インターネット上のSNSや掲示板等で事象#119302に関する言及が確認された場合、案件担当者は発信者にコンタクトを取り、事象#119302についてヒアリングを行ってください。ヒアリングの結果は標準書式のレポートへ記録紙、案件別サーバへ保管してください。レポートには個人情報が含まれるため、案件別サーバへのアクセス権は案件担当者及び案件担当者が承認した案件副担当者のみに付与されます。個人情報を削除した版については、当局の定める情報管理手続きに基づく外部出力及び持ち出しが可能です。
事象#119302と携帯獣#119302との関連性について調査してください。携帯獣#119302は超能力を行使することが広く知られていますが、事象#119302のような現象を引き起こすとの研究結果は未だ確認されていません。携帯獣#119302については、最適な環境に整備された保護区のあるキキョウシティ第三支局に12個体が保護されています。これらは当局の定める倫理規定に基づいた上で、研究目的に使役することができます。
案件#119302は、不特定の人間(対象#119302)が睡眠中に見る夢の中に自身を携帯獣の「キリンリキ」であると知覚させる未知の存在(オブジェクト#119302)が現れる事象(事象#119302)と、それに掛かる一連の案件です。 事象#119302の存在が確認されたのは、2007年9月上旬頃のことです。局員が記録した日報を事務担当者が整理していた際に、複数の「キリンリキが出てくる夢を見た」という記録が見つかりました。記録した各担当者を招集してヒアリングを実施したところ、事象としての一貫性が確認されたため、担当者が割り当てられた上で案件立ち上げが決定しました。初期調査の過程で、事象#119302と特徴が一致する夢を見たと証言する市民が複数確認(いずれも対象#119302に指定)され、それぞれからヒアリングを実施しました。 事象#119302の特徴は、対象#119302が睡眠中に見る夢において、自身を携帯獣の「キリンリキ」であると知覚させる未知の存在であるオブジェクト#119302が出現することです。オブジェクト#119302の特筆すべき点として、オブジェクト#119302自体はキリンリキの姿を伴って現れるわけではなく、異なる姿で夢の中に登場するということが挙げられます。 端的に言うと、オブジェクト#119302はキリンリキの姿をしているわけではありませんが、夢を見ている人間に自身を「キリンリキである」と知覚させる性質があるということです。事象#119302の発生以前に対象#119302がキリンリキに関する知識を得ていなかった場合、対象#119302がオブジェクト#119302をどう認識するのかは不明です。 対象#119302へのヒアリングの結果、事象#119302は一般的な夢と比較して覚醒後も記憶を保持しやすいとの傾向が現れています。確認された事象#119302におけるオブジェクト#119302の姿形、及び特徴についての抜粋は以下の通りです。
[事象#119302-1] オブジェクト#119302の容姿: 対象#119302の居住地近隣の公園にある折れ曲がった枝を持つ大樹。 オブジェクト#119302の特徴: 対象#119302はオブジェクト#119302を目にして「言いようのない悲しみに包まれた気がした」と証言しましたが、覚醒後は特に感情の変化はなく、オブジェクト#119302が対象#119302に対してどのような作用をもたらしたのかは分かっていません。 [事象#119302-2] オブジェクト#119302の容姿: 対象#119302の祖母。故人。 オブジェクト#119302の特徴: 対象#119302は、オブジェクト#119302は自分を遠くから見ていて、声を掛けることはできなかったと証言しています。 [事象#119302-6] オブジェクト#119302の容姿: 対象#119302がかつて在籍していた幼稚園を来訪した移動動物園にて交流した、一般的な個体よりやや小柄な♀のコリンク。 オブジェクト#119302の特徴: オブジェクト#119302はこちらをゆっくりと追跡し、壁や段差を「無視するように」して覚醒するまで追跡を続けてきたとのことです。 [事象#119302-11] オブジェクト#119302の容姿: 対戦格闘アクションゲーム「ストリートファイターII」に登場するキャラクターの一人「ザンギエフ」。 オブジェクト#119302の特徴: 対象#119302に対し「ジルベック錠剤」なる未知の医薬品を繰り返し服用するよう薦めた、という証言を得ています。「ジルベック錠剤」がオブジェクト#119302と何らかの関係を持つのかは定かではありません。 [事象#119302-17] オブジェクト#119302の容姿: 数年前まで使用していた折りたたみ式の携帯電話。 オブジェクト#119302の特徴: 対象#119302はオブジェクト#119302を「キリンリキである」と同時に「鏡である」と認識していたとのことです。夢の中で見た自分の顔はまったくの別人でしたが、違和感を抱くことはなかったとも証言しています。
いずれの事象#119302においても、事象#119302を経験した市民はオブジェクト#119302を「キリンリキである」と認識していました。覚醒後はオブジェクト#119302の容姿について述べることができ、それが本来のキリンリキの姿と乖離していることも認識できますが、夢の中ではオブジェクト#119302を明確に「キリンリキである」と認識していた点で一致しています。
事象#119302の発生原因は不明です。事象#119302を経験した市民には共通点が見られず、事象#119302に関連すると推測されるような経験/出来事についても確認されていません。市民の中にはキリンリキとの遭遇経験を持つ者も含まれていましたが、経験のない市民も多数事象#119302を報告しており、本来のキリンリキとの関連性については未だ明確になっていません。
オブジェクト#119302が自身をキリンリキであると他者に知覚させることの原理や、その理由についても分かっていません。オブジェクト#119302が単一の存在なのか、同種であるが個々に異なる存在なのか、或いは相互に何ら関係がないのかも明らかではありません。ただしいくつかの証言は、オブジェクト#119302が一貫した単一の存在である可能性を示唆しています。
スリーパーやムシャーナといった人間の夢に干渉できる能力を持つ携帯獣の局員を案件担当者に割り当て、オブジェクト#119302に対して対話を試みるという計画が提案されています。この計画は現在検証フェーズに入っています。
本案件に付帯するアイテムはありません。