Subject #102808

Basic Informations:

Subject ID:
#102808
Subject Name:
増長する宿り木
Registration Date:
2002-07-31
Precaution Level:
Level 5

Handling Instructions:

オブジェクト#102808はデータ化され、大容量ハードディスクを多数ストライピングした専用のディスクに保管されています。ハードディスクの容量を6時間毎にチェックし、容量不足が懸念される場合は物理ディスクを追加して容量を割り当ててください。容量不足は即時の重大な収容違反を招くため、多少容量に余裕があったとしてもディスクを追加することが奨励されています。ディスクは週に一度10台ずつ、当局と契約している業者によって納入されることになっています。

その規模の大きさから、オブジェクト#102808の具体的な性質について調査することは不可能です。不用意な調査の試みは大規模な収容違反を引き起こす虞が非常に大きいため、局員はオブジェクト#102808を収容することに集中してください。データ化して収容している限り、オブジェクト#102808の特性は「拡大・膨張し続ける」という一つを除いて活性化されません。最終的にオブジェクト#102808をどのように処理するかについては、いくつかの候補が挙げられています。

Subject Details:

案件#102808は、異常な性質を複数持つオブジェクト(オブジェクト#102808)と、それに掛かる一連の案件です。

2002年6月中旬頃、ジョウト地方ヒワダタウンにて、近隣を散策していたポケモントレーナーがポケモンセンターへ駆け込み、職員に「ヤドンが『やどりぎのタネ』を受けておかしなことになっている」と訴えました。職員が現場へ向かい状況を確認したところ、既にヤドンの姿は確認できず、本来対象を縛る程度の強さしか持たない「宿り木」が著しく成長している様子が目撃されました。この時点で「宿り木」は1メートル程度にまで成長し、周囲に根とも蔓とも付かない器官を拡大させている状態でした。

この状況を見た職員は即座に異常事案と判断し、当局に通報がなされました。駆けつけた局員はポケモンセンターの職員から現場保全の任を引き継ぎ、周辺一帯を立入禁止にしました。その間にも「宿り木」は成長し続けていたため、早急に対象を処分する必要がありました。局員は所持していた武器類で対象を攻撃しましたが、通常想定される以上の強い攻撃への耐性を示し、さらに局員に対して器官を向けるなど攻撃的な姿勢を見せたため、処分は一時中断されました。

対象が元々携帯獣であり、また「宿り木」についても携帯獣由来の物質であることから、データ化しての移動が提案されました。局員の一人が対有異常性携帯獣向けのモンスターボールを投擲したところ、目論見通り対象全体をモンスターボールへ格納することに成功しました。しかしながら、モンスターボールのインジケータは対象がデータ化されてなお成長を続けていることを示しており、許容容量を超過した場合は再活性化することが予想されました。局員は直ちにモンスターボールを拠点まで移送、大容量ハードディスクを持つサーバへオブジェクトを移送しました。事案の経過に付いては以上になります。

オブジェクト#102808は、かつてヤドンだった存在に「やどりぎのタネ」が植え付けられた結果生成された、未知の性質を持つ植物性のオブジェクトです。取得された生体サンプルは、対象が植物系の携帯獣に近しい性質を持つことが判明しました。オブジェクト#102808は意識を持っており、非常に攻撃的です。周囲に存在するものは、有機体/無機物を問わず取り込み捕食しようと試みます。この性質のため、活性化した状態のオブジェクト#102808に近付くことは禁止されています。

このオブジェクトの最大の特徴として、データ化された状態であっても成長を続けるというものが挙げられます。成長はデータ量の増大という形で現れ、ほとんど休むこと無く自らの質量を拡大し続けます。オブジェクト#102808が成長する速度は一定でほぼ変化していません。本稿執筆時点におけるオブジェクト#102808の容量はおよそ156GBであり、一ヶ月後には300GBに達するものと推定されています。オブジェクト#102808の質量増大に対応するため、大容量ハードディスクを容易に追加できる専用のサーバ筐体と、すべての領域を管理する機能を備えたLinuxベースのカスタムOSが急遽開発されました。これに加え、オブジェクト#102808を収容するためのデータセンターが建造されました。

ディスク容量の不足は即時の対象の実体化を招くと推定され、当局ではハードディスクを追加することによりオブジェクト#102808の収容状態を保持しています。システムからのデータ削除が幾度となく試みられましたが、これまでのところ不明な原因により常に失敗します。オブジェクト#102808が保管されているディスクの物理破壊試験は、オブジェクト#102808の実体化を誘発する可能性があるために許可されていません。最新の対策として、ハードディスクをローレベルフォーマットすることでオブジェクト#102808を消失させられる可能性について検討が進められています。

オブジェクト#102808の正確な由来は分かっていません。目撃者の証言では、野生のヤドンに対し同じく野生のハネッコが「やどりぎのタネ」を仕掛けたとのことですが、該当するハネッコは未だ特定できずにいます。このためオブジェクト#102808が生成される至った背景として、ヤドンに何らかの異常性があったのか、ハネッコが特異な性質を持つ「やどりぎのタネ」を行使できたのか、それともこれら以外の別の要因によるものなのかは定かではありません。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。