑の記述に結びついたと言われている。

 怪力無双。凶暴なヌイコグマの図鑑説明は先人達の作り上げた身を削る記録の結晶であった。

 なお、この個体は進化途上の個体とされ、今も一部研究機関では剥製が作られその性質解明に当たっている。アローラは八番道路で今も、ヌイコグマの性質調査の追跡レポートが実施されており、新人トレーナーにヌイコグマの恐ろしさを伝える役目を果たしている。

 クイックボールは厳しい販売制限が設けられ、この事件のあった八番道路より以前において新人トレーナーに売買するのは厳しく法律で禁止されるようになった。

 ヤトウモリを操り、この戦いに参加した一族はしまキングに認められ正式に試練の一任を約束されたらしい。

 アローラ史上、最も残忍な事件としてヌイコグマは一時期指定される事もあった。

 この事件を発端としてか、アローラポケモンの図鑑説明基準が繰り上げられ、通常よりも凶暴に設定すべきだという議論が白熱したが、その真偽のほどは毎年開催されている有識者会議で明らかとなっている。

 ヌイコグマの根城となっていたモーテルは建て替えられたが、その一部に妙なスペースの空白があるのをご存知だろうか。

 あの場所に海を望む慰霊碑を建築する予定であったのだが、モーテルの責任者がその計画を取り下げ、近くの霊園に被害者達は埋葬された。

 全ては歴史が証明するよりも、今、生きている人間が判断を下すべきである。

 最後になったが、ヌイコグマの最新版の図鑑説明を記述しておく。


 ヌイコグマ

 ――じたばたポケモン。愛くるしい見た目だが、怒ってジタバタする手足にぶつかると、プロレスラーでも吹っ飛ばされる。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。