Subject #89244

Basic Informations:

Subject ID:
#89244
Subject Name:
おまけ付き自動販売機
Registration Date:
1998-04-13
Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:

機器#89244はホウエン地方フエンタウン第四支局の施錠可能な倉庫へ収容し、他のオブジェクトと最低でも互いに3m以上の距離を置いてください。機器#89244は通電しない限り活性化しないため、常にコンセントが抜かれた状態を保持します。実験目的で機器#89244を活性化して利用する場合は、事前に様式F-89244-1に必要な事項を記入し、ワークフローを回付しなければなりません。実験で得られた物品#89244は内容を解析の上、フエンタウン第四支局に隣接する第五低異常性取得物保管庫のブロック4-Aから5-Fにかけて分類の上保管してください。

機器#89244を用いた実験、特に物品#89244の排出を伴う実験を行う場合、機器#89244の半径50m以内にポケモントレーナー向けに作られたアイテムを、最低でも(実験を行う回数+20)個以上、適度に間を開けて配置してください。実験中にアイテムが一部、またはすべて消失することがありますが、これは機器#89244の正常な挙動です。この性質のため、実験参加者は実験チャンバーに不要なアイテムを持ち込んではなりません。

これまでの実験で機器#89244から得られた物品#89244とその概要の一覧は、リストL-89244-2を参照してください。特別な実験を行う場合を除いて、物品#89244の持ち出しは認められません。ただし一部の物品#89244については、本案件を含む案件対応に際して上長の承認付きで使用が許可される場合があります。使用が特例的に認められている物品については、リストL-89244-2の「特例利用可能」列を参照してください。

Subject Details:

案件#89244は、飲料水とともに特異な性質を持つ様々なアイテムを排出する自動販売機(機器#89244)と、それに掛かる一連の案件です。

機器#89244が初めて発見されたのは、1998年2月12日の事です。旅行中のトレーナーがジョウト地方チョウジタウンの道沿いに置かれていた自動販売機で飲料水を購入したところ、目当ての商品と共に黒いビニールに入れられた不審な製品が排出されたことに気が付きました。トレーナーがその場でビニールを開封したところ、後に物品#89244-1と認定されるアイテムが封入されていたことが判明しました。不審に感じたトレーナーが最寄りのポケモンセンターへ物品を届け出たことにより、本件は当局の知るところとなりました。

局員が機器#89244の所有者を確認したところ、所有者は「自販機を置く契約を交わした記憶はあるが、飲み物以外の物が出てくるとは聞いていない」と回答し、機器#89244についてほとんど知識がないことが明らかになりました。局員が所有者を説得の上機器#89244を接収、代替の自販機を手配しました。この一連の作戦行動により、機器#89244は平和裡に当局の所有物となりました。

機器#89244は、ある飲料水メーカーのロゴが印字された特徴のない自動販売機です。当局の問い合わせと内部調査により、飲料水メーカーは機器#89244の異常性について何ら知識を持っていない事が分かりました。この事から、機器#89244は元々正常な自動販売機だったものを、何者かが後から改造を加えたものと見られています。異常性の無い同一型の機器と比較していくつかの箇所に人為的に手を加えたと思しき点が見受けられるのも、この仮説を補強する一因となっています。

通電され、かつ販売するための飲料水が十分補充されている場合に、機器#89244は活性化します。利用者が飲料水を購入できるだけの硬貨または紙幣を投入し、目的の商品に対応するボタンを押下すると、機器#89244は飲料水と共に黒いビニールに封入したアイテム(物品#89244)を排出します。飲料水についてはあらゆる検査で一切の異常性が認められず、事前に補充された製品をそのまま通常の機構で排出しているに過ぎないことが分かりました。

物品#89244は、機器#89244が排出する未知のアイテム群の総称です。外見は概ね市販されているポケモントレーナー向けのアイテムと一致していますが、性質は既知のものと相違することがほとんどです。機器#89244の内部調査では、物品#89244が物理的に保管されているスペースを見つけることはできませんでした。しかしながら後述する性質より、機器#89244は物品#89244を無尽蔵に排出できるわけではないことが分かっています。

繰り返し行われた実験で、購入する飲料水の種類と排出されるアイテムに相関関係は無いことが明らかになっています。以下はこれまでの実験で排出されたアイテムの抜粋です:

物品#89244-1:
機器#89244の異常性が初めて明らかになった際に回収されたアイテム。外見は一般に「スーパーボール」の名前で知られるモンスターボールの上位機種と完全に一致するが、中に三食分の携帯用非常食が入っていた。非常食を取り出した後は通常通り使用可能だが、捕獲性能はモンスターボールに準じていた。
物品#89244-2:
外装に「まひなおし」とラベリングされているが、実際には解毒作用を持つ医薬品。
物品#89244-3:
汎用的携帯獣技能習得装置(一般に「技マシン」と呼称されているデバイス)。調査により、内部には「たいあたり(ポケモンリーグ公認の名称に拠る)」が記録されていることが分かった。これまで実験したほぼすべての携帯獣が習得できることが判明している。
物品#89244-4:
外見上は一切の差異が見受けられず、少なくとも人間に対しては情報災害の効果も持たないことが分かっているが、野生の携帯獣に投擲すると例外なく恐れをなして逃げていくため繰り返し使用可能なピッピ人形。
物品#89244-5:
一般の自販機で市販されているものと同じラベリングがされた「おいしいみず」。携帯獣に飲ませると、体力の回復効果に加えて一時的に水属性の攻撃に対する強い耐性を得ることが分かった。耐性は概ね1時間ほどで解除される。
物品#89244-6:
かつて放送されていたラジオ番組である「ポケモンの笛」の音色が収録されたオーディオレコーダー。音質はかなり劣化している。再生すると麻痺状態にある携帯獣が健康な状態に回復する。睡眠中の携帯獣を起こす効果は観測できなかった。
物品#89244-11:
通常通り膨らませることができる風船。携帯獣に装備させると、風船そのものに向けて行われた攻撃を完全に回避する性質を持つ。自然に空気が抜けるか、携帯獣が自発的に風船を手放さない限り装備者を浮遊させ続ける効果がある。
物品#89244-18:
デボンコーポレーション社製の特殊用途向けの双眼鏡「デボンスコープ」に酷似した双眼鏡。使用すると、一部の人間が点滅して表示される。点滅にどのような意味があるのか、また点滅する人間の基準が何かは現在調査中。
物品#89244-21:
外見上不審な点が見られない「あなぬけのひも」。使用するといかなる場所からでも使用者の自宅へ帰還することができる。繰り返し使用可能かつ、複数の人間が同時に使用可能。過去の事例では、一般に「やぶれたせかい」として知られる異常次元に関わるレベル5事案に巻き込まれて行方不明になった局員2名が、このアイテムを使用して無事に帰還したというものがある。恐らく次元を超えて使用可能と推測。
物品#89244-25:
一見したところ異常性の見受けられない「なみのりメール」50通。メールの用途を口頭で述べる(「お礼状」「近況報告」等)と、それに適した定型文が記入される。定型文が記入される原理については不明。
物品#89244-33:
一般に「でんきだま」と呼ばれる黄色い球体に類似したアイテム。ピカチュウ以外の電気属性を持つ携帯獣に持たせると、実測値でおよそ1.25倍ほどあらゆる技の威力が上昇する(電気属性以外の技能も含む)。ピカチュウが所持した場合、何ら効果を発揮しない。

これまでの実験から、機器#89244は「概ね無害で役に立つが、奇妙な性質を持つ」アイテムを排出する傾向があります。明らかに危険なアイテムやそれほどではないにしろ使用者に何らかの害を及ぼすアイテム、あるいはまったく用途不明なアイテムが排出された記録はありません。現状ではアイテムの生成過程が不明であることと、正確な効果が明らかになっていないアイテムが数多く存在することから、機器#89244及び物品#89244を積極的に利用することは避けるべきです。しかしながら一部の局員からは、有用な物品#89244については申し出に応じて貸与すべきとの意見も上がっています。

実験の過程で一時的に機器#89244が応答しなくなり、直後に実験チャンバー内に置かれていたモンスターボールが消失するという事象が発生しました。そしてモンスターボールの消失と共に自販機が稼働を再開し、外見上モンスターボールと一致するインテリアアイテムを排出するという事象が観測されました。この事象から、機器#89244は内部に保持している物品#89244の材料となるアイテムを、未知の方法で周囲から収集していることが判明しました。不慮のアイテム喪失を防ぐため、実験に際して周囲に材料となるダミーのアイテムを配置することが提案されました。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。