円山翔
評価: ☆☆☆☆☆
すごい。一つ一つの描写がすごく丁寧で趣向が凝らされているように思います。よほど原作の設定やモデルとなった現地の文化を知っている方でないと描けないような直喩の数々。海の神であり、同時に冥界の神でもあるカナロアをモデルにしたと思われるカプ・レヒレ。原作とルーツの両方を丁寧に織り込んだ一枚の布のような作品だと思いました。
照風めめ
評価: ☆☆☆☆
アイデア:◎
読みやすさ:〇
読後持続力:〇
圧巻でした。世界観に吸い込まれていきました。
見つめていた先が死だったのに、徐々に生に変わっていくその過程。胸が熱くなります。
決してしていることは派手ではないんです。ですが、その彼らの生き様。まさに彼らは生きていました。
創作に関する私の私見なんですけども、創作における「命の消費(=殺す)」というのはとても簡単なんです。でも逆に、臨場感ある「生の創出(=生きてる感じ)」を出すというのが難しいと思うんです。
この作品からはすごく生の創出を感じました。纏う雰囲気は静かながら、心がアツくなる作品だと思いました。
あまも
評価: ☆☆☆
いい伝統は受け継いでいかれるものですね。何か目的が見えると人って生き生きするんでしょうね。
来來坊(風)
評価: ☆☆☆☆☆
素晴らしい作品だったと思います。これは元ネタになった伝承か何かがあったりはするのでしょうか、全てオリジナルなら本当にすごいと思います。
ゲーム内でも、ポニ島は閑散としてる感じがあるんですよね、閑散と言うか、発展がないような感じがしますあの島は。
別の発展している島の伝承よりもよりリアル感があるんですよね、非常にいいと思います。
また、住人達とポケモンの関係性や生活にリアリティがあっていいと思いました。特性なども作品に活かしておりなるほどなと思うところも多かったです。
浮線綾
評価: ☆☆☆☆
☆四つ差し上げます。ただやはり解せぬのは主人公の名前にT音が入っていることですかね、いや本当にしょうもなくどうしようもないことですが。好みのタイプであるがゆえに、猶更こういった点が最初は気になって、反省しきりです。
主人公夫妻のすれ違ってしまうやりきれなさや、ほのぼのと希望の光が差すように少しずつ心が通い合う流れが素敵です。彼岸の遺跡の島の呪縛から解放された感じがします。
忘れるところでした、作者さんにすごくお伺いしたいことがございました。バレンタインデーにも呟きましたが、ラタに対するヒナの認識が太陽を否定し、ヒナに対するラタの認識が海を否定したのって……もしかして拙作のアルバ(太陽)とメラノ(海)と何か対応させた意図がありますでしょうか……?
勘違いだったら恥ずかしくて爆死ものですが、初めてこちらの作品を拝見した時にもしかして意識されているのではなんて恐れ多くも思いました。あのカロス人の太陽と海はランボーの詩『永遠』から拝借した表現ですが、その冒頭を訳すと、「もう一度見つけ出したぞ。何を? 永遠を。それは太陽と番った海だ」という感じです。『みつめるしおさい』のフラン・X語の会話部分ですが。
そのことを鑑みるに、これもバレンタインデーに申しましたが……カロス人は詩によって太陽と海が溶け合って永遠になる一方で、アローラ人は太陽と海であることを否定して空と波として自然に溶け合うっていう対比に……私は勝手に最高に滾っておりました……本当にしつこくてすみません……ありがとうございました
カイ
評価: ☆☆☆☆☆
とても綺麗なお話です。一瞬プロの一次創作を読んでいるような気さえしたぐらい、ポケモンが本当に自然に人々の生活の中に溶け込んでいて、でもやっぱりポケモンがいるからこそ成り立っている話で、ポケモン二次創作小説ここに極まれり……と思いました。Marvelous!
はやめ
評価: ☆☆☆☆☆
今大会一番好きな作品で、溢れる感動をどこまで言葉にのせるべきか悩ましいです。語ろうと思えば一行ごとに感想が書けるので……。
「(中略)自分はまだ、この島や人と共に生きている、自分にはまだ、この島を永らえさせ、人に伝えるべき事があると。あのカヌーは、私達の生の象徴なのです」
この台詞が、生きるという行為そのものを端的に表していると思いました。ポケダンでもジュプトルが「生きている内に輝きたい」「誰かに受け継がれていく」といった旨の発言をしていて、同じく終末に向かって行く構図との類似含め印象に残っており、想起された場面です。終わりは終わりではなく、始まりでもある。王とマカリイの対話がまさしくそれを示していて「生きる」ことで残された者は何が出来るか、また何をしていくべきなのか、考えさせられました。二回読みましたが、二回ともこの対話の場面で感極まりました。
また、途中の挿話も、恐らくハワイの伝説(アラエ・ウラなど、調べましたが当たっていますでしょうか?)が基になっていて大変興味深く、随所に散りばめられたネタの数々を読書中に拾い切れたかどうか自信がありません。つまり世界観が文章から窺えて、それこそ大海のように広がり行き深みを持つ物語でした。ラタとヒナがだんだん活気を取り戻していき、お互いに対する葛藤を昇華した上で体を重ね合う場面も非常に美しく、素敵だなと感じます(……という風に受け取ったのですが、間違っていたら本当にすみません)。
あと、語るに外せないのはカプ・レヒレの描写です。
>異形のアラエのような手で霧の向こうに向けて手招きをする。
「――ひとは、ぎしきをして、わたしのきしに、たましいをよこす。もうよいものは、ひきうけるけれど、まだはやいものは、おしもどす。ひとたちのきしへ、なみにのせて」
絶妙な言葉選びと平仮名表記による透明感が合わさることで、伝説のポケモンとしての威厳が発揮されていて、好きなところです。
本当の意味でカプと通じ合い、理解へと及ぶことができ、それがきっかけとなりポニ島が良い方向に歩み出せたのでしょうね。カヌーが滅びの象徴ではなく、生を得た希望の証として変化を遂げていく静かながら光を感じさせるプロセスを楽しませていただきました。
色々な「生きる」形があって、正しいとか間違っているといった言葉で割り切れるものではなく、自然と溶け込み記憶され受け継がれていくものであり、それは時代を経たとしてもきっと息づくものである。作中の雰囲気や空気感があまりにもストライクで、ひとつの島が形成されていく歴史を食い入るように読みました。私はこの小説が大好きで、好みです。この作品に出会えたことを嬉しく思います。ありがとうございました。
虹乃空
評価: ☆☆☆☆☆
衰弱していきつつもしっかりと生きる人の姿を、美しく描いた物語でした。
冒頭と結末の詩がその物語性をより際立たせており、非常に心地よく物語に入り、また素晴らしい読後感で読み終えることが出来ました。
タパ布を染め上げる一連のシーンがとても印象深くて好きです。使用した資料も相当のものなのではないでしょうか?大変丁寧で、美しく、完成したカヌーに帆が張られる場面は、その精緻な模様がありありと目に浮かぶようでした。
SB
評価: ☆☆☆☆☆
これ、☆5で確定と読んだ瞬間決まりました。
少々くどいかなと思うところも無きにしも非ずですが、そこも逆に作者様の熱意が伝わるような感じがしてよかったです。
資料で殴るところももちろん良いですが、それよりもむしろ、人の人生を、心の動きを、妥協せずに書ききったということを評価したいと思います。
素晴らしかったです。ありがとうございます。
Ryo
評価: ☆☆☆
自作です。
凄く大変な思いをして書いた記憶があります。完成させることができて本当に良かったです。
読んでいただいた皆様、評価や感想を下さった皆様、ありがとうございました!
P
評価: ☆☆☆☆☆
ごく自然に本文中に現れるサメハダーの牙で作られた釣り針やバンバドロの泥を材料とした家、また差し挟まれる食事の風景などから濃厚な生活感が感じられ、開始すぐにポケモン世界での日常生活の描写に引き込まれました。
その中でも特に「熱した水底から生まれた泡が一直線に水上を目指すような、直向な希望への思い」「空になった水桶のような虚ろな表情」など生活の中で目にするもの、「海の果てへ辿り着いてしまったかのような遠い目」「夜の海に垂らされた釣り針のような月」など島の自然によるものと比喩がとても豊かで、その使い方自体が島の人々の精神性を表すものとなっていると思います。
タイトルの「船出」の意味も夫婦の死出の旅、ラウレアがタマタマを持ち出しに行く旅、そしてカプ・レヒレとの邂逅を経てのどこか希望ある夫婦の海への船出、そして残されたポニの人々の新たな生活の始まりそのものと、読み進めるほどに次々と変転していき、読み始めの頃に受けた印象と読後の印象が大きく違ったのも読んでいて楽しかったです。
エトワール
評価: ☆☆☆☆☆
自然の荒波に飲まれながらももがく人々、その方向性が動いた歴史がありありと描写されていた。
読後に脳内で「ポニの古道」を流したくなる、終わりの物語。
フィッターR
評価: ☆☆☆☆☆
比喩表現を巧みに使った緻密な情景描写と心理描写が織りなす、このコンテストで右に出るもののない美しい文章が光る一作です。
今はもうないポニ島の村と、そこに生きていた人々、彼らが向き合っていた生と死の有り様が、眼前に浮かんでくるようです。死と向き合うことで、ようやく豊かな会話を取り戻し、生きる意味を見出すことができたラタとヒナの生き様は、悲しくも幸せを願わずにはいられなくて心を打たれます。
久方小風夜
評価: ☆☆☆☆
人の住まない島ポニに人が住んでいた頃のお話。
淡々とした温かい語り口調がいいですね。途中の昔話や冒頭、最後の文章もいい感じです。
もっとあの辺の文化を知っておけばなあと思わないでもないですが、知らなくても十二分に楽しめました。
くろみ
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(コメント無し)
GPS
評価: ☆☆☆☆☆
土台、世界観の強さ
神様はやはり神様だった
島に残らなければならない人の残る理由が家族という、とても自分勝手でとても大切なものなのが素晴らしい
鳥野原フミん
評価: ☆☆☆
(コメント無し)
砂糖水
評価: ☆☆☆☆☆
船出はいいぞ。くらいしか、もはや出てこない。はー……この昔話を語る淡々とした文体でありながら美しいんですよ、この話は美しい。
>上等な鏡のように一分の隙もなく磨かれた青い空に、上等な鏡のように一分の隙もなく磨かれた青い空に、~
のくだりとか、
>――稲妻だ。この感情は「稲妻」だ。 突然襲ってきた、あの激しい心のふるえ。大峡谷から降る雨のように前触れ無くラタの目を濡らし、~
とか。抜き出すときりがないのでこの辺で止めておきますけど、こう、表現や比喩が美しい……。
この作品もかなり資料で殴りにきてるし、なんかもう……。しゅごい(こなみかん)
わたしはこういう話が……書きたかった……書けないですけど。だからこそ本当に本当に好き……。ありがとうございますありがとうございます。この話を書いてくださり本当にありがとうございます。
オンドゥル大使
評価: ☆☆☆
ゴルダックの話が出て来たという事はこっちがあの人なのかな、と思いつつ読んでいました。読むのは疲れましたが話としては仕上がっているので☆三つで。
水雲
評価: ☆☆☆☆
ストーリー性 9/10
文章力 10/10
構成力 9/10
キャラクター 9/10
独創性 10/10
好みかどうか 40/50
一言:追随を許さぬ、すさまじい文章力。総合的な作品のクオリティは間違いなくトップクラス。特に途中で挟み込まれた昔話。本物の「声」が聞こえてきそうなレベルなんです。ヒナのではなく、昔話の中に出てくる「大人達」の。好みかどうかと言うと、ちょっと外れてしまいました。
合計 87/100 平均 4.35
逆行
評価: ☆☆☆☆☆
文章巧いですね。鬼のように巧いです。
『上等な鏡のように一分の隙もなく磨かれた青い空』、という冒頭の表現からしてもう巧く、この時点で多くの読者は「やばいのがきた……!」と思うようになるのではないでしょうか。
ページを開いた瞬間だと最初の詩しか見えなくて、スクロールするとこの巧すぎる文章が出てきたもんだから鳥肌が立ちました。
最初の詩で油断させといてどーんと感じでした。
特筆すべき点はやはり比喩表現の多さでしょうか。
数えてはいませんが、今大会で最も比喩表現が多く使われていた作品だったと思われます。
時折難解で意味が伝わりにくい比喩表現もなりますが、そこは読者の読解力不足のせいにして押し切れるくらい全体的にハイレベルでした。
個人的には「生まれたてのミニリュウのように勢い良く這い上がっていく」のようなポケモンを使った比喩が好きです。
「石のドレディア」に関しては賛否ありそうですが自分は良いと思います。
もう少しポケモン関連の比喩を増やした方が良いかと思いました。
話の内容が一次創作よりでしたので、バランスを取る意味として。
また、アローラの生活感が浮き彫りになっていた描写が良かったです。
ジャラコの鱗を取引に利用していたり焼き魚にしたヨワシの食べたりとか、そのあたりの描写が生々しくて印象に残りました。
この話のメインであるカヌー造りの描写は特に細かく、よく調べているなあと思いました。
他に印象に残った点と言えば、食事シーンのときの心理描写でしょうか。
ここの主人公の心理は非常に力を入れて書かれていますね。
食事中に空気が読めないことを言ってしまって、沈黙が続いて辛くなるのは所謂あるあるネタでありこういうのを取り入れて読者を飽きさせないのが凄い。
どうしても調べたことを淡々と書いているだけだと、読んでて飽きてきますからね。
こういうアクセント部分は必要になってくるものだと思います。
後いいなあと思ったのが、カプ・レヒレを悪者にしたり、「実は全く力を持っていなかった」というオチにしなかったことですね。
全ては人間達の歪んだ信仰のせいが原因だった。
しっかりとカプの尊厳を保ちつつ、話のオチをつけていた印象でした。
生贄を捧げたる行為を最終的には王が間違っていると認め、マカリィがそれをフォローするという展開は素晴らしかったです。
後は生贄に捧げられた人達の家族が許すかどうかですね。
そこは少し気がかりな部分でしたが。
全体的には今大会でもかなりのハイレベルで圧倒されました。
やっぱり文章が巧いですね。
地盤が安定してます。
という訳で星5を付けさせて頂きます。
禍月アオ
評価: ☆☆☆☆☆
昔から厄災を鎮める為や口減らしの為に生贄の風習を「清め」と表現、住人が崇める守り神レヒレへの感謝を表す儀式という名目で送り出される場で、清めの番が回ってきた夫婦の人生の輝きを取り戻すようなお話でした。清めの期限までの出来事からラタとヒナを取り巻く周囲の環境、ホクレアやミルとの出会いで彼らの価値観や思想が少しずつ変わっていく様子を限られた文字数で色濃く描写されていて、まるで自らも村の住人として彼らを見守っているような感覚になりました。愛を感じる作品です。
リング
評価: ☆☆☆☆☆
死に向かおうとするお話でありながら、だからこそ生きるということの意味が強調されるようなお話でした。
生きるということは色々な形があり、その形の一つをほろ苦い後味のお話でまとまっており、とても読みやすく感じました
門森 ぬる
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北埜とら
評価: ☆☆☆☆
衝撃でした。一体どんな小説を読んで、どんな映画を見て、どんな焼肉を食べて育ったら、こんなに美しい比喩表現が次から次へと出てくるのだろう。巧みな文章表現のオンパレードでぶん殴られたという感じです。精読して隙を見て技を盗まさせていただこうかと思います。アッパレ!
★4にさせていただいたのは(好みに基づいて星を投げたので)完全に好みの問題になるのですが、何が好きになれなかったのかということを一応説明しておくと、最後夫婦が猛然と船を漕ぎだしていく
>「1、2、3、4、5、ハップ、ホー!」
この掛け声のあたりが、なんかちょっと怖いと、その印象が一番濃く焼き付いたからであります。そのそら恐ろしさまできっとこの作品の計算された美しさなのだと思うのですが、なんとなくこの結末とその先にある払拭できない予感というものが、微妙に受け入れられなくて、すいません。でもそれもまたこの作品の良さじゃないですか。
しんとしてそれでいて力強い、大変に美しい作品でした、本当に。ありがとうございました。
小樽
評価: ☆☆☆☆☆
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にっか
評価: ☆☆☆☆☆
ところどころはさまれる詩。詩をはさめる才能が羨ましいです。
No.017
評価: ☆☆☆☆
(コメント無し)
あきはばら博士
評価: ☆☆☆☆☆
船出はいいぞ。
このタイトルにするセンスがいいですね。ポリネシア文化がこれ以上なく描かれている作品で、正直この方向性の話が来るとは思いませんでした。
小樽(感想送付)
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ion
評価: ☆☆☆☆
(コメント無し)
586
評価: ☆☆☆☆☆
力作。この言葉が相応しいと思いました。とても長いにも関わらず、無駄な部分がまったくない。丁寧な描写を積み重ねた結果の賜物だと思いました。文句なしの5点です。
とんとん
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(コメント無し)
5573
評価: ☆☆☆☆☆
(コメント無し)
わかさぎ
評価: ☆☆☆☆☆
(コメント無し)
匿名
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(コメント無し)
おそば
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(コメント無し)
ta
評価: ☆☆☆☆☆
(コメント無し)
ロックファイター
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(コメント無し)
きとら
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(コメント無し)
かねの
評価: ☆☆☆☆
(コメント無し)
クロコダイル
評価: ☆☆☆☆☆
(コメント無し)
まーむる
評価: ☆☆☆☆☆
更に同じく文句なしの☆5。
滅びを迎えようとしている雰囲気が文体全部から感じられるのが好きだった。