携帯獣#90349は、現在カントー地方トキワシティ第八支局へ収容されています。そのものは一般的なニョロモと同じ性質を持つため、標準的なニョロモの生育手順に沿って収容してください。必要に応じてモンスターボールへ格納することも可能ですが、その場合事前に必ず手順P-90349-1に従って現在の状態を確認・記録してください。
手順P-90349-1によって携帯獣#90349の状態を確認した際、前回の確認時から状態が「反転」していた場合は、特に対応の必要はありません。本稿執筆時点では一度も確認されていませんが、仮に「反転」以外の状態が見られた場合は、可能な限り周囲の状況を詳細に記録した上で、上席に報告を行ってください。必要に応じて、その後の対応について検討することになっています。
不定期に、元の携帯獣#90349のトレーナーが面会目的でカントー地方トキワシティ第八支局を訪れることがあります。受付担当者はトレーナーを出迎えた後、情報漏洩防止用の標準的なアイマスクとヘッドホンを着用させ、収容室内部まで車椅子に乗せて移動させてください。面会が終了した後は、同様の手順に沿って受付まで移動させてください。この手順に沿っている限り、プロトコルUXに基づく記憶処理は必要ありません。
案件#90349は、ある特徴を持つニョロモ(携帯獣#90349)と、それに掛かる一連の案件です。
本案件を当局が知るところとなったのは、1998年8月中旬にカントー地方トキワシティにあるポケモンセンターに「ニョロモの様子がおかしい」との通報がなされたことがきっかけです。通報してきたのはニョロモのトレーナーである当時10歳の少女であり、本人曰く「昨日までと模様が違う」とのことでした。ポケモンセンターから応援要請を受けた局員が速やかにニョロモを確保し、初期調査及び案件立ち上げが行われました。
携帯獣#90349は、外見的には特に異常が見られないニョロモ個体です。このニョロモが他個体と異なるのは、腹部に現れている渦巻き状の模様が不定期に左右反転することです。ニョロモの渦巻き模様は内臓が皮膚を通して見えているために現れるものですが、内臓が自然反転することは物理的にほぼ発生し得ないことが分かっています。収容時点から、これまでに52回の反転が確認されています。
模様が反転することを除けば、携帯獣#90349はごく一般的なニョロモ個体です。食性や生活リズムは完全に一般的なニョロモ個体のそれと一致し、特異な行動や習性は一切確認/記録されていません。そして食事の際の観察から、携帯獣#90349の内臓は実際に反転していることが分かっています。ただし、実際に内臓反転が行われる瞬間については、まだ観測に成功していません。内臓反転の前後で、携帯獣#90349が不快感や苦痛を示したことはなく、平時と変わらない様子を見せています。
以下は、携帯獣#90349の内臓反転が見られたタイミングと、その後の検証結果をまとめたものです:
携帯獣#90349の内臓が反転する理由は分かっていません。何らかのサイン/予兆であるとの仮説も示されていますが、これまでのところ内臓反転に対応するような事象は確認されていません。携帯獣#90349がどのような方法で内臓を反転させている、あるいはさせられているのかについても不明なままです。
本案件に付帯するアイテムはありません。