後述する違和感を訴えてきた市民から詳細なヒアリングを行い、必要に応じて対象の身辺調査を実施してください。これまでのところ、市民から申し出のあった人物が実際にまったく別の存在と入れ替わっていたというケースは確認できていませんが、訴えの内容から事案のすべてが当人の思い込み/思い違いであるとは断言できない状況です。仮に申し出の通りの事案が発生していた場合、直ちに対象に任意同行を求めたの上で、詳細なヒアリングを行う必要があります。
上記の取り扱い手順は廃止されました。本件については、申し出てきた人間の神経衰弱や精神的疲労に由来する妄想・思い込みの類であることが明らかになっています。今後は最小限の担当者のみを置き、申し出てきた人間に対しては当局と契約しているカウンセラーを紹介することで対応してください。
監査の結果、本案件は事前の承認を得ずに警戒レベルが「0」(無力化済)に変更され、取り扱い手順が大幅に変更されていたことが明らかになりました。2003-11-29に制定された取り扱い手順を廃止し、2003-07-31時点の取り扱い手順へロールバックします。警戒レベルの変更に不審な点が見受けられるため、警戒レベルについては従前の「2」ではなく、一段階上昇させた「3」を制定します。
案件の棚卸し及び見直しに伴い、2004-02-26で廃止された取り扱い手順を復活させ、警戒レベルを「1」に再設定します。本案件については既に無力化済という認識ですが、一部の局員から異常性が残存しているとの指摘があったため、最低限の担当者を残して対応を継続します。基本的な案件対応方針については、2003-11-29に制定されたものに順じます。能動的な対応は必要ありません。
局内で発生したセキュリティインシデントに関与していたとして、前任の担当者は解雇の上すべてのセキュリティクリアランスが剥奪されました。これに伴い当該元局員が受け持っていた案件についての見直しが行われ、その過程で本案件の警戒レベルが複数回に渡って変更されていることが明らかになりました。案件とそれに掛かる事案の性質を鑑み、警戒レベルを「4」へ引き上げることを提案します。
複数の事案に対する継続調査とこれまでの実績を勘案して、再度警戒レベルの引き下げを申請します。本案件は過去に数度レベルの引き上げが行われていますが、それらには明確な根拠が無く、他のレベル4案件と比較しても明らかに脅威度は低いと言えるものです。より多くの人員を必要とする案件にリソースを集中させるためにも、適切な警戒レベル設定が行われるべきと主張します。
前任担当者の殉職により案件の再調査を実施しましたが、本案件は同一の担当者による2回のレベル変更、それもすべてがかつて設定したレベルを大幅に引き下げるという不可解な事象が実に3度に渡って発生しています。これは他の案件と比較しても明らかに異常なものです。この事実だけでも本案件を警戒すべきなのは明白であると同時に、甚だしきは局内で事案が発生している虞があるということです。ここに今一度、本案件の警戒レベルを「4」に設定する事を申請します。
当局の対応により、本案件は事実上無効化されました。継続調査の結果は、事案を申し出た人間が例外なく精神的に疲弊していた事実を示しています。当初の見立て通り、当人の思い込みによるものと推定されます。事案が再発した場合に備えて最低限の人員を残し、再度警戒レベルを「1」とすることを提案します。
案件#105962は、一部の市民が訴えるある種の「違和感」と、それに掛かる一連の案件です。
2003年の4月下旬頃、当局が市役所内に設けている相談窓口に「隣人が別人になっているような気がする」という不安を訴える市民が現れました。窓口担当者がヒアリングを実施し概要を取りまとめた上で、事案発生の可能性有りとして日報に記録しました。翌日当該局員が申し出にあった隣人の元を訪れ、本来の目的を隠して簡単なヒアリングを実施しました。
市民及び局員の証言によると、隣人(参考人#105962)は一見したところそれまでと変わらないように見えましたが、本来記憶しているべきことをまったく記憶していなかったり、あるいは従前好んでいた食物を食べなくなるというように顕著に嗜好が変化するといった事象がごく短期間に確認されました。申し出た市民が違和感を覚えたことにも説得力があると認められるレベルで、参考人#105962は以前と異なっているように見受けられます。
その後、各地の支局からほぼ同様の申し出が多数寄せられました。それらを取り纏めたところ、いずれも参考人#105962と認定された人物の、主に内面について極端な変化が確認されました。何らかの事案が発生している可能性が高いと判断した局員は中央統括部に案件立ち上げを申請、同年7月31日に受理されました。また、この一連の事案については、事案#105962として管理されることが決定しました。
先述した通り、事案#105962は近親者や隣人が参考人#105962の顕著な変化に違和感を持つことで発生が確認されます。参考人#105962そのものが変化したのか、参考人#105962そのものに関係する記憶が改竄されているのか、あるいはそれとは別の、実態を把握することのできない別の事象の波及効果として違和感を覚えるのかは定かではありません。しかしながら、何らかの形で事案#105962が存在している事そのものについては、関係する局員の間で意見の一致を見ています。
これまでのところ、事案#105962の原因については複数の仮説が提起されています。中でも有力な仮説として、以下に述べる仮説#105962-3があります。
本案件の仮説はいずれも不確かな根拠に基づく信憑性の薄いものであり、本稿に残しておく意義はありません。文書の更新に伴い、仮説の一覧を削除しました。過去の版については、リポジトリの履歴から個別に参照することができます。
仮説一覧が前任担当者の独断で削除されていたため、過去の版から復旧させました。仮説はあくまで今後の調査の方向性を指し示すものであり、直近の信憑性に基づいて直ちに削除される類の情報ではないことは明白です。さらなる仮説の提案も奨励されています。
仮説はいずれも不正確であるという裏付けが取れたため、再度本稿から除去しています。不正確な情報を残しておく必要はありません。過去の版が必要になった場合は、文書リポジトリにアクセスして当該版をリクエストしてください。
前任担当者の解雇に伴い、本案件についても全面的な見直しが行われました。報告書から仮説がすべて除去されているのは明らかに不自然であり、何らかの意図を感じると言わざるを得ません。仮説一覧を復旧させ、かつ理由の無い文書の変更を禁止する措置を取りました。この措置は解除されるべきではありません。
長期間案件に動きが見られなかったため、文書の変更禁止措置の解除と、仮説一覧の本文からの除去を再実行しました。本案件は終結フェーズに向けて動くべき案件と認識しており、最終報告書を提出する準備が進められています。
度重なるレベル変更と共に、末尾に付与している仮説一覧についても不審と判断せざるを得ない編集が繰り返されていることが分かりました。看過できるものではありません。文書を現状復旧すると共に、編集時に意図を明確にさせなければなりません。局内で使用するリポジトリ構築用ソフトウェアの更新を要求します。
案件の事実上の無力化成功に伴い、文書の編集禁止措置が解除されました。すべての事案が申し出た人間の思い込みであると確定したため、仮説一覧についても削除しています。これ以上の編集は必要ありません。
本案件には、1件の付帯資料があります。適切なセキュリティクリアランスを持つ局員のみが、付帯資料を参照できます。