事案#124633がズバットの生息域で発生していないかを当局で監視すると共に、市民やトレーナーからの申し出を確実に記録するようにしてください。前兆と判断できうる申し出、例えばズバットの個体数の顕著な減少などについても、できる限り詳細なヒアリングを行い、現状把握に努めてください。
ズバットの個体数を安定させるための試みが続けられています。当局で繁殖させたズバットは、成体になった段階で親個体の生息域へ戻してください。これまでのところ、当局の管理下で事案#124633が発生した記録はありません。しかしながら、当局が繁殖させたズバットが事案#124633によって死亡したケースは複数確認されています。個体数安定化を担当するチームからは、繁殖させたズバットにGPS機能付きの個体識別タグを装備させ、当局の手を離れた後の状況を観察する提案が出されています。
市民やトレーナーからヒアリングを行った結果、事案#124633に関与している疑いのある不審な人物(参考人#124633)が度々目撃されていることが分かっています。参考人#124633の捜索チームに割り当てられた人員は、ズバットの生息域近辺で発見した不審な人物に例外なくヒアリングを試みてください。参考人#124633であると判断した場合、手順M-124633に従って対象に任意同行を求め、最寄りの拠点でヒアリングを実施してください。
案件#124633は、携帯獣である「ズバット」が不明な原因により大量に死亡する複数の事案(事案#124633)と、それに掛かる一連の案件です。
事案#124633が初めて報告されたのは、2007年7月下旬のことです。カントー地方ハナダシティ北西部に位置する山岳地帯の洞窟にて、付近を散策中のトレーナーから「ズバットが大量に死亡している」という通報がありました。局員が現場へ向かい確認したところ、ズバットの死体が大量に散乱している状態でした。何らかの感染症が発生している疑いが生じたため、駆けつけた局員の判断でその場を隔離、トレーナーを含む初期発見者全員が完全な検疫を受けました。検疫の結果、すべての対象者の健康状態に一切の問題が見られないことが分かったため、翌日全員が解放されました。
カントー地方ヤマブキシティにあるバイオリサーチセンターから収容チームが派遣され、死亡したズバットの全個体が収容されました。収容された個体は全132体で、いずれも一切の外傷が見られませんでした。死因の調査のため、サンプリングされた10個体が解剖されました。解剖の結果、死亡した個体はいずれも急性の心筋梗塞を起こしており、それが直接の死因となった可能性が高いとの判断が下されました。しかしながら、解剖された個体はいずれも良好な健康状態にあったことが示されており、心筋梗塞を誘発させる原因となるような要素は何一つ見つかりませんでした。
当初この事案は未解決事案とされ、半年ほど事案一覧上で管理される状態が続いていましたが、その後ジョウト地方ヒワダタウン南東部に存在する洞窟でもほぼ同一の事案が発生、同じく168体のズバットが極端に密集した状態で死亡しているのが発見されました。カントー地方と同様に隔離と検疫、事後調査が行われ、詳細不明の事案として記録されていました。半期ごとの案件棚卸に際して両者の類似性が指摘され、検討の結果単独案件として起票することが決定しました。
カントー地方の事案もジョウト地方の事案も、法医学的な死因は急性心筋梗塞との見解で一致を見ていますが、急性心筋梗塞を齎した要因については明らかになっていません。また、どちらの事案に関しても一度に100体を越えるズバットが大量死した理由は不明なままです。ズバットの健康状態には問題は見られなかったほか、すべての個体について外傷は一切発見されませんでした。
興味深い点として、事案が発生した近隣に生息しているズバットを除いた他の携帯獣については、個体数の顕著な減少や不審な大量死は確認されていません。この事から当局では、ズバットに対しての急性心筋梗塞を誘発する未知の要因が存在するか、悪意を持った未知の個人/団体がズバットを未知の方法で大量に殺害しているかのいずれかが事案#124633の原因との見方を示しています。
同様の事案が、ホウエン地方ムロタウン北部に存在する洞窟でも発生しました(事案#124633-27として記録)。この事案の通報に際して、ムロタウンのジムに所属する複数のトレーナーから「洞窟周辺でサングラスをかけた不審な人物を目撃した」との証言が寄せられました。人物が目撃された翌日に事案#124633-27が発生したため、何らかの関連性が指摘されています。同様の特徴を持つ人物が、事案#124633-6、事案#124633-11、事案#124633-12、事案#124633-19、事案#124633-22でも目撃されています。
これを以て当局では対象を参考人#124633と認定し、現在も行方を追っています。
本案件に付帯するアイテムはありません。