これまでに回収された機器#109827は、各拠点に用意した耐火性の金庫へまとめて保管してください。保管する際は機器ごとにラベリングをして、それぞれを識別可能な状態にしておくことが望ましいです。機器#109827は外観とは異なり動作に一切の電力を必要としないため、仮に電池を抜いた状態であっても起動を試みるべきではありません。機器#109827が起動されているかは、本体前面上部にある電源ランプにより確認することができます。
家電量販店や、小規模な電器店を備えるデパート/ショッピングモールを定期的に巡回し、既存の商品に混合させる形で機器#109827が販売されていないかを確認してください。通常、機器#109827は店舗の従業員に無断で配置されており、正規の経路で入荷されることはありません。発見した場合は速やかに店舗責任者へ連絡し、在庫も含めたすべての機器#109827を接収してください。
案件#109827は、録音した音声にある一定の指向性を持った認知異常を引き起こす効果を付与するボイスレコーダー(機器#109827)と、それに掛かる一連の案件です。
当局に寄せられた「穏和な会話を録音したにもかかわらず、聞かせたすべての人が強い不快感を示したボイスレコーダーがある」という通報により、このアイテムの存在が認識されました。通報者からボイスレコーダーを接収して局内でテストを実施したところ、通報にあった通りの異常特性が確認できました。これにより当局は案件の立ち上げを決定するとともに、ボイスレコーダーを機器#109827として指定しました。
機器#109827は、隅にペラップのイラストが描かれた、外見上一般的なものと何ら相違の見られないボイスレコーダーです。モデルは古いもので、一見すると単三電池二本を動力源としているように見えますが、これは実際には正しくありません。機器#109827は電池がセットされていようといまいと、すべての機能を利用することができます。電池をセットして種々の動作確認を行い、その後残容量を確認したところ、電池はまったく使用されていないことが明らかになりました。
機器#109827の異常特性は、音声を録音した時ではなく、録音した音声を再生する場合に顕現します。録音された音声を耳にした人間及び携帯獣は、それがいかなる内容であろうと、非常に強い嫌悪感と不快感を覚えます。時として、ボイスレコーダーそのものや近くにいる人間/携帯獣に対する攻撃に及ぶこともあります。それらの感情は録音が終了するかあるいは中断されると即座に消失し、周囲の人間及び携帯獣は平静さを取り戻します。同時に、録音された音声を耳にした場合に想定される本来の感情と、実際に自らが抱いた感情の著しい乖離に強く困惑します。
この特性のために、機器#109827は様々なトラブルを発生させる要因となっていました。以下はこれまでに確認された、ボイスレコーダーとして機器#109827を使用したために発生した事案の一覧です。
一部の局員から、機器#109827のデザイン、及び事案#109827-6で見られた事象より、機器#109827はペラップと何らかの関連性を持っているのではないか、あるいは機器#109827自体にペラップの特異な性質が一部組み込まれているのではないかといった仮説が提唱されています。
本案件に付帯するアイテムはありません。