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#97055 「勝者は誰だ?」 (作者:586さん)

Basic Informations:

Subject ID:
#97055
Subject Name:
勝者は誰だ?
Registration Date:
2000-10-03 15:00:00
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

イベント#97055に関する情報は、4人の案件副担当者によって個別に収集されています。案件副担当者は収集された情報をデジタル化して案件別サーバへ標準手順による暗号化の上保存し、自動解析ツールを実行して結果を確認してください。解析結果は手順シスル-Fに基づき暗号化されます。案件担当者は、手順シスル-Fによって暗号化された解析結果のみを参照することができます。副担当者が収集した情報を参照することはできません。


副担当者は、それぞれに割り当てられているイベント#97055の関係者(それぞれ対象#97055-1から-4と指定)の行方を捜索してください。対象#97055は非異常性の人間と推定されています。これまでのところ、すべての対象#97055について現在の所在地を絞り込めていない状態です。対象#97055への接触に成功した場合、イベント#97055で起きた出来事について詳細なヒアリングを実施してください。


副担当者は本案件に関連しない事項であれば相互に接触・会話することが許可されていますが、本案件に関する事項については決して相互に会話してはなりません。プロトコル違反が発生した場合、程度不明の記憶障害や認識災害に繋がる虞が示唆されています。本案件に関する活動は、案件担当者からの指示に従って執り行われなければなりません。案件担当者は副担当者と直接接触してはならず、局内メールまたは局内掲示板を使用した連絡のみを行ってください。

Subject Details:

案件#97055は、あるポケモンリーグの地区大会(イベント#97055)に絡んで発生する事象(事象#97055)とその関係者(対象#97055)、及びそれらに掛かる一連の案件です。


イベント#97055は2000-08-14にイッシュ地方フキヨセシティにて開催された、イッシュポケモンリーグの地区大会です。記録によると大会は特段のトラブルもなく成功のうちに閉幕したとされ、また何らかの事件が発生したとの報告が寄せられたこともありません。大会スタッフ・参加者・観戦者の身辺に事件/事故があったという記録も存在せず、ほとんどの関係者について消息が明らかになっています。


イベント#97055の特異な点は、言及される人物によって大会参加者の順位付けが変動することです。これを事象#97055と呼称します。事象#97055は1位から4位までの参加者について見られるもので、5位までの順位については確定しており決して変動することはありません。事象#97055による順位付けの変動は関係者#97055-1から-4の順序が異なるという形でのみ発生し、無関係な人物や未知の人物が挿入されるケースは確認されていません。


事象#97055は、例えば以下のような形で表現されます:



[事象#97055-A]

1位:関係者#97055-3

2位:関係者#97055-1

3位:関係者#97055-4

4位:関係者#97055-2


[事象#97055-B]

1位:関係者#97055-2

2位:関係者#97055-3

3位:関係者#97055-1

4位:関係者#97055-4


[事象#97055-C]

1位:関係者#97055-3

2位:関係者#97055-4

3位:関係者#97055-2

4位:関係者#97055-1



事象#97055-Aから-Cは、当局が目的を伏せて一般市民からイベント#97055における順位をヒアリングした結果です。物理的に起こりうるすべてのパターン(24通り)の順位付けが確認され、それぞれ事象#97055-Aから-Xとして分類されました。ヒアリングされた人物が事象#97055-Aから-Xのいずれの順位を回答するかは統計的に見てやや不自然なほどに均等な分散を見せており、特定の事象#97055への偏りは観測できていません。また、特定の関係者#97055が特定の順位に位置するパターンや、特定の関係者#97055が別の関係者#97055の上位または下位となるパターンが多く観測されるといったこともありません。


事象#97055は強力な情報災害の特性を持ち、先に事象#97055に関する話題(例:イベント#97055の優勝者は関係者#97055-4だった)を口にした話者が完全な主導権を握り、その後の会話は先行して口にした人物が考えている順位付けを前提として行われます。受け手が事前に別の事象#97055に基づく順位付けを意識として持っていたとしても、会話の最中はそれを思い出すことができないか、または無意識のうちに無視します。一例を挙げると、上記の事象#97055-Aと-Bはすべての順位付けが異なっており完全に排他的な関係にありますが、例え一方が事象#97055-A(-B)の順位付けが正しいと認識していたとしても、会話の中で事象#97055-B(-A)に基づいた発言がなされた場合、少なくとも会話の最中は事象#97055-B(-A)における順位が正しいと認識します。


事象#97055の情報災害特性は、イベント#97055において実際の順位付けがいかなるものであったかを調査困難にしています。電子ドキュメントを含むあらゆる文書に記載された記録は参照する人物ごとに記載が変化し、変化した内容は当人が正しいと認識している事象#97055に基づくものになります。複数の人間が同時に参照した場合、いずれかの人間の認識に統一され、議論の場において相互の認識に齟齬をきたすことはありません。しかしながら、観測された結果からは記載内容が都度変化していることが実証されています。


事象#97055の情報災害を回避するためには、イベント#97055及び関係者#97055固有の情報を取り除く必要があります。この手続きを確立するため、自動符号化手順である手順シスル-Fが制定されました。本稿は事象#97055の情報災害の影響を受けることなく、事象#97055の異常特性について記述することが可能です。しかしながら、事象#97055の情報災害特性を完全に取り除くことはできず、仮に本稿の知識を事前に得ていたとしても、自身が事象#97055に巻き込まれていることを認識することはできないことが分かっています。


関係者#97055-1から-4については、戸籍や各種登録簿から明らかに存在することは確認されていますが、現在に至るまで行方が分かっていません。現在の案件対応方針は、関係者#97055-1から-4に接触し、事象#97055に関する情報を得ることに焦点が当てられています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。


Cracked by ティアマト彗星

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。