機器#89244はホウエン地方フエンタウン第四支局の施錠可能な倉庫へ収容し、他のオブジェクトと最低でも互いに3m以上の距離を置いてください。機器#89244は通電しない限り活性化しないため、常にコンセントが抜かれた状態を保持します。実験目的で機器#89244を活性化して利用する場合は、事前に様式F-89244-1に必要な事項を記入し、ワークフローを回付しなければなりません。実験で得られた物品#89244は内容を解析の上、フエンタウン第四支局に隣接する第五低異常性取得物保管庫のブロック4-Aから5-Fにかけて分類の上保管してください。
機器#89244を用いた実験、特に物品#89244の排出を伴う実験を行う場合、機器#89244の半径50m以内にポケモントレーナー向けに作られたアイテムを、最低でも(実験を行う回数+20)個以上、適度に間を開けて配置してください。実験中にアイテムが一部、またはすべて消失することがありますが、これは機器#89244の正常な挙動です。この性質のため、実験参加者は実験チャンバーに不要なアイテムを持ち込んではなりません。
これまでの実験で機器#89244から得られた物品#89244とその概要の一覧は、リストL-89244-2を参照してください。特別な実験を行う場合を除いて、物品#89244の持ち出しは認められません。ただし一部の物品#89244については、本案件を含む案件対応に際して上長の承認付きで使用が許可される場合があります。使用が特例的に認められている物品については、リストL-89244-2の「特例利用可能」列を参照してください。
案件#89244は、飲料水とともに特異な性質を持つ様々なアイテムを排出する自動販売機(機器#89244)と、それに掛かる一連の案件です。
機器#89244が初めて発見されたのは、1998年2月12日の事です。旅行中のトレーナーがジョウト地方チョウジタウンの道沿いに置かれていた自動販売機で飲料水を購入したところ、目当ての商品と共に黒いビニールに入れられた不審な製品が排出されたことに気が付きました。トレーナーがその場でビニールを開封したところ、後に物品#89244-1と認定されるアイテムが封入されていたことが判明しました。不審に感じたトレーナーが最寄りのポケモンセンターへ物品を届け出たことにより、本件は当局の知るところとなりました。
局員が機器#89244の所有者を確認したところ、所有者は「自販機を置く契約を交わした記憶はあるが、飲み物以外の物が出てくるとは聞いていない」と回答し、機器#89244についてほとんど知識がないことが明らかになりました。局員が所有者を説得の上機器#89244を接収、代替の自販機を手配しました。この一連の作戦行動により、機器#89244は平和裡に当局の所有物となりました。
機器#89244は、ある飲料水メーカーのロゴが印字された特徴のない自動販売機です。当局の問い合わせと内部調査により、飲料水メーカーは機器#89244の異常性について何ら知識を持っていない事が分かりました。この事から、機器#89244は元々正常な自動販売機だったものを、何者かが後から改造を加えたものと見られています。異常性の無い同一型の機器と比較していくつかの箇所に人為的に手を加えたと思しき点が見受けられるのも、この仮説を補強する一因となっています。
通電され、かつ販売するための飲料水が十分補充されている場合に、機器#89244は活性化します。利用者が飲料水を購入できるだけの硬貨または紙幣を投入し、目的の商品に対応するボタンを押下すると、機器#89244は飲料水と共に黒いビニールに封入したアイテム(物品#89244)を排出します。飲料水についてはあらゆる検査で一切の異常性が認められず、事前に補充された製品をそのまま通常の機構で排出しているに過ぎないことが分かりました。
物品#89244は、機器#89244が排出する未知のアイテム群の総称です。外見は概ね市販されているポケモントレーナー向けのアイテムと一致していますが、性質は既知のものと相違することがほとんどです。機器#89244の内部調査では、物品#89244が物理的に保管されているスペースを見つけることはできませんでした。しかしながら後述する性質より、機器#89244は物品#89244を無尽蔵に排出できるわけではないことが分かっています。
繰り返し行われた実験で、購入する飲料水の種類と排出されるアイテムに相関関係は無いことが明らかになっています。以下はこれまでの実験で排出されたアイテムの抜粋です:
これまでの実験から、機器#89244は「概ね無害で役に立つが、奇妙な性質を持つ」アイテムを排出する傾向があります。明らかに危険なアイテムやそれほどではないにしろ使用者に何らかの害を及ぼすアイテム、あるいはまったく用途不明なアイテムが排出された記録はありません。現状ではアイテムの生成過程が不明であることと、正確な効果が明らかになっていないアイテムが数多く存在することから、機器#89244及び物品#89244を積極的に利用することは避けるべきです。しかしながら一部の局員からは、有用な物品#89244については申し出に応じて貸与すべきとの意見も上がっています。
実験の過程で一時的に機器#89244が応答しなくなり、直後に実験チャンバー内に置かれていたモンスターボールが消失するという事象が発生しました。そしてモンスターボールの消失と共に自販機が稼働を再開し、外見上モンスターボールと一致するインテリアアイテムを排出するという事象が観測されました。この事象から、機器#89244は内部に保持している物品#89244の材料となるアイテムを、未知の方法で周囲から収集していることが判明しました。不慮のアイテム喪失を防ぐため、実験に際して周囲に材料となるダミーのアイテムを配置することが提案されました。
本案件に付帯するアイテムはありません。