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映画「君は彼方」謎な点と自己解釈

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はじめに

仕事が少なかったので、「君は彼方」について後で思い出してみて分かんなかったところを列挙して自分なりに考察してみた。正しい解釈かどうかは不明。「正しい解釈」が存在するのかも不明。そいじゃ行ってみよう。

菊ちゃんはなぜ着物姿で現れたのか?

作中で説明が一切無いので推測するしかないが、あるとすれば初めて目にした澪が着物に似た「浴衣」姿だったことに関係がある、とか。水中に居たので「金ちゃん」を「菊ちゃん」と解釈していたことを踏まえると、同じく水中にいてよく見えなかったので浴衣と着物が混ざってああいう姿になった……という線が一応考えられる。人型の姿をしていたのは単純にその方が澪と話がしやすいからだろう。ただその割に終盤で金魚姿で普通に再登場しているし、さらにその後また着物姿に戻っているので実際深い意味は無さそうという感じもするのだが……。

菊ちゃんの「ここに来るのは二度目」というニュアンスの発言は何を意味するのか?

シンプルに捉えるならかつて菊ちゃん(金ちゃん)は死に瀕してあの煉獄のような場所に迷い込み、そこから自力で戻って来た経験がある、という解釈になる。澪は金ちゃんに「元気になって」としきりに呼びかけているので、恐らく過去にも一度死に掛けたのだろう。そして今回また死に掛けた。作中でも金ちゃんが死んだかのような描写が挟まっている。エンドロールを見る限りはまた生還して元気になったようだ。

自宅にあったギーモンがガイドを務めているのはなぜか?

そもそもあの場所が何なのかについて仮説を立てる必要がある。あの場所自体は死に瀕した魂が向かう所で、この世とあの世の間、三途の川の手前とでも言うべき場所なのは間違いない。澪も菊も死に瀕したことであの場所に辿り着いている。ガイドは概念的な存在で、たぶん見る者によって姿形が変わったりする。なのであれは仮の姿、受肉した存在みたいなものだろう。本人が「ここは澪の望む世界」ということを言っているので、澪が認知しやすいあの姿を取って現れた、といったところか。

ギーモンの声が男女二つあるのはなぜか?

考えられるのは山ちゃんボイスが本来の声で、大谷育江ボイスが澪が受け入れやすいように合わせたもの。もしくは男性性と女性性両方を兼ね備える超越的な存在であることを示唆する意図もあったのかも知れない。

殯はなぜ澪に襲い掛かったのか? そして途中でそれを止めたのはなぜか?

作中で殯は「魂をあの世に引きずり込もうとする悪辣な存在」のような形でまず言及され、その後澪と対峙したのち蜘蛛の化物(本来の姿?)に変身して襲い掛かってきた。ここまでは悪役の動き。ところがその後人間形態に戻って再登場し、澪に「運命を受け入れろ」と繰り返し迫る。これは恐らく澪が現世へ戻ろうとする様を見て「もしかしたらまだ死なないのかも?」みたいに考え、その動きを見守る或いは諭す方向にシフトしたのではなかろうか。公式サイトを見ると「世の境を守る番人」と書かれているので、本質的には中立の存在なのだろう。すぐ下の行に「死神のような恰好」などと書かれているのは置いといて。

あの追突事故で重傷を負っているのだからベッドから動かしたら魂云々の前に身体に障るのでは?

雨の中あの速度で正面衝突したら現実的に考えて即死もあり得ると思うが、よくよく入院中の澪(本体)を見ると外傷を追った形跡はない。なので事故自体は実のところさほど激しいものではなく、衝撃で意識不明にはなったものの怪我は大したことがなかった、という線が一応ある。あのおじさんがギリギリでブレーキを掛けていて助かったのだろう。幽体離脱したことについては、澪がしばしば見ている「崖から落ちる夢」がヒントになる。澪は生きてはいるものの後述する過去の出来事の影響で魂が外れやすくなっていて、不意の衝撃で抜け出てしまうのではなかろうか。あの時は新と衝突して精神的にも不安定な状態であり、ちょっとしたショックで幽体離脱することは考えられるはず。

新が屋上でのやり取りを一人で再生していたのはなんだったのか?

屋上でのやり取りを完コピした終盤のシーン。もっと思い出深いことがあると思うのだが、好意的に捉えるならあのやり取りが印象に残ったので無意識のうちに繰り返していたとか。或いは新から見ると澪は「空の上」にいるような状態であり、同じく澪も空の上から落ちてくるような演出があったので、この世とあの世の境目を空と宇宙の境界に見立てて、こちら側の世界である「空」へ戻ってきてほしい、という意味合いも込めて呪文のように口にしたのかも知れない。多分タイトルの「君は彼方」にも掛けた。ちゃんと掛かってるのかはともかく掛けた。そういうことだろう。

池袋駅の忘れ物係は何のためにそこにいるのか? また誰にも似ていないのはなぜか?

あの場所には二種類の人物がいる。ひとつは菊・ギーモン・森おばあちゃんが属する「澪が知っている誰か」の姿で現れる方。もう一方が殯・大神様・忘れ物係が属する「澪の知らない誰か」の姿で現れる方。前者は澪に肩入れする存在で、後者は普遍的な役割を担っている。後者は恐らくあらゆる魂から見て一定の姿を持っているので、澪の知っている誰にも似ていないのは当然の話。何のためにいるのかは、そこに居る魂が本当にあの世へ行く存在なのかチェックするため……といったものでは。

そもそもなぜ池袋駅なのか?

作中ではあまり触れられていないが、澪と新にとってよく遊びに来る思い出の場所だかららしい。もう少し描写が増えていれば分かりやすかったと思う。

幼少期の二人に何があった?

非常にさらりと流されているが、澪と新は二人揃って死に掛けてしまい、新の父親が自分を犠牲にして助けたことで命を繋いだという過去がある。具体的にどう死に掛けたのかは不明。冒頭の石積みは恐らく「賽の河原」をイメージさせるもの。積んだ石が最後に崩れてしまってまたやり直しになるのがそれを暗示している。周囲に川が無いのに賽の河原というのもアレなのだが。そして命が助かったにも関わらず斃れた新の父親を「何が起きたのか分からない」という顔で見ていたのはちょっと気になる。本当に死に掛けたのか? それとも新の能力が暴発して澪を道連れに一時的にあの世へ行ってしまったとか? その後の母親の新の能力を拒絶するような動きと澪を追って意図せず幽体離脱してしまった新の様子からして後者の方があり得そうな気がする。

エンドロールで円佳の横にいた男子は誰か?

他のシーンにまったく登場していないので詳細は不明。頑張って想像すると、恋に破れた円佳が新を吹っ切り失恋を乗り越えて新しい恋を成就させたことを示したかった……くらいしか思い浮かばない。たぶんそういうのだろう。元の脚本では四人だったけど三人に削られてエンドロールだけに出て来たとかではないはず。

病院に到達するまで澪は自分自身や周りの世界を何だと思っていたのか?

現世? の病院へ辿り着いた澪は自分が意識不明で昏睡状態になっていることを知ってこちらの鼓膜が破れそうなほど声を張り上げて悲嘆に暮れる。しかしここに至るまで菊ちゃんやギーモン、ついでに殯から「魂の来る世界」「この世とあの世の境界」のようなことはさんざん言われていたし、既に亡くなった森おばあちゃんに出会っているのだから死者の世界に近い場所にいる、つまり自分もそれに近い存在だと認識しているはず。考えられるのはあの瞬間まで澪は異世界転移したと思い込んでいたという説で、自分が事故で重傷を負ったことを思い出して絶望したのだろう。もっと人の話を聞けと言いたい。

池袋駅にいた黒い影は何者なのか?

分からん。他のシーンにはまったく居なかったのも含めて謎。死んだ後もあの場所に留まり続けている魂のように見えるが、澪がアレになりかけたのは魂があの世へ完全に行ってしまいそうな時だったので辻褄が合わない。あの場所の異常性を演出するためのエキストラ以上の意味はない気がする。

新と円佳はどれくらい付き合いが長いのか?いつも澪と二人のような?

分からん。描かれてない部分で仲良くしてたのでは? くらいしか言えない、そもそもいつからの付き合いなのかも分からん。

受付に見つからずに重傷患者を病院の外へ連れ出すのは可能なのか?

分からん。でかいバッグにでも隠したとか?

おわりに

こんなところか。他にも思い出して気が向いたら書きます。たぶん書かない。