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15分でわかるMortal Kombatのストーリー

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目次

はじめに

15分もかかるの?と言われそうなタイトルだが、これを書いている時点(*1)で主要タイトル11本+スピンオフタイトル3本の計14本の概要についてまとめているのでご容赦いただきたい。一タイトルにつき一分、残りの一分は初めの前提事項の説明ということにさせていただく。

前提事項

読み進めるに当たっての留意事項など。

Mortal Kombat

三行で分かるストーリー

  1. 破戒僧Shang Tsung(*4)が武術大会「Mortal Kombat」を開催する。
  2. Mortal Kombatに参加した7人の戦士が戦いを繰り広げる。
  3. 最後は戦士の1人が主催者であるShang Tsungを倒し、彼の野望を阻止する。

一言付きキャラクター紹介

新登場キャラクター

次作以降の展開を踏まえた考察

長くなるので格納
  • 初代はそこまで詳細な設定が練られておらず、単に「7人の戦士が悪の拳法家Shang Tsungを倒す」というだけのストーリーと言っても差し支えない。シンプルである。
    • この頃は「Earthrealm」「Netherrealm」「Outworld」などの世界設定は無かったようで、どこにもこれらの単語が出てこない。Goroは半龍人とだけ言及されており出自は不明。
    • 乱入キャラクターであるReptileには設定と言えるようなものが全く無く、青いSub-Zeroと黄色のScorpionの技を両方使うので緑色の忍者になったという冗談のような出自がスタッフの口から語られている。
    • ただしSub-ZeroとScorpion、SonyaとKanoなどこの後のシリーズでもずっと続くライバル関係については第一作の時点で確立されており、その意味では確かに原点に当たる一本と言える。

なかったことにしてください

長くなるので格納
  • Raidenの設定とエンディング。RaidenはII以降Earthrealmの守護神として活躍(*8)するが、本作ではShang Tsungに招待されてトーナメントに参加する、エンディングで神々を招いてトーナメントを開催し地球を滅ぼすなどAlignmentがGoodというよりNewtral-Evilと言った方が正しい設定がされていた。旧作の設定は度々拾われているが、これだけは未だに一度も言及されていない辺り相当「なかったことにしてください」度が高いことが伺える。そりゃそうだろう。

Mortal Kombat II

三行で分かるストーリー

  1. 前作でLiu Kangが倒した破戒僧Shang Tsungは人間界(Earthrealm)の侵略を目論む魔界(Outworld)の王Shao Kahnの尖兵に過ぎなかった。Shang TsungはShao Kahnを説得し、再びMortal Kombatを開催する。
  2. Outworldに12人の戦士たちが集い、互いに技を競い合う。
  3. 戦士のひとりがShang TsungとShao Kahnを打倒、二人の野望を打ち砕く。

一言付きキャラクター紹介

前作から続投したキャラクター

新登場キャラクター

次作以降の展開を踏まえた考察

長くなるので格納
  • シリーズが本格的に始動したと言える作品。本作で大まかな世界観は出来上がっている。
  • 本作が初出の設定はほぼすべて後の作品でも活かされており、死んでいる設定は皆無。なかったことにされた描写も特に見当たらない。
  • 隠しキャラであるJade/Smoke/Noob Saibotについては本作では単に謎の戦士という位置付けだったのが、3以降新たな設定を付与されてストーリーに関与していくようになった。彼らのデビュー作という点でも重要なターニングポイントと言える。

なかったことにしてください

"ほぼ"と書いたのは……
  • Sub-Zeroの素顔だけは後の作品とまったく違う。が、『3』→『Deadly Alliance』→『X』→『11』(*15)と素顔はコロコロ変わっているので、取り立てて『II』のSub-Zeroの素顔だけが無かったことになったわけではない。新作が出るたびに毎回なかったことになっているのである……

Mortal Kombat 3

三行で分かるストーリー

  1. 戦士たちに敗北したShao Kahnは、一万年前に死去した妻・SindelをEarthrealmで復活させ、彼女の奪還を大義名分とすることで地球へ攻め込むことを企む。
  2. Shao Kahn率いる魔界の軍勢とEarthrealmの戦士たちが地球全土を股にかけて戦いを繰り広げる。
  3. 激闘の末戦士はShao Kahnを撃破し、魔界からの侵略を退けEarthrealmの守護に成功する。

一言付きキャラクター紹介

前作から続投したキャラクター

旧作から復活したキャラクター

新登場キャラクター

次作以降の展開を踏まえた考察

長くなるので格納
  • 大本のところは『II』で完成していた部分をそのまま引き継いでおり、各キャラクターについてより詳細な設定が付くようになった。ここで新たに作られた設定も後の作品で大部分が活かされている。
    • SmokeにSub-Zeroの親友という設定が付いたのは本作から。一方でNoob Saibotはまだ正体不明のまま。
    • Cyraxが善玉、Sektorが悪玉という立ち位置も初登場の本作にして既に設定されている。
  • Shao KahnがSindelをEarthrealmで復活させるくだりは過去作とも辻褄が合っていて開発側も気に入ったのか、リブートとなる『9』ではより詳しく描写されている。
  • 一方で本作初登場のキャラクターは意外なほど出番に恵まれておらず、StrykerやSheevaは全員集合の『Armageddon』と『1』~『3』を再構築した『9』に登場したのみ。Motaroに至っては『9』ではモブキャラに格下げされる始末。
  • 前二作から一気に作風を変え、混沌とした地球が戦いの舞台となった点について発売当時は賛否両論あったとのことだが、なんだかんだでゲームはヒットしている。
    • しかしながら忍者系キャラクターの大幅削除(*18)はウケなかったようであちこちからボコボコに非難され、結果として同じ年の12月にこれでもかと言わんばかりに忍者を追加したバージョンアップ版『UMK3』を発売するハメになる。

なかったことにしてください

長くなるので格納
  • 本作そのもの。今『3』と言うと大抵の場合『UMK3』の方を指すようになっていて、『UMK3』ではない本作『3』についてはほとんど顧みられていない。初期のアーケード作品をまとめた『Mortal Kombat Arcade Kollection』に本作ではなく『UMK3』が収録されたのもその象徴だろう。初登場キャラクターは人気を博して後のシリーズにもしっかり出演しているし設定も活かされているが、『3』自体はほぼほぼなかったことにされているのが現状である。

Ultimate Mortal Kombat 3

三行で分かるストーリー

Mortal Kombat 3の項を参照。大まかなストーリーは特に変わっていない。

一言付きキャラクター紹介

前作から続投したキャラクター

旧作から復活したキャラクター

新登場キャラクター

次作以降の展開を踏まえた考察

長くなるので格納
  • 男性6名、女性3名と過去に類を見ないほど大量の忍者が追加(*19)されているが、ストーリー的には『3』のままで何も変わっていない。
  • Jadeは本作でKitanaの側近と位置付けられた。『3』でデビューしたSindelと共にKitana周りのキャラクターが揃ったことになる。
  • MileenaとNoob SaibotのエンディングにてShinnokの名前が初めて言及される。この後の『4』に続く展開が当初から考えられていたようだ。
    • Mileenaについてはリブートの『9』及び続編の『X』にてShinnokとの関係は無くなっているが、これはストーリー展開自体が変わった故のことなので設定が消されたのとは少々毛色が違う。次に再登場した『Gold』ではしっかり触れられている。
    • Noob Saibotについても同様。少なくとも『Deception』まではShinnokに蘇らされたということになっている。Quan Chiが関わってくるのはリブートの『9』から。

なかったことにしてください

長くなるので格納
  • Classic Sub-Zero。「Sub-ZeroもNoob Saibotもいるのにこいつは一体誰なんだ?」となるのが今のプレイヤーの心境だろう。当時は「Noob Saibot=初代Sub-Zeroにして現Sub-Zeroの兄」という設定などどこにも無かったことが浮き彫りになるキャラである。立ち位置が無いのは明白で、その後このキャラクターについてはろくすっぽ触れられることが無いまま今に至っている。

Mortal Kombat 4

三行で分かるストーリー

  1. 妖術師Quan Chiが堕ちた神Shinnokを復活させ、Shinnokは地球侵略を企む。
  2. Earthrealmの戦士たちとShinnokの軍勢が戦いを繰り広げる。
  3. 最終的に戦士のひとりがShinnokを撃破し、彼の野望を粉砕する。

一言付きキャラクター紹介

前作から続投したキャラクター

旧作から復活したキャラクター

新登場キャラクター

次作以降の展開を踏まえた考察

長くなるので格納
  • この『4』だけ見ると「白くて悪い妖術師が白くて悪い神様を復活させたのでみんなで倒した」だけのストーリーである。『4』だけ見れば。
  • 『4』稼働の2週間ほど前に発売された『Mortal Kombat Mythologies: Sub-Zero』との関連が非常に深く、敵役であるQuan ChiもShinnokもゲームシリーズではこちらがデビュー作である。未プレイだとどちらもぽっと出の悪役に見えてもおかしくない。
    • 『Mortal Kombat Mythologies: Sub-Zero』については下で触れることにするが、悲しいことにそこともあちこち矛盾しているのでそれについてもフォローしなければならない。
  • さて。この『4』がリリースされたのは1997年10月。ここから約1年かけて以下のメディアミックス展開が行われていた。
    • 上記のスピンオフタイトル『Mortal Kombat Mythologies: Sub-Zero』(1997年10月発売)
    • 映画第二作『Mortal Kombat: Annihilation』(1997年11月公開)
    • TVシリーズの連続ドラマ『Mortal Kombat: Conquest』(1998年8月放映開始)
  • ……が、これらのタイトルはことごとく不発に終わってしまう。映画はここで打ち止めになり、TVシリーズは1シーズンで打ち切り。『Mythologies: Sub-Zero』については別個に説明するがこれも成功したとは言えない。
  • さらに『4』からちょっと遡って『3』『UMK3』の時代とも被ってくるが、他にもOVAの『Mortal Kombat: The Journey Begins』(1995年4月)、舞台公演『Mortal Kombat: Live Tour』(1995年9月~1996年2月)、TVアニメ『Mortal Kombat: Defenders of the Realm』(1996年9月~1996年12月)なども次々に展開(*22)しており、短期間にあちこちに手を広げすぎというのが率直な感想だろう。
    • そしてあんまり言いたくないがこれらもまた成功したとは言い難く、OVAは1作出たっきりで後が続かず、舞台は1995年~1996年の公演以降音沙汰無し、アニメは見ての通り1クールで終了である(*23)。
  • 新キャラクターたちについては文字通り賛否両論の嵐が吹き荒れた。
    • シリーズでは稀有な悪女のTanya、なんだかんだでインパクトのあるQuan Chi、れっきとした悪役なのに弄られ役として定着したShinnok、癖のないキャラクター造形のFujin。以上4人は多少の批判はあったもののファンに受け入れられ、後のシリーズでも出番を貰っている。
    • 一方で「こいつを出すならKanoを出せ」と酷い言われようのJarek、ゲームプレイとストーリーの両方で非常に存在感の薄いKai、そして同じくらい存在感の薄いReikoと、まあ明暗くっきりである。
      • この中ではReikoのみ、後にリリースされたPlayStation移植版で大きく脚光を浴びることになる。とても悪い意味で……
  • バージョンアップ版『Gold』、Jaxを主人公に据えたスピンオフタイトル『Mortal Kombat: Special Forces』、『UMK3』のGBA移植版『Mortal Kombat Advance』(*24)とMortal Kombatの名を冠するタイトル自体は『4』の後も継続的にリリースされるが、正当なナンバリングタイトル続編となる『Deadly Alliance』が出たのは2002年11月。『4』から実に5年後のことである。(*25)

なかったことにしてください

長くなるので格納
  • ScorpionがSub-Zero(弟)の命を狙っている。『II』で復讐の無意味さを悟ってSub-Zero(弟)を守護していくことを誓い、『UMK3』でそれをキッチリ実行に移すという美しい有言実行を成し遂げた直後にコレである。
    • 一応これにはScorpionがQuan Chiにそそのかされたというバックストーリーがあるので「なかったことにしてください」とは違うのだが、その辺りが詳しく説明されているとは言えないので「なんでやねん」感がとても強い。
  • Kanoが死んだことにされている。Jarek及びSonyaのエンディングでSonyaが「The Black Dragon died with Kano.」と明言しており、当初の目論見ではJarekをKanoの後継者というか後釜というかそういうポジションに据える目的だったのだろう。しかしご存知の通りKanoは続編の『Deadly Alliance』で復活、別に死んだわけではなく単にOutworldで潜伏していたということにされた。一方でJarekの扱いは後のシリーズを見ての通りである。
  • Quan ChiがShinnokのAmuletの偽物を作っていたこと。この後のシリーズに出てくるのは全部モノホンで、Quan Chiが偽物を作っていた云々というのは『4』系列にしか出てこない。
  • ReikoのPlayStation版エンディング。アーケード版では「Shinnokを倒したReikoがポータルを通ってどこかへ消える」というだけの簡素なものだったのが、移植に当たってポータルを通過したReikoが玉座へ座り、上からShao Kahnのマスクが下りてきて装着されるという意味深なシーンが追加された。意味深というか誰がどう見ても「Reiko=Shao Kahn」にしか見えない展開で、それはそれは猛烈な反発が起きた。結果的にこの件は無かったことになり、現行設定ではReikoとShao Kahnは無関係な別人ということにされている。
*1:2019/05/01。
*2:以下、第1作目との区別のため『MK9』と表記。
*3:以下、原作での呼称である「ラダーモード」と表記。
*4:キャラクター名のカタカナ表記は複数存在しややこしいので、原語である英語表記をそのまま使う。
*5:Scorpionについては当時から「Ninja」と明言されており、現時点での最新作「11」に至るまで一貫して忍者である。ただし日本国内における紹介文「正体不明の中国忍者」は正しいとは言えない。なぜならScorpionが中国出身であるとはどこにも書かれていないから。
*6:後々のシリーズ(多分Mythologies:Sub-Zero辺り)でどさくさに紛れて忍者ではなく暗殺者組織にすり変わっているが、この頃はハッキリと「clan of chinese ninja」と言われていた。世に言う「謎の中国忍者」である。
*7:後年の作品では"Shokan"という固有の名称が与えられているが、この時点ではまだ無い。
*8:後年の作品になると色々あって一概にそうとも言えなくなってしまうのだが……。
*9:上のストーリーを見ての通り正史はLiu KangがShang Tsungを打倒する、つまりLiu Kangのエンディングということになる。が、それとScorpion及びSub-Zeroはお互いに干渉しないので、ScorpionがSub-Zeroを暗殺したこともまた正史に組み込まれている。
*10:後年の作品では"Tarkatan"という固有名が与えられているが、『II』の段階では単なる遊牧民族とされている。
*11:『II』本編のみではこの辺りが分かりづらいので補足。Shao KahnはEathrealmを我が物にしたいが、Earthrealmへは直接手出しができない。そこで人間界を追放されたShang Tsungと手を組み、彼を通してMortal Kombatを開催させた。Mortal Kombatを繰り返し開催することでEarthrealmに混沌を齎し、侵略の隙を伺っていたのである。手駒として優秀な戦士であるGoroも送り込み、計画は順調に進捗。ところがもうあと少し、というところでLiu KangにShang Tsungが倒されてしまい……というところから『II』が始まる。この「Shao KahnはEarthrealmに直接手出しができない」というところは分かり辛いものの結構重要な設定で、後続の作品でも忘れられることなくしっかり使われている。
*12:後年の作品ではSub-Zeroの親友ということになっているが、本作では特に言及されていない。というかJadeもNoob Saibotもそうだがセリフらしいセリフは一つもない。
*13:後年の作品ではKitanaの側近として扱われているが、例によって初登場である本作では何の設定もされていない。
*14:後年の作品では初代のSub-Zeroにして『II』以降のSub-Zeroの兄という設定ができたのだが、初出である本作では正真正銘謎のキャラクターだった。くどいようだが設定が出てきたのは後年の作品である。
*15:『X』→『11』は作中時間はそこまで経っていない(約2年)にも関わらず滅茶苦茶変わっている。本稿執筆時点におけるシリーズ最新作なのにこの有様である。
*16:この頃はまだ「Ninja」と書かれている。
*17:Kanoの所属している犯罪組織。Kabalがここ所属であることはエンディングで明かされる。
*18:実際にはSub-Zero/Sektor/Cyrax/Smokeと4人も忍者がいる(もうこの時点で多い)のだが、見慣れた忍者装束(?)の忍者が居なかったのがダメだったようだ。
*19:蛇足だがSNES/Genesis版では容量の関係でSheevaがカットされた代わりに、忍者の色変えとちょっとの画像追加で作れるRainとNoob Saibotがプレイアブルキャラとして追加されている。忍者以外を減らして忍者を追加するという狂気の所業である。
*20:Raiden, Johnny Cage, Goroの3名は厳密に言うと『UMK3』ベースの番外編『Mortal Kombat Trilogy』で復活しているのだが、ナンバリングタイトルでの復活という観点でこちらに記載している。
*21:(よりによって)公式攻略本に「FujinはRaidenの兄弟である」とハッキリ記載されており、それが理由で日本国内どころか本国北米でも「Fujin=Raidenの兄弟」であるというイメージが広がっているが、確認した限りゲームを含む他のメディアでFujinがRaidenと血縁関係にあると言及されたことはなかったりする。ただ二人が親しい間柄にあるのは事実なので、ここは「盟友」としておいた。
*22:アニメと実写両面から映像作品を展開するというやり方がカプコンの『ストリートファイターII』のそれと非常に近い印象を受ける。カプコンもカプコンでIncredible Technologies(Mortal Kombatクローンの一つ『Bloodstorm』の開発元)と共同でMortal Kombatから絶大な影響を受けたことがありありと窺える『Street Fighter: The Movie』を開発しており、Midwayとカプコンが互いを強く意識していたのでは? という気がしてならない。
*23:ストーリーとしては一応完結しており、打ち切りとまでは言えない。以後続編が作られなかったのは事実だが。
*24:見た目はアーケード版ライクで良い感じだが、劣悪な操作性に冷酷無比な強さを誇るCOMが相まってシリーズ最低とも呼ばれる出来の悪さで非常に悪名高い。
*25:これは『11』までのシリーズにおいて最も長い。あらゆる規模がデカくなり開発長期化が当たり前になったゲームコンソール第8世代の『X』→『11』よりも長いと言えば意図が伝わるだろうか。90年代後半は日進月歩でゲームと関連するテクノロジーが進化していた時期で、その期間の5年というのは今よりもずっと長いものに感じられたことだろう。