Subject #125947

Basic Informations:

Subject ID:
#125947
Subject Name:
ペラップの懺悔
Registration Date:
2009-11-29 14:00:00
Precaution Level:
Level 0

Handling Instructions:

リストL-125947-3に列挙された動画配信サイトを自動的に巡回するクローラープログラムが稼働しています。クローラーが映像#125947に該当する動画を発見した場合、映像#125947を自動保存した上で速やかに当該サイトの管理者並びに案件担当者へ通知がなされることになっています。通知から10分以内に映像#125947の削除が確認できなかった場合、案件担当者は動画配信サイト管理者に案件管理局名義で削除命令を出してください。国外の動画配信サイトへの連絡は、標準的な英文テンプレートを使用することができます。サイト管理者が命令に従わない場合、サイト全体に対するレベル4アクセス遮断措置が実行されます。アクセス遮断措置は、サイト管理者が当局の命令に従い映像#125947を削除するまで維持されます。


保存された映像#125947は直接視認してはなりません。オリジナルを別途保管の上、案件担当者の定める手順により再エンコードした上で、再エンコード済の映像#125947を視聴してください。映像#125947の特異性は再エンコードによって完全に失われることが分かっています。オリジナルの映像#125947は当局の定める標準手順に基づき暗号化し、復号キーは標準ネットワークから切断されたキー保管端末へ移動させてください。キー保管端末のメンテナンスは専門の局員が担当します。


映像#125947の撮影者を捜索してください。これまでに取得された映像#125947の視聴結果から、映像#125947を撮影している第三者の存在が示唆されています。当局では、映像#125947に登場するペラップを携帯獣#125947、動画の撮影者を撮影者#125947と指定し、行方を追跡しています。

Subject Details:

案件#125947は、特定の動画配信サイトへ不定期に投稿される不審な動画(映像#125947)と、その動画の登場人物であるペラップ(携帯獣#125947)並びに動画の撮影者(撮影者#125947)、映像#125947を視聴した結果として失踪した人物(失踪者#125947)、及びそれらに係る一連の案件です。


当局が確認している最古の映像#125947は、2009年7月下旬に動画配信サイト「YouTube」に投稿されたものです。動画は映像#125947-1として指定されました。映像#125947-1の内容は次の通りです。


1.携帯獣のペラップ(以下携帯獣#125947)が、特徴のない部屋の中央に立っている

2.携帯獣#125947は約20秒間カメラを見つめる

3.携帯獣#125947が後述する「懺悔」の言葉を述べる

4.映像が不意に終了する


携帯獣#125947が述べた「懺悔」の言葉をテキストに書き起こしたものは下記の通りです:


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働いたんです、盗みを。
欲しかったんです、お金が。
思っていました、解決すると、お金があれば。
しませんでした、解決。
いっぱいになりました、後悔の気持ちで。
疑われました、盗みをしたと。
別の人が、私のせいで。
できなかったんです、言い出すことを。
部費を盗んだって、私が。
悪いんです、全部、私が。

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携帯獣#125947は上記の言葉をたどたどしく読み上げ終えると、映像#125947-1は不意に終了します。


映像#125947が初めて発見されて以来、その数は徐々に増加の傾向を見せています。当局が収集した映像#125947の総数は、本稿執筆時点で197本です。そのすべてが、映像#125947-1とほぼ同じ構成となっています。異なるのはペラップが口にする「懺悔」の部分のみで、この部分は映像#125947毎に大きく異なっています。


オリジナル版の映像#125947における「懺悔」のパートには、人間の情緒に顕著な影響をもたらすことが分かっています。抑鬱や自罰的な傾向が強くなり、視聴時の条件によっては重度の自殺願望や希死念慮を生じさせます。「懺悔」によって生じることから、映像#125947には視聴者が持つ罪の意識や罪悪感といった感情を増幅させる効果があるとの仮説が立てられています。実験の結果から、「懺悔」が始まる前のおよそ20秒間については、これらの異常特性は見られないことが分かりました。


オリジナル版の映像#125947を最後まで視聴した場合、視聴者は一週間以内に原因不明の失踪を遂げます(失踪者#125947に指定)。失踪から長くとも一ヶ月以内に、失踪者#125947に関連すると推定される「懺悔」が収録された映像#125947が新たに投稿されます。同時に複数の人間が失踪した場合、ランダムな時間を置いてすべての失踪者#125947に関する動画が個別に投稿されます。投稿される動画配信サイトはランダムであり、一定ではありません。本案件の確認後に新たに設立された動画配信サイトについても投稿された実績があります。


厳密な検査結果は出ていませんが、映像#125947は映像その物に情報災害の特性があるのではなく、エンコード時に何らかの処理が施されているとの見方が示されています。映像#125947は映像コーデックにXvidを、音声コーデックにmp3を使用しているとの表示がなされますが、実際のファイルフォーマットはこれらのコーデックを使用して作成されたものとは大きく異なっています。ファイルフォーマットの識別に使用されるFourCCとしては、本来付与されるはずの「XVID」「DIVX」ではなく「SORY」という未知のものが使われています。


これら差異にも関わらず、動画編集を行うソフトウェアは映像#125947を標準的な.aviコンテナに格納された映像/音声ファイルであると認識し、任意の編集を行うことができます。ただし、編集結果を保存するために動画を再エンコードした場合、映像#125947の異常特性が完全に失われます。これは一切の編集を行わず、単純な再エンコードが行われたのみの場合もまた同様です。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。


Cracked by Retrospection