キセキ

著者:№123

どんなに遠くに離れても、

どんなに困難でも、

どんなに手掛かりがなくたって、

君を見つけ出すよ、君に逢いにゆくよ。


運命の出会い、オハナ牧場

僕の見つめる先、トレーナー待つ君。

初めまして、今日は。

お迎えが来るまで、僕と遊ぼう。


影踏み、水遊び、泥遊び

逃げ足速い君、追い掛ける僕。

影が長くなると、お迎えが。

明日は何して遊ぼうか。


遊びながら聞いた君の話。

楽しそうな君の話。

元気なお父さんと、体の弱いお母さん。

心配性の優しいトレーナーが、君の家族。


あったかいご飯と、ふかふかお布団

大好きな家族と、過ごす時間。

僕も帰ろう、寝床に帰ろう。

木の実を探して、夕暮れだ。


君と出会えて嬉しい僕

今日は何して過ごそうか

君は浮かない顔してた。

君は別れを僕に告げる


具合が悪くなったお母さん

検査の為に、別の島へ

母が心配で苦しい。

僕と会えないのは寂しい。

悲しそうに微笑んで

今まで嬉しかったよ。と、


君の憂いを一つ減らそう。

僕に縛るものはない。

君に逢いに行くよ。

僕は適応力があるから、

何処に行ったって大丈夫


どんなに時間が掛かろうと、君を探そう。

これは僕の為でもあるんだ。

首傾げる君、話しは秘密

再開したら言うから待っていて。


僕にあるのは、地を駆ける足

望は海を渡る力、君を探しに行くすべ

翼の無い僕に、唯一つできること。

見つけよう、水の石を、海を進む為に。

君とまた巡り逢う為に、僕は変わるよ。


島を渡ろう。荒波を超えよう。

歩く為の足だけじゃなく、泳ぐ為の鰭も手に入れた

僕の変わった姿を見て、君は驚いてくるだろうか?

離れているうちに、君の姿も変わっただろうか?


海を泳ぎながら話を聞く。

水中で、海上で、訪ねまわる。

海渡り。島巡り。旅の日々。

日が昇り沈む。月が昇って沈む。また昇る。

君にまた逢う為に、僕は旅をする。


会いたくて、逢いたくて、やっと見つけた君は、

僕を見て君は、花のように笑ってくれた。

僕も君も姿は変わったけど、

この気持ちは変わらない。

やっと約束の言葉が言える。

君が好きだよ


実は、あの時、君のボール

噛み砕いてしまいたいと、思ってしまった。

君を攫ってしまいたかった。

君とずっと一緒に、居たいと思ったから

でも、君が望まないことを、僕は知っていたから。

トレーナーを、家族を、

大好きだと知っているから、僕は、独りで・・・


再会のお祝いにと、木の実に炎を吹く君

焼きあげてから、僕に出してくれた

ずっと狩りをしていたから、久しぶりの木の実。

お母さんは元気になって、

一緒に暮らしていると教えてくれた


これから、僕もこの島で暮らすよ。

散歩をしよう。出かけよう。

海に行こう。カイスを持って砂浜へ

波がきても、水が苦手な君は僕が守るよ。

一緒にいよう。


ありがとう。逢いに来てくれて、

ありがとう。約束を守ってくれて、

私も貴方が大好きです。

そう言って、君は僕に寄り添った。


ありがとう。幼い日の僕がした約束を、覚えていてくれて、

ありがとう。待っていてくれて、僕の想いに答えてくれて、

触れあう頬。暖かい君。見つけ出したよ。

君を探す、僕の島を巡つ旅はこれでおしまい。