確認できた看板#122259は随時撤去し、できる限り人目に付かないよう注意を払ってください。対象は違法な広告であるという情報を各種メディアを用いて拡散しているため、市民から「看板が取り付けられている」という旨の通報がなされることがあります。通報を受けた場合は速やかに出動し、看板を取り外してください。看板そのものには異常な特性は無いため、取り外しに際して特に準備は必要ありません。
看板に記載されている電話番号への架電実験は禁止されています。過去に発生した事案を収集・整理することに止め、新たな実験は行わないようにしてください。これまでに確認された電話番号については、未だすべて有効であることが分かっています。新たな電話番号が判明した場合、あらゆる手段を講じて所有者を調査してください。電話番号の所有者が、本案件の中核を担っている可能性が濃厚です。
案件#122259は、主にジョウト地方及びカントー地方を中心に多数確認されている不審なホーロー看板(看板#122259)と、そこに記載された電話番号へ架電した際に発生する特異な事象、及びそれらに掛かる一連の案件です。
看板#122259が初めて確認されたのは、案件#120602(「拡張される地図と現実」)について、Google Inc.が提供する地図情報サービスである「Google Maps(グーグル マップ)」を用いて調査を行っていた時のことです。設置されて少なくとも二十年以上が経過しているように見受けられるにもかかわらず、記載された電話番号が近年利用が本格化したIP電話のもの(050-XXXX-XXXX)であったために、当局の注意を引きました。
看板#122259は、赤と白の2色のみで構成されたホーロー看板です。上半分は赤地に白文字で「タニヤマ」というコーポレートネームと思われるロゴが記載され、下半分は白地に赤文字で、先述したIP電話の「050」から始まる電話番号と共に「ポケット金融・振込ローン」なるキャッチコピーが記載されています。看板自体には異常な特性は無いと考えられますが、設置されたと推定される年代にはIP電話サービスは存在しておらず、顕著な矛盾が見られます。
その後、局員が看板#122259に記載された電話番号へ架電する実験が数回行われました。局員が架電したところ、記載通り「タニヤマ」と名乗る自動音声による応答がありました。この時点で電話番号が有効であり、何らかのサービス(恐らくは金融・融資に関するサービス)を提供していることは確定しましたが、自動音声は「お電話ありがとうございます。タニヤマ事務センターです。現在電話がつながりにくくなっております。そのまましばらくお待ち下さい」と繰り返すのみで、それ以上の応答は得られませんでした。
しかしながら、当局による実験終了後からほどなくして、各地から「ホーロー看板に書かれた番号に電話を掛けたら、連れていたポケモンがいなくなった、消失した」と要約できる通報が多数寄せられました。受付担当者によるヒアリングにより、それらがいずれも看板#122259に記載された電話番号へ架電したことによる事案であることが判明しました。当局は明らかに異常な事案と断定、直ちに案件立ち上げを行いました。
第一通報から3週間以内に受けた通報により、その時点で看板#122259は最低でも全国79箇所に設置されていることが分かり、直後に実施された全国緊急調査により、実に3574枚もの看板#122259が発見されました。これは当局が把握している分のみであり、看板#122259の完全な総数ではないことに注意してください。発見された看板#122259はほぼすべてが過去の時点では存在していなかったものであることが確認されていますが、いずれの看板#122259も設置から二十年前後が経過したような老朽化の状態を見せており、その場所に長らく取り付けられていたもののように見受けられることで共通しています。
市民からの通報により、当局の実験では判明しなかった看板#122259に関する特異な性質が明らかになりました。記載された電話番号に架電する際、架電者が捕獲した携帯獣が近く(推定で5メートルから6メートル以内)にいた場合、該当する携帯獣が消失します。さらに携帯獣の消失後二時間以内に、架電者が開設している預金口座(複数の口座を持っている場合、もっとも利用頻度の高い口座)に対し、未知の送金者からランダムな金額が振り込まれます。この事象は、管理局により事象#122259と命名されました。
事象#122259の条件を満たした場合、連絡先である「タニヤマ事務センター」の自動音声は「お電話ありがとうございます。ただいま融資の審査を行っております。電話を切らず、そのままお待ち下さい」と応答します。その後2分から4分の間を置いて「大変お待たせいたしました。お客様の審査が完了しました。これより送金手続きに入らせていただきます」と応答し、その直後に事象#122259が発生、携帯獣が消失します。この時、二度目の自動音声のフレーズが完了するまでに電話を切断しても、事象#122259の発生を止めることはできないことが分かっています。架電した時点で事象#122259の発生が予約され、以後の処理はすべて自動的に行われているものと推定されます。
携帯獣の消失後に架電者の預金口座へ振り込まれる金額は事案の都度変動しますが、統計情報からある程度の法則性が存在することが判明しています。概ね、携帯獣が戦闘に関する技術や能力に秀でているほど、そして架電者と携帯獣の関係が長く続いているほど高額になる傾向があるようです。これ以上の具体的な金額の決定方法については、サンプルが不足しているため判明していません。
看板#122259はどのような手段を用いて設置されたのか、「タニヤマ」と名乗る団体がいかなる方法で事象#122259を発生させているのか、消失した携帯獣はどのようになったのかはいずれもすべて不明なままです。一連の事案から、「タニヤマ」が何らかの目的に基づいて携帯獣を収集している可能性が指摘されたため、局内における携帯獣を連れた状態での架電実験は無期限に禁止されることになりました。現在、本案件の中心となる「タニヤマ」に関する情報を得るための調査が行われています。
本案件に付帯するアイテムはありません。