Basic Informations:
- Subject ID:
- #96941
- Subject Name:
- 手をつなごう
- Registration Date:
- 2000-09-20 10:00:00
- Precaution Level:
- Level 3(2002-11-18 以前)→Level 5(2002-11-18 以降)
Handling Instructions:
Webサイト#96941に該当するWebサイトを発見するため、本案件専用のクローラーが運用されています。クローラーが新たなWebサイト#96941を発見した場合は、直ちに電子掲示板への書き込み内容を記録した後、アクセスを遮断するためのコンテンツフィルタを作成し、インターネットサービスプロバイダに提供してください。
Webサイト#96941に書き込みがあった場合、直ちに投稿者#96941に接触し、カバーストーリー「違法に入手された携帯獣」に基づき、携帯獣#96941及び携帯獣#96941が収容されたモンスターボールを押収します。被害者#96941となった人物はプロトコルUXに基づくクラス1記憶処理を施した後に解放してください。
押収された携帯獣#96941はカントー地方トキワシティ第十二支局の、自動給餌器と自動清掃器が備えられた専用収容フロアに収容されます。実験等で携帯獣#96941に直接接触する際には、3名以上のレベル3セキュリティクリアランスを持つ局員の承認を得なければなりません。
[2002-11-18 Update]
携帯獣#96941への直接接触はいかなる場合においても禁止されています。携帯獣#96941は押収の後、速やかにモンスターボールからの解放禁止措置を施し、データ化した上で専用のサーバに保管されます。保管されている携帯獣#96941の復号はいかなる理由によっても許可されません。
携帯獣#96941の押収の際は、機動部隊イプシロン-タンザナイトが派遣されます。携帯獣#96941並びに被害者#96941の抵抗が激しい場合には、致死性の武器を用いた制圧も許可されます。制圧時に死者が生じた場合は、カバーストーリー「携帯獣取り扱い中の事故」に基づき処理を行ってください。
Subject Details:
案件#96941は、インターネット上で観測される初心者トレーナー向けWebサイト(Webサイト#96941)、及びWebサイト#96941の管理者が提供しているものと思われるニンフィア(携帯獣#96941)と、それに掛かる一連の案件です。
2000年2月頃、トレーナーを志望する児童の連続失踪事件を捜査していた警察から「事件に関連している可能性が高い不審なWebサイトが存在する」との報告が寄せられました。以降に行われた警察との合同捜査において、Webサイト#96941および携帯獣#96941の異常性が認められたため、案件として取り扱うことが決定されました。
Webサイト#96941は、インターネット上に不定期的に開設される『手をつなごう』という名称のポケモンの譲渡を目的とするWebサイトです。Webサイト#96941では、ポケモンを所有していないトレーナー志望の児童を主な対象に『最初のパートナーとして先着5名にニンフィアを無償で譲渡する』という内容が記述されており、連絡手段として用いる電子掲示板が併設されています。電子掲示板の他に、運営と思しき団体名・代表の氏名・住所も併記されていますが、これらの情報は新たなWebサイト#96941が開設されるごとに変更されます。また記載されている住所も規則性のみられない一般家庭や商業施設のもので、その住所における記載された名称の団体の活動、記載された名称の人物の居住が行われていた痕跡が確認された例は存在しません。Webサイト#96941の管理者を特定する試みは現在も継続中です。
Webサイト#96941にニンフィアの所有を希望する書き込みを行い、かつその書き込みがサイト開設時点から数えて5番目までの間の投稿であった場合、投稿への返信が行われてからおよそ2~5日後に、書き込みを行った人物(投稿者#96941)の自宅にモンスターボールが配送されます。モンスターボールの配送に住所の記載は不要であり、また配送は投稿者#96941の不在時又は睡眠中に瞬時に行われることが判明しています。Webサイト#96941の運営が如何なる手段で投稿者#96941の住居の把握、及びモンスターボールの配送を行っているかは明らかになっていません。
届けられたモンスターボールには、携帯獣#96941が収容されています。モンスターボールから開放されると、携帯獣#96941は対面した人物(*1)に触手を用いた接触を試みます。携帯獣#96941の触手に接触した人物(被害者#96941)は、多幸感を覚えると同時に『携帯獣#96941をパートナーとして旅に出たい』という強い願望を抱くようになります。この願望は非常に強い精神影響によるものと考えられており、被害者#96941は必需品を揃えるなどの準備もしないまま、旅に出るために外出しようとします。いかなる物理的妨害によっても被害者#96941の外出の意思を妨げることはできませんが、プロトコルUXに基づくクラス1記憶処理を行うことで精神影響を除去することが可能です。
外出した被害者#96941は、外出してからおおよそ3日以内に、携帯獣#96941と共に失踪します。これまでに失踪した被害者#96941が発見された例は存在せず、いずれのケースにおいても遺留品は一切発見されていません。
トレーナーのもとに配送された携帯獣#96941が5体になった、又はアクセスが遮断された時点で、Webサイト#96941は閉鎖され、インターネット上から削除されます。数日間~数か月(*2)の間をおいて、Webサイト#96941は別個のアドレスを取得して再度開設されます。
現在、当局が収容している携帯獣#96941の個体数は24体です。収容された携帯獣#96941の個体数が5体を超えてからもウェブサイト#96941の活動は継続しており、携帯獣#96941の総個体数は現状明らかになっていません。
携帯獣#96941の持つ異常性は、投稿者#96941以外の人間に対しても何ら変わりなく作用するため、原則として携帯獣#96941との接触を禁止する現在の収容プロトコルが制定されました。
(*1)多くの場合は投稿者#96941です。
(*2)Webサイト#96941が閉鎖されてから再開設されるまでの期間は、観測される限りでは最短で3日、最長で97日間です。
[2002-11-18 Update]
2002-9-7正午過ぎ、実験のため携帯獣#96941との接触が試みられた際、携帯獣#96941の1体が実験担当者を襲撃、その場で担当者を捕食しました。同時に、11体の携帯獣#96941の収容違反が発生、機動部隊デルタ-エメラルドによって約4時間後に鎮圧されるまでに職員13名が殉職、27名が負傷しました。
収容違反を引き起こした携帯獣#96941は、すべての個体が人間の捕食を試みていたことが判明しています。これにより、携帯獣#96941と共に行方不明となった投稿者#96941は、携帯獣#96941によって捕食された可能性が指摘されました。
また、この収容違反の後、未収容の個体も含めた全ての携帯獣#96941、並びに2002-9-7以降に携帯獣#96941の影響を受けた被害者#96941は、当局職員に対して著しい敵対的反応を示すようになりました。当局に関する情報が、如何にして未収容の携帯獣#96941に共有されたのかは不明です。
携帯獣#96941の危険性、対処の困難さ、並びに当局内部の情報が外部に漏えいしている可能性を受け、案件担当者は案件#96941のレベルを、従来の「3」から通常案件における最大の「5」に引き上げることを提起し、裁定委員会もそれを承認しました。
このレベル引き上げに伴い、収容プロトコルの改定が行われ、携帯獣#96941押収任務を専門とする機動部隊イプシロン-タンザナイトが編成されました。
Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。