Subject #21680

Basic Informations:

Subject ID:
#21680
Subject Name:
カビゴンが食べない果実
Registration Date:
1976-11-14 16:00:00
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

果実#21680については世界的に広く流通しており、当局の権限では流通を差し止めることは困難であると見られています。人体並びに携帯獣に明確な悪影響が確認されていないことから、現段階で果実#21680の流通を停止させる計画は制定されていません。案件の対応方針は、カビゴンが果実#21680を摂取しない理由について探ること、果実#21680について何らかの異常性が見られないかを調査することに焦点が当てられています。


保安上の理由から、案件担当者以外には「果実#21680」が具体的にどの食物なのかは明示されません。これは案件担当者よりも高いセキュリティクリアランスを保持している局員に対しても例外とはなりません。また、案件担当者が交代する場合、前担当者は本案件に係るすべてのセキュリティクリアランスを返上すると同時に、プロトコルUXに基づくレベル2記憶処理を受けることが義務付けられます。

Subject Details:

案件#21680は、携帯獣の「カビゴン」が決して口にしない果実(果実#21680)と、それに係る一連の案件です。


カビゴンは雑食性の携帯獣であり、人間や携帯獣が口にするものであれば、例えそれが毒性を持っていたとしても食料として摂取することが知られています。カビゴンの消化液は非常に強力で、人間には致命的な悪影響を及ぼす食品、例えば強い毒性を持った茸類や、体内に有毒物質を蓄えた魚類、あるいは腐敗した食物であろうと、ほとんどのカビゴン個体は一切の健康被害を受けることなく摂取・消化し、栄養のみを取り入れることができます。


果実#21680は、一般的に流通している果実でありながら、カビゴンが一切口にしないことが確認されているただ一つの食品です。果実#21680からはこれまで顕著な有毒性は確認されていないにも関わらず、カビゴンが果実#21680を口にすることは決してありません。カビゴンを除く携帯獣には果実#21680を食料として摂取する種が多数確認されているため、携帯獣に対して広範な悪影響を及ぼす食品ではないことが裏付けられています。


当局では以下の要領で実験を行い、カビゴンが果実#21680を摂取することがないかを確認しています:



[実験#21680-1]

カビゴン(個体識別番号#21680-1)の前に果実#21680を置きました。カビゴンは果実#21680を摂取しませんでした。


[実験#21680-2]

カビゴン(個体識別番号#21680-2)の前に果実#21680を置きました。カビゴンは果実#21680を摂取しませんでした。


[実験#21680-3]

カビゴン(個体識別番号#21680-3)の前に果実#21680を置きました。カビゴンは果実#21680を摂取しませんでした。


[実験#21680-35]

カビゴン(個体識別番号#21680-35)の前に果実#21680を置きました。カビゴンは果実#21680を摂取しませんでした。35のカビゴン個体すべてが果実#21680を摂取しないことが確認されたため、カビゴンの個体ごとの嗜好により果実#21680を忌避している可能性は低いと判断されました。


[実験#21680-36]

カビゴン(個体識別番号#21680-16)の前に、果実#21680を種子ごとすり潰して飲料として加工した食品を置きました。カビゴンは加工された果実#21680を摂取しませんでした。


[実験#21680-37]

カビゴン(個体識別番号#21680-21)の前に、果実#21680を使用した焼き菓子を置きました。カビゴンは加工された果実#21680を摂取しませんでした。


[実験#21680-38]

カビゴン(個体識別番号#21680-8)の前に、果実#21680と一般的なバナナ及び豆乳を使用したスムージーを置きました。カビゴンは果実#21680を含むスムージーを摂取しませんでした。


[実験#21680-39]

カビゴン(個体識別番号#21680-24)の前に、果実#21680の果汁に漬けた苺を置きました。カビゴンは果実#21680に浸された苺を摂取しませんでした。


[実験#21680-55]

カビゴン(個体識別番号#21680-33)の前に、果実#21680をわずかに使用したサラダを置きました。カビゴンは果実#21680が混ざったサラダを摂取しませんでした。果実#21680を加工した、あるいは食材として使用した食品に付いても、カビゴンは摂取しないことが確認されました。


[実験#21680-56]

カビゴン(個体識別番号#21680-1)の前に、カビゴンが摂取することが確認されている果実と果実#21680を混ぜた果実群を置きました。カビゴンは果実#21680以外の果実をすべて摂取しました。果実#21680は摂取されず、その場に残置されました。


[実験#21680-57]

倫理委員会の定めた基準に則り、朝時点で通常の三分の二しか糧食が与えられなかったカビゴン(個体識別番号#21680-17)の前に果実#21680を置きました。カビゴンは果実#21680を摂取しませんでした。カビゴンは(カビゴンの基準で)空腹であったとしても、果実#21680を摂取しないことが確認されました。



上記を含む計124ケースの実験が行われましたが、いずれのケースにおいてもカビゴンは果実#21680を摂取することはありませんでした。


カビゴンが果実#21680を口にしない理由は不明です。単にカビゴンの食性と合致しないという理由も考えられますが、果実#21680とほぼ同等の栄養を持つ別の果実は好んで摂取することが確認されています。また、果実#21680にカビゴンが消化/吸収困難な、あるいは不可能な成分が含まれているということもありません。カビゴンがいかなる理由で果実#21680を摂取しないのかは、現在も結論が出されていません。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。


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