青い空、白い雲、揺れる波と砂浜。
いつもと変わらない景色、いつも流れ着く場所。
♂♀♂♀たまに子供。
毎日変わる顔、毎日違うニンゲン。
怖い顔、ニヤニヤ顔、必死な顔。誰一人目を合わせてはくれない。
触り心地の悪い手に乱暴に掴まれて、元来た海へ投げられる。仲間もみんな投げられる。
ポチャンと沈んで消えていく。ニンゲンの顔消えていく。水面に揺れて消えていく。
明日もきっと今日と同じ、変わらない。
青い空、白い雲、揺れる波と砂浜。
いつもと変わらない景色、いつも流れ着く場所。
覗きこんでくる瞳、目を合わせてうれしそうなにっこり笑顔。
「これがナマコブシかぁ。むにゅっとしてて可愛いね!」
楽しそうな声、知らない匂い、優しい手。包み込むように持たれる。
「それじゃいっくよー!」
優しい手が離れていく。いつもより近い海にポチャンと沈む。
水面にニンゲンの赤い頭が揺れる。忘れないように中身の手を伸ばして、力強く握りしめた。
今日は昨日よりずっといい日だ。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。