作品#140877に関する情報、及び投稿された作品#140877のコピーはインターネット上から自動的に収集され続け、案件別サーバに暗号化の上随時保管されます。案件担当者はこれらの情報を分析し、作品#140877の起源を調査してください。作品#140877そのもの、及び作品#140877に関する一連の情報については、起源を除けば異常性はないものと考えられています。作品#140877に関する何らかの知見が得られた場合、案件担当者は本レポートを更新してください。
作品#140877の制作会社である「ヒイラギ動画」にコンタクトを取る試みが続けられています。同社はかつて実在していたものと推測されていますが、確認されている作品のほぼすべてが作品#140877同様起源不明のテレビアニメ作品となっています。今後の調査の結果如何によっては、ヒイラギ動画を要注意団体に指定し、同社の作品を個別に案件として管理することも検討されています。ヒイラギ動画に関する事項については、案件別サーバの個別ディレクトリを参照してください。
案件#140877は、2014年頃に存在が確認された「ニドとミド」というアニメーション作品(作品#140877)と、それに掛かる一連の案件です。
2014年6月頃、マイクロブログサービスの「Twitter」に投稿されるツイートを集約することで、大きなひとつの記事を作成することを目的としたマッシュアップサービス「Togetter」にて、「謎の70年代アニメ『ニドとミド』に迫るTL」という名称の記事が作成されました。記事では複数の市民が「70年代中期から80年代初頭にかけて『ニドとミド』という1回当たり3分程度のテレビアニメが放送されていた」と証言していました。
休暇中だった局員がこの記事について個人的な興味を抱き、インターネット上や紙媒体において「ニドとミド」なるテレビアニメへの言及がないかを独自に調査しました。局員が得られた情報はわずかでしたが、その過程でいくつかの不審な点が確認されました。局員は事案発生の虞ありと判断し、当日中に初期調査の結果を取りまとめて拠点監督者へ報告しました。監督者はこれを承認し、案件化を受理しました。この功績により、局員には追加の有給休暇が二日付与されました。
作品#140877は、2014年6月頃に「発見」されたとされるアニメーション作品です。作画は1970年代初頭に主流だったものと酷似しており、同年代の非異常性のアニメーション作品と比較しても特段の差異は見られません。また、多くの市民が70年代から80年代にかけて放送されたと証言しています。ただしこれらの証跡は、作品#140877が実際に該当する時期に制作・放送されたことを裏付けるものではないことに留意してください。
作品#140877は概ね2分50秒の長さで、エピソードによって±5秒程度の差異があります。主要な登場人物は、外見上♀のニドランに一致するフォルムですが体色が♂のそれになっている「ニド」という少女と、外見上♂のニドランのフォルムを持ちながら体色が♀のそれと一致する未知の生体「ミド」という少年の二人です。大まかなストーリーラインは、ニドとミドが人助けや悪者退治をしながらあてのない冒険の旅を続けるというものです。放送時間の短さから、一つのエピソードに複数話を費やすことも少なくありません。
ストーリーの主役はニドラン♀と見られるニドで、勝気な性格でミドを引っ張る役目を担います。ミドはニドに引っ張られながらも、要所要所でニドを助ける相棒としての役目を担います。ニドは明らかに少女として描かれていますが、当時の価値感から見て男性的な役割を与えられています。これに加えて、当時の価値観から見て男性的と見られるであろう意見や思考をしばしば行います。一方ミドは明確に少年として描写されますが、これも当時の価値観から照らし合わせて女性的な役割を持たされています。またニドとは対照的に、随所に当時の価値観から見て女性的と考えられる嗜好を見せます。これは双方のフォルムと体色になぞらえたものと推測されています。
作品#140877そのものに異常性はなく、どのような形で誰が(人間及び携帯獣の双方)視聴した場合でも、ミームハザードテストは常に陰性の結果を示します。視聴者は作品#140877に対して各々異常性のない感想(例:「作風が古めかしい」「展開が大雑把である」「素直な気持ちで楽しめた」「男女の役割に囚われない進歩的な作品だ」「キャラクターが可愛らしい」「音楽やナレーションが大仰だ」等)を抱き、その内容は視聴者によって様々で偏りは見られません。また、感想の内容が作品#140877の内容から想定されるものに比して著しく外れているといったケースもありません。
案件#140877の特異性は、作品#140877の出自にあります。以下は案件を提起した局員による初期調査の結果をさらに精査し、リストアップしたものになります:
・作品#140877の最古の放送は1974年頃と推測されるが、当時の雑誌や書籍を検証しても作品#140877への言及は見られない
・インターネット上では、少なくともTogetterの記事が作成されるまでは作品#140877への言及は発見できなかった
・エンドロールには実在するスタッフが多数クレジットされているが、その全員が作品#140877を参加作品として挙げていない
・作品#140877の制作会社とされる「ヒイラギ動画」についても、2014年6月頃まで言及された記録が存在しなかった
これらの情報から、作品#140877が実際に70年代から80年代に放送されたかは疑わしいと考えられています。何らかの要因により「作品#140877が70年代から80年代にかけて放送されていた」という記憶が複数の人間に対して未知の理由で発生し、最終的に「作品#140877が70年代から80年代にかけて放送されていた」という事実が後付けで形成された可能性が示唆されています。この点について、当局以外にも複数の市民から疑義が呈されている(例:「前番組を毎週見ていたが、作品#140877は観た記憶がない」「内容的に当時の基準なら話題になっていてもおかしくないはず」等)ことを付記します。
作品#140877を制作した「ヒイラギ動画」は、公開されている情報では1971年から1986年にかけて存在したとされるアニメーションの制作会社です。作品#140877を含む複数のテレビアニメ作品を手がけたのちに経営破綻したとされています。これらの情報はいずれも作品#140877が出現した時期に、インターネット百科事典「Wikipedia」に記載されたものであることに留意してください。記事には複数の書籍由来の出典が付与され、当局でもすべての出典について確認が取れましたが、それらの書籍も作品#140877以前には言及された記録が一切ありません。出版年は1982年から2011年まで多岐に渡っており、2014年に入ってから一斉に出版されたわけではないことが確認されています。
作品#140877は本来放送されていた番組に関する記憶を上書きする性質があるとの仮説が提唱されています。現在この仮説を立証するため、当時の資料から作品#140877が放送されていたとされる時間帯にどのような番組が放送されていたかの調査が進められています。現在は資料の収集が完了し、検証プロセスに入っています。
[2014-10-05 Update]
複数の資料から、一部地域について作品#140877が放送されていたとされる時間帯に「ふしぎの国の星子ちゃん」なる番組が放送されていたとの情報が得られました。しかしながら、これまでの調査では「ふしぎの国の星子ちゃん」なるテレビアニメ作品が存在した記録は見つかっていません。
この事実は二つの仮説を提起させるに至りました。一つの仮説は、作品#140877によって「ふしぎの国の星子ちゃん」の記録/記憶が上書きされたというものです。これは作品#140877について提起されている仮説とも一致するものであり、案件の関係者の間で広く支持されています。
もう一つの仮説は、「ふしぎの国の星子ちゃん」も作品#140877と同様の異常特性を持ち、現在は一種の「潜伏期間」に入っているというものです。作品#140877が極めて短期間のうちに広く認知されたことを踏まえれば、「ふしぎの国の星子ちゃん」が今後何らかの形で出現する可能性も否定できません。この仮説は先の仮説とは異なる形で併存し、「ふしぎの国の星子ちゃん」の出現を観測するために人員を割り当てる根拠となっています。
本案件に付帯するアイテムはありません。