問題の動画はコレ
この動画の9:22辺りから。MagusOld氏とRomneto氏による2019/10/14の対戦風景。
MagusOld氏はスパイダーマン・ハルク・ハヤト、Romneto氏はマグニートー・ストーム・サイロックという編成。出だしは一進一退の殴り合いが続くが、マグニートーのマグネティックテンペストがスパイダーマンとアシストとして呼ばれていたハヤトの両方を巻き込んで直撃、間髪入れずにディレイドで出てきたストームのアイスストームでスパイダーマンが落とされてからは流れが一気にRomneto氏へ傾く。
二番手のハルクはサイロックアシを絡めて動き回るストームにはほとんど手も足も出ず、MagusOld氏に残されたのは先ほどのマグネティックテンペストで6割近くの体力を削られてしまったハヤトただ一人。一方Romneto氏のチームは全員が健在、しかもストームはほぼダメージを受けておらずマグニートーも6割程度の体力を残していて、かつチームを裏から支える対空アシのサイロックも被害は軽微という絶望的な状況。「凡キャラ VS. 強キャラ戦」で実にありがちな一方的な試合展開で、特段ヤバいところなど何もないように見えるが……。
ハヤト一人になった後の展開
ハヤト VS. ストーム
登場したハヤトはストームの動きをすべて見切って完璧に攻撃を回避し、隙にエリアルレイヴを入れて確実にダメージを取っていく。そして大きな隙を見せたところへプラズマコンボ→裏羅刹斬(*1)を叩き込んで無傷でノックアウト。8割くらいあった体力を一度も被弾せず削りきる。
ハヤト VS. サイロック
出現直後から強気でプラズマコンボを仕掛け、ガードが緩んで(*2)ヒットしたところを即円月に繋げて5割を奪う。サイロックも反撃を仕掛けてハヤト側に「DANGER」メッセージが出るまで追い込むが、飛び込みを通したハヤトがコンボを繋いで再び円月で〆、最終ヒットでサイロックを殺しきる。
ハヤト VS. マグニートー
弱キャラであるはずのハヤトにまさかの2タテを決められて精神的に動揺したのか、登場した直後一瞬固まったマグニの隙を逃がさずコマ投げを通して崩し、追い打ちからエリアルレイヴでダウンを取って再び密着。マグニは投げを思いっきり通されたことでそちらに意識が向いていたのか裏択の小足が刺さってしまい、そこからエリアルでノックアウト。
そう、アシなしのハヤトが3タテを決めたのである。
何がヤバいのか
格ゲー屈指のゲームバランスの悪さを誇るMvC2、強キャラ14人と弱キャラ41人と超絶弱キャラ1人(*3)という異常極まりない階層構造はあまりにも有名。大手メーカーから販売されて一般的な商業ルートに乗った格ゲーの中ではワーストクラスのバランスと言っても過言では無い。
ハヤトも大量にいる弱キャラの例に漏れず、操作の癖は無いがコレといった強みの無いキャラというのが一般的な評価で、ガチの対戦で使われるケースは皆無と言ってよい。チームメイトのスパイダーマンとハルクもだいたい同じかそれよりはマシくらいの地位。MagusOld氏はそんなキャラたちでチームを組んでいる。これはゲームを知らないからでは無くむしろ逆で、強キャラをやり尽くしたので弱キャラを使っているというニュアンスが強い。
Romneto氏のマグニートー・ストーム・サイロックというチームは「MSP(*4)」と呼ばれる鉄板のテンプレ構成で、永パを軸とした圧倒的火力が武器のマグニートー、異常な機動力と攻撃判定で暴れ回るストーム、そして相手を打ち上げダウンを奪える凶悪なサイロックアシを抱えて完全に攻めに特化している。防御面に弱みを抱えるもののハマったときの爆発力は驚異的で、言うまでも無く全員が強キャラである。
MagusOld氏はハヤト一人でそんなMSPを3タテしてしまった。相手のRomneto氏は熟練者も熟練者で超上級者と言って差し支えなく、決して付け焼き刃の知識と腕前でMSPを使っているわけでは無い。むしろMSPはガチ対戦での本命で、普段はナッシュ・アイスマン・サノスの凡キャラチーム(*5)を愛用している。つまりRomneto氏のガチチームを3タテしてしまったということになる。これにはヤバい以外の言葉が出てこない。
この動画をアップしたのはRomneto氏。Romneto氏のチャンネルにはMvC2のハイレベルな対戦動画が大量に上げられており、さらに多くのプレイヤーが凡キャラをチームに組み込んでいる。大変に貴重なチャンネルなので、興味のある方は是非購読していただきたい。