Subject #119474

Basic Informations:

Subject ID:
#119474
Subject Name:
ふうせんの歌声
Registration Date:
2007-11-11
Precaution Level:
Level 5

Handling Instructions:

これまでのところ、事象#119474を止める手段は見つかっていません。事象#119474は事前の観測が困難であり、発生した場合極めて高い確率で大規模な航空機事故を誘発します。事象#119474が観測された場合、対象となった航空機が取ると考えられる進路を可能な限り精緻に予測し、被害の規模を最小のものとするための措置を取らなければなりません。この措置に当たっては、当局の保有するあらゆる人的/物的資材の投入が許可されます。案件担当者は自身の判断により、超法規的措置を取る権限も与えられています。

事象#119474が発生する可能性がある地域(エリア#119474)は、現時点では限定的です。エリア#119474に於けるすべての航空機は当局の監視下に置かれ、事象#119474の発生に際して迅速な対応を取るための態勢が敷かれています。外部からの航空機によるエリア#119474への進入は、いかなる理由があろうとも例外なく禁止されています。

Subject Details:

案件#119474は、大規模な航空機事故を引き起こす未知の事象(事象#119474)と、事象#119474が観測される領域(エリア#119474)、及びそれらに係る一連の案件です。

当局が事象#119474の存在を観測したのは、2007年7月に発生したイッシュ地方北部での航空機事故に於いてです。スカイエア253便墜落事故として知られるこの事故では、事故現場から回収されたボイスレコーダーに何らかの異常性があるとの疑義が調査担当者より掛けられ、事故調査委員会から当局への照会が行われました。当初は異常物品を担当するチームがボイスレコーダーの調査を行っていましたが、調査の過程でボイスレコーダーの機器そのものではなく、記録された音声に異常性があるとの結論がくだされました。

スカイエア253便墜落事故では、パイロットと航空管制官が最後に通信を交わしてから約40分後に機体が墜落しています。その間、航空管制官は複数回に渡ってスカイエア253便のパイロットを呼び出していますが、パイロットからの応答はありませんでした。ブラックボックスから回収されたフライトレコーダーからは、スカイエア253便のすべての機能が墜落の瞬間まで正常に動作し、墜落の直前にはパイロットに繰り返しアラートを発していたことが分かっています。これらの証跡から、スカイエア253便墜落事故は機器トラブルや管制エラーではなく、パイロットに何らかの異常が生じたことが原因であるとの仮説が立てられました。

当局がボイスレコーダーに記録された音声を情報学的に分析した結果、人間の可聴域の範囲外で特異な波長が検出されました。音声の標本パターンとの照合により、波長は携帯獣の「プリン」が発する特殊な鳴き声と一致することが判明しました。この鳴き声は、一般的な人間や携帯獣にはプリンがあたかも歌唱しているかのように聴き取れることから、一般的には鳴き声ではなく「歌声」として認識されています。

プリンの歌声には、人間や携帯獣に対し強い催眠作用をもたらす効果があることが知られています。プリンが持つ技術に依存しますが、能力の高いプリンの歌声が齎す催眠の効果深度は非常に深く、些細なことでは覚醒を促すことはできません。スカイエア253便のボイスレコーダーからプリンの歌声と一致する波長が検出されたことは、スカイエア253便のフライト中に何らかの理由でプリンの歌声が流れたことを意味します。乗員乗客全員が深い睡眠状態に陥り、結果として機体の墜落を招いたと見られています。

スカイエア253便が飛行していた航路は航空機事故が多発していることで知られており、そのほとんどが原因不明のまま、航空機パイロットのヒューマンエラーによる事故として処理されていました。当局は過去に発生した事故記録の提出を各航空会社へ要請し、そのうちの幾つから肯定的な回答及び事故記録の提出がなされました。スカイエア253便の事故と同様の調査を行ったところ、調査を行ったケースではいずれもボイスレコーダーから同様の波長が検出されました。これをもって、当局は波長の発生を事象#119474と定義し、イッシュ地方北部に於ける原因不明の航空機事故の大半が事象#119474によって発生していると結論付けました。案件立ち上げが決定され、担当者が割り当てられました。

当局の調査と並行して進められていた事故調査委員会による現場検証により、スカイエア253便の墜落現場付近から複数のゴム風船の残骸が回収されました。乗客の手荷物にゴム風船は含まれていなかった可能性が高いこと、事故現場から半径200m以内で散発的に発見されたこと、大部分が焼失せず原型を止めていたことから、ゴム風船はスカイエア253便に積載されていたものではないとの判断が示されました。ゴム風船そのものは、異常性のない一般的な製品と同等のものです。

スカイエア253便墜落事故の現場から回収されたゴム風船がいかなる意味を持っているのか、現時点では当局による統一的な見解は出されていません。しかしながら、過去に近隣で発生した航空機事故について、一部の現地住民から「事故が起こる一時間ほど前、人気のない場所から大量の風船が空に向かって飛んでいく光景を見た」との証言を複数得ています。この事象が事象#119474の前兆現象であるとの仮説が立てられています。

Supplementary Items:

本案件に付帯するアイテムはありません。