これまでのところ、実際に29番目に相当するアンノーンは実在が確認されていません。29番目のアンノーンについての言及がなされた書籍やWebサイト、あるいはその他資料を発見した場合は、資料の内容を分析した上で、必要に応じて作成元にヒアリングを試みてください。これまでに34の書籍と62のWebサイト、そして15のその他資料が確認されています。これら資料そのものについては、特段の異常性が無いことが確認されています。
別事案/案件により、「!」及び「?」のアンノーンが新たに出現し、過去の因果律が書き換えられた可能性が示唆されています。本案件で取り扱う29番目のアンノーンが「!」及び「?」のアンノーンの出現事例と同一の事象なのかについては、これまでのところ明らかになっていません。ただし、「それまで存在していなかったはずのものが、あたかも存在したかのように受け入れられている」という点では共通しており、注視が必要であることに変わりはありません。
案件#127718は、これまでに実在が確認されていない29番目のアンノーンに対する言及と、それに掛かる一連の案件です。
当局が29番目のアンノーンに対する言及を初めて確認したのは、局員が書店で購入した子供向けの携帯獣図鑑においてです。当該書籍には「アンノーンは29種類存在する」という旨の文言が記載されていましたが、写真として掲載されているのは既知の28種のみでした。不審に思った局員が出版社へ問い合わせたところ、出版社からは「編集担当者はアンノーンが29種存在すると言っている」との回答が得られました。局員は本件を日報へ記載し、記録として残しました。
次に未知のアンノーンに対する言及が見られたのは、キキョウシティ南部に居住する市民が執筆したblogにおいてです。記事の一つで「撮影したアンノーンの紹介」という名目で写真を掲載していましたが、末尾に「実はもう一種類存在するが、今回は撮影できなかった」というコメントが記載されていました。執筆者にコンタクトを取ったところ、「29種類いるのは間違いないが、まだ実物を見たことはない」との回答がありました。これについても日報へ記録されるに留まり、案件として取り上げられることはありませんでした。
本件がクローズアップされたのは、システムエンジニアとして働くある市民が、ミニブログサービス「Twitter」に「Unicodeのマッピングはおかしい、アンノーン文字は28文字しか存在しないはずなのに、29文字分が予約されている」と投稿したことがきっかけです。このツイートを端緒として、アンノーンは28種であると主張する集団と、そうではなく29種であると主張する集団に分かれ激しい言い争いに発展しました。局員がこのやり取りを目撃した直後、過去に「29番目のアンノーン」について言及があったことを思い出し、これまでに記録された事案とともに取りまとめて案件の立ち上げを行いました。
当局の見解としては、29番目のアンノーンについては「現時点では存在しない」としています。これまでにその姿が目撃された記録が無いほか、具体的にどのような文字がモチーフとなっている(またはどのような文字のモチーフとなった)かが明らかにされていないことが根拠です。しかしながら、存在すると主張する人々は当局の予想をはるかに上回っており、カントー地方を対象に実施したアンケートでは実に52%もの市民が「アンノーンは29種である」と回答しました。実在すると答えたすべての市民が具体的なシンボルをイメージできなかったにもかかわらず、「存在することは間違いない」と答えたことは特筆すべき事象と言えます。
今後の対応方針としてはいくつかのものが考えられますが、現在進められているのは「29番目のアンノーン」がどの時期から言及されるようになったかを特定することです。その前後に何らかの事案/案件が発生していないか、そしてそれら事案/案件が、人々の認識、あるいはアンノーンの性質に何らかの影響を及ぼすような類のものでは無かったかについての検証作業が進められています。
本案件に付帯するアイテムはありません。