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「ダムを埋める話」(作者:円山翔さん)


全ての始まりは、ノストラダムスの熱烈な信者であり自らも数々の予言を残しているコパア・カワイ氏によるこの一言から始まった。


「20XX年、世界はダムの底に沈みます!」


この予言を阻止すべく、動き出したのはなんとスナバァであった。アローラ中の溜池という溜池に飛び込み、自らの体で溜池を埋め始めたのである。


スナバァの特性はみずがため。水タイプの技を受けると体が固まって防御力が高くなるのである。いや、この際防御力など問題ではない。世界がダムの底に沈んでしまうのであれば、その元凶であるダムを沈めてやる。そんな意志が感じられる行動であった。


結果としてアローラ地方にある溜池という溜池が埋め立てられ、そこに住む生物はことごとく生き埋めとなってしまった。スナバァ自身もその個体数が激減し、アローラ地方に生息する水生ポケモンの大多数、及びスナバァが絶滅危惧種に指定されてしまうという事態にまで発展した。


かつて溜池だった場所には、いくつもの真っ赤なスコップが誇らしげに立ち並んでいるという。そしてそのスコップを持ち去ろうとすると、地獄の底から響いてくるような恐ろしい声が聞こえてくるという。





































「という事があったらしいぜ。誰かの頭の中で、だけどな」

ダムの底に沈んでしまった世界を眺めながら、誰かがぽつりと呟きました。


それはそれとして世界はダムの底に沈みました。だからもう、どうしようもありません。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。