#03 別れと再会のボーダーライン

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「そっかあ、涼ちゃんのママ、転勤になったんだ」

「うん。今まで日和田にいたけど、出向? だったかな、そういうのになって、常磐の支社に来ることになったんだって」

「あたしもそんな感じだったっけ……あれからもう四年も経ったなんて、ちょっと信じられないかも」

首の座りが弱くなってきた扇風機を「中」でぶん回しながら、涼ちゃんと二人で一緒にリビングでくつろぐ。夏至も終わってもう九月に入ったんだから、さすがに暑さも和らぐ――なんて甘い幻想はぶっ飛んで、こうやって暑さ対策しなきゃやってられない状況だ。ママが節電しろってうるさいからエアコン入れられないけど、ホントはガンガンに利かせてやりたいくらい。

暑そうにしてる涼ちゃんにタオルを貸したげる。ありがとう、そう言いながら顔をごしごし。気持ちよさそうな仕草がたまらない。昔っからよく汗かいてたっけ。夏は大変そうだったなぁ。

「京ちゃん常磐に引っ越したから、もしかしたら……って思ったけど、まさか同じクラスになるなんて思ってなかったよ」

「ねー! あたし超びっくりしたー! 転校生が来るって噂はあったけど、それが涼ちゃんだったなんてねー」

「自己紹介のときに京ちゃんと目があって、私も驚いちゃった。京ちゃんだ、京ちゃんがいる! って」

この通り、実はあたしも転校組だったりする。前は涼ちゃんと同じ日和田に住んでて、小三の頃にパパの仕事の都合で常磐に引っ越してきた。この流れは涼ちゃんとほとんど同じだ。だから、涼ちゃんがどうしてここに来たのか。それは自分のことのように理解できた。

日和田にいた頃の一番の親友、それが今目の前にいる涼ちゃん。あたしと涼ちゃんが顔見知りで、こんなに仲良しなのは、元々一緒に遊んでたからに他ならない。四年ぶりに再会できたんだから、喜びもひとしおだ。

「京ちゃん、わたしのこといつも守ってくれたよね。男の子にいたずらされそうになった時も、ポケモンに襲われた時も、わたしの前に立って、こうやって腕を広げて、庇ってくれたっけ」

「そうだったそうだった! 男子が涼ちゃんにちょっかい出そうとした時と、炭職人さんとこのカモネギが脱走して涼ちゃんと鉢合わせした時のことよね。で、男子はコテンパンにやっつけて、カモネギはとっ捕まえて強制送還してやったんだったっけ。ああもう懐かしいっ!」

「どっちも今でもよく覚えてるよ。京ちゃんすごいなあ、勇ましいなあ、かっこいいなあって。わたしも京ちゃんみたいになれたらいいな、そう思いながら見てたんだよ」

一緒にいた頃は、涼ちゃんに何か危険が迫ると、決まってあたしが盾になってあげていた。儚げな表情をした涼ちゃんを見ていると、自然と体が動いて、守ってあげなきゃって思ったものだった。

涼ちゃんはあたしが守る――ガキんちょながらに、そんな風に考えてた。

「引っ越しってさ、大変だよね。仲良かった友達と離れ離れになるし、新しい友達作らなきゃいけないし。常磐に来て一週間くらいは、もう日和田に帰りたくてしょうがなかったっけ。涼ちゃんもさ、やっぱり……辛かったでしょ?」

「うん……わたしも、ちょっと辛かったよ。夏休みだったから、みんなともあまり挨拶できなかったしね。ここからは、しばらく引っ越さなくて済むみたいだけど」

「もう絶対引っ越しはこりごり。ホントにそう思う。だけど涼ちゃん、安心して。あたしが一緒にいるから、何も心配しなくていいわ。手を出すヤツがいたらあたしが蹴っ飛ばしてやるし、できないことがあったら手伝ったげるし、勉強も分かんないところが……って、こっちはあたしが涼ちゃんに教えてもらうことになりそうだけど」

「あははっ。そんな、教えられるほどよくできるわけじゃないよ」

「まーたそんなこと言ってー。テストの点数、毎回あたしのはるか上空をかっ飛んでたの、ちゃんと覚えてるんだからね。今から当てにさせてもらうわ」

引っ越しと転校の辛さは、あたしにもよく分かる。よく分かるからこそ、あたしは涼ちゃんの側にいたい。支えてあげたい、守ってあげたい。心からそう思う。

「でも涼ちゃん、ホントにごめんね。引っ越してから、全然連絡できなくて……」

「ううん、わたしこそ、京ちゃんに電話とかできなくて、ごめんね。連絡しなきゃって思ってたんだけど、やっぱり忙しくて……」

「涼ちゃんもだったんだ……あたしもね、やろうやろうって思ってたんだけど、その内に時間が経っちゃって、どうしよう、何言えばいいのかな、って……そんな風に思ってて」

涼ちゃんとあたしは大親友だったけど、引っ越した後の忙しさにかまけてて、それから連絡が取れなくなってた。電話番号は知ってたから、あたしから連絡すればそれで済んだんだけど、気付いたら引っ越して一月も経ってて、連絡していいのか迷うようになっちゃってた。そうやってずるずるずるずる先延ばしにしてたら、涼ちゃんがここに来た、ってわけだ。

「涼ちゃん、本当にごめんね。許してくれる?」

「そんな、許すなんて……京ちゃんがずっと気にしててくれたってだけで、わたしは嬉しいよ。わたしの方こそ、これからも一緒に遊んだりしてくれる?」

「あったりまえじゃない! ずっと一緒にいるんだもん! 今度こそ、涼ちゃんを守り抜いてやるんだから!」

よかった……! 涼ちゃんはあたしが連絡できなかったこと、許してくれたんだ。これだけずっと引っ掛かってたけど、涼ちゃんはいつもの笑顔で許してくれた。これでもう、気にすることなんて何もない。

「うおっしゃあーっ! テンションアガってきたーっ! このテンションでちょっと飲み物持ってくるっ!」

「わ、ありがとう、京ちゃん」

くっそ暑いし蒸し蒸しするし喉も乾いたし、飲み物の一つでも持ってくるべきね。涼ちゃんは麦茶が好きだったはずだから、あしも麦茶にしようっと。ホントはカルピスウォーターでもあればそれが一番なんだけど、昨日あたしが中途半端にしか残ってないからって一気飲みして切らしちゃってるのよね。あれは失敗、残しとくべきだった。

製氷皿をごりっとやって作った氷を大きめのグラスにがらがらぶち込んで、その上からどぼどぼ麦茶を注ぐと、トレイに載せて涼ちゃんの待つリビングまで持ってくる。再会を祝して軽く乾杯すると、カラン、という氷の涼やかな音が辺りに響いた。

「あっ、そうだったそうだった」

お互い一口ずつ麦茶を飲んでから、小さく息をつく。ほっとしたのもつかの間、涼ちゃんが何かを思い出したような仕草を見せる。カバンのポケットに手を突っ込むと、白い錠剤の入った小袋を取り出した。

「えっ……涼ちゃん、もしかして病気か何かだったりするの!?」

涼ちゃんがいかにも薬にしか見えない錠剤を取り出したのを見て、あたしは俄に不安になる。涼ちゃんが何かの病気じゃないのか、もしかしたら具合が悪いんじゃないか。そう思って、涼ちゃんに訊ねてみる。

「ううん、違う違う。これは薬じゃなくて、サプリメントだよ」

「サプリメント?」

「そう。ちょっと、恥ずかしい話なんだけど……最近ちょっとお腹にお肉がついてきちゃって、なるべく運動もするようにしてるんだ。これもね、飲むと体内の脂肪を燃やしてくれる効果があるの。簡単に言うと、ダイエットの補助食品ってところかな。病気とかじゃないよ」

「そういうことだったのね。納得納得。でも涼ちゃん、太ったようには全然見えないけどね」

「ほら、何事も小さいうちに芽を摘んでおいた方がいいから」

思い出した。そう言えばママも少しの間、ああいう薬飲んでたっけ。結局すぐ止めちゃって、体型も変わらずって感じだったけど。でも良かった、涼ちゃんが病気とかじゃなくて。これで一安心ね。

「ふぅ……こうやってさ、暑い日に家で麦茶とか飲んでると、ホントに昔に戻ったみたいね」

「懐かしいよね。外でキマワリと追いかけっこしたり、夕方はヤンヤンマを探して走り回ったり……」

「そうそう。あんまり暑い日は家にこもって、DSで遊んだりもしたっけ」

「覚えてるよ。それに、京ちゃんはいろんなとこに連れてってくれたよね。姥目の森とか、つながりの洞窟とか。京ちゃんと一緒にいれば、探検するのも怖くなかったよ」

「あったあった! そうだ。この辺りだと、洞窟はないけど、北に常磐の森っていう森があるの。ちょうど姥目の森みたいなところだから、今度一緒に遊びに行こっか」

「うん。また、昔みたいに連れてってよ!」

とまあ、こんな具合に止むこと無く延々と話してたわけだけど。

「あ……京ちゃん、ちょっとごめん」

「ん? どったの涼ちゃん」

「ええっと……お手洗い、貸してほしいな、って思って……いいかな?」

麦茶を飲んだからかも、涼ちゃんがトイレを借りたいと言ってきた。もちろん止める理由なんてどこにもない。場所を教えてあげなきゃ。

「もちろんおっけーよ。えっと、こっからリビングを出て、廊下の右にあるドアを開ける。そこよ」

「ありがとう、京ちゃん。助かったよ」

涼ちゃんは静かに立ち上がると、そそくさとトイレへ向かう。んー、どっちもコップ空だし、今の間に片付けとこうかしら。出しっぱにしてたら、またママのお小言タイムが始まりそうだし。

コップをシンクで軽く洗って、食器置きにコトンと置く。これでよし、とかやってる内に、涼ちゃんがリビングに戻ってくるのが見えた。これぞグッドタイミング。さ、続き続き。

「お帰り涼ちゃん。トイレの場所分かった?」

「うん。ありがとう、京ちゃん。助かったよ。いつも優しくしてくれて、本当にうれしいよ」

「いいのいいの。気にしなーい気にしなーいっ」

当然のことをしたまでじゃない。お礼なんて言わなくていいのに。でも、こういう律儀なところが、涼ちゃんらしいのよね。

「そうだ、あたしばっかり話してもあれだから、涼ちゃんもあたしが引っ越してからのこと、何か聞かせてよ」

「いいよ。えっと……そうだ。小学校の四年生の時の夏に、水泳のクラス対抗リレーがあってね、わたし、そこでアンカーに選ばれたんだ」

「えぇっ!? それすごいじゃん! 責任重大だし。結果はどうだった?」

「えっへん。 四番手でバトンを渡されたけど、そこから三人追い抜いて、わたしが一番にゴールしちゃったんだ」

「うわっ、すっごぉい! 泳ぐの得意だったのは知ってるけど、そんなに速かったんだ。やるじゃない!」

「わたしもゴールしたときすっごく嬉しかったよ。クラスのみんなも喜んでくれたし、いい思い出だよ」

あたしの見たことのない涼ちゃんの話を聞いてると、それだけでもうドキドキが止まらない。

こうして話をしているだけで、時間はどんどん過ぎて行った。

 

何気なく壁に掛かった時計に目をやると、針はもうすぐ六時を指そうとしていた。あたしと同じように、涼ちゃんもまた時計に視線を投げ掛けている。もうこんな時間になってたなんて、涼ちゃんの顔はそう言っているみたいだった。たぶん、あたしも同じ顔をしてるに違いない。

「もうこんな時間……京ちゃん、わたし、そろそろ帰るね」

「ん、分かった。まだまだ話し足りないし、ちょっと寂しいけど……これ以上遅くなったら、涼ちゃんのママやパパも心配するしね。夏休み明け初日だし」

涼ちゃんがソファからぴょんと降りて立ち上がる。ついでにあたしも起立。涼ちゃんはもう家へ帰らなきゃいけないけど、でも、せっかく会えたんだから、もう少し話をしていきたい。だから、あたしはこんな提案をしてみることにした。

「涼ちゃん。途中まで送って行こっか?」

「えっ? いいの?」

「もちろん! まだ常磐に来てそんなに日も経ってないでしょうし、涼ちゃんの知ってるところまで案内したげるわ」

「助かるよ、京ちゃん。どうもありがとう」

「いいのいいの。あたしもやりたくてやってんだから」

というわけで、涼ちゃんに付き添って一緒に外へ出ることに。

まだ青みの残る空に、夕焼けの赤が被さっていく。まだ夕方になりきれない、けれどもう日が高いとも言えない。曖昧模糊な空模様は、夏から秋へ移りゆく今の季節を体現しているかのよう――なんて、ちょっと前に一緒に買い物に出掛けたときに、あっきーが言ってたっけ。あっきーは風流で、そこは素敵だと思う。とか言ってると、ママがまた「あんたも秋穂ちゃんを見習いなさいよ」なんて零しそうだ。いいじゃん、あたしはあたしで、あっきーはあっきーなんだから。

「京ちゃんにまた会えて、本当に嬉しいよ。引っ越してきたばかりでいろいろ不安だったけど、そんな気持ち、全部吹き飛んじゃった」

「安心してよ、涼ちゃん。何かあったらあたしが守ったげるからね」

「ふふふっ。男の子顔負けの強さは、相変わらずみたいだね、京ちゃん」

「まあね。どっちかって言うと男子と遊んでる方が楽しかったし、今も変わんないわ」

放課後になると教室からボール持ってって、運動場の取り合いをしながら、ドッジしたりサッカーしたりしてたっけ。終わる頃には埃まみれ、はっちゃけた時は泥まみれになってから家へ帰って、帰ってきたお母さんに「洗濯機が大忙しよ」とチクリと言われる。そんな感じだったっけ。

四年生くらいまではなおちゃんとかも一緒だったけど、途中から来なくなったのよね。六年になる頃には、女子で遊びに混ざってたのはあたしだけ。遊ぶ度に「おらー!」とか叫びながら大暴れしてたから、風太も智也もあたしのことほとんど男子扱いしてたけど。

「今日からまた、昔みたいに楽しい日が始まるのよね」

「そうだね。京ちゃんと会えたんだから、楽しくないわけがないよ」

そう――また、昔と同じ毎日が始まる。

あたしの隣に涼ちゃんがいて、涼ちゃんの隣にあたしがいる。やっと取り戻せた、懐かしい光景。今度こそ、しっかり守り抜かなきゃ。

「うっしゃあ! 張り切ってくわよー! 明日はあたしの友達紹介したげるから、顔合わせと行きましょ!」

「京ちゃんの友達かぁ……仲良くなれるように、頑張らなきゃ」

あっきーやかっちゃんなら、きっと涼ちゃんとも仲良くしてくれるに違いない。早くクラスに溶け込ませてあげなきゃ涼ちゃんだって息が詰まるだろうし、ここはあたしの腕の見せどころってやつね。

いつの間にか住宅街を抜けていて、車の往来が激しい大通りまで差し掛かると、涼ちゃんがその場に立ち止まった。

「あっ、ここからは分かるよ。京ちゃん、付いてきてくれてありがとう」

「どういたしまして。じゃ、明日また、学校でね!」

「うん。またね、京ちゃん!」

横断歩道を渡って、涼ちゃんが一人、別の住宅街へ向けて歩いていく。えーっとあっちだと……確か、ゆめみ台方面、かぁ。この辺「○○台」って地名? が多いから、紛らわしいのよね。あたしが住んでるのは「あかね台」ってところ。由来はよく分かんない。たぶんノリとかそんなん。

豆粒みたいに小さくなった涼ちゃんを、両方視力一.〇の目(密かに自慢だ)で見続けていたあたしだったけど――。

「うぐっ……やば……」

身体がぶるっと震える。ええっと、あれだ。ぶっちゃけると、

(おしっこ、行きたくなってきちゃった……)

とまあ、そういうことだ。しかも気を抜いたら漏れちゃいそうなレベルで。家に帰って来てから何気に一度もトイレ行ってないし、涼ちゃんといる時に麦茶がぶがぶ飲んだから、結構やばい感じ。今なら間に合う、さっさと家へ戻らなきゃ。

なんかどっかで聞いたけど、女子って男子に比べておしっこを我慢しづらいらしい。こんなこと普段は気にも留めないけど、今この瞬間だけはちょっと別だ、男子が羨ましい。って、つまんないこと考えてる場合じゃなかった、急げ急げっ。

(そう言えば、あれ小三ん時だっけ……)

小走りしながらふと脳裏を過るのは、ここに越してきてすぐぐらいの記憶。何の前触れもなく、突然昔の光景がぼうっと蘇ってきた。

確か秋口の頃、場所はあかね台にある公園だったはず。あたしと智也と風太の三人で遊んでるときに、ちょうど今みたいな感じでもトイレに行きたくなってきたことがあった。智也も同じタイミングでもよおしてきたみたいで、やべえやべえって言ってたのを覚えてる。でもその公園にはトイレがなくて、三人とも家からはだいぶ離れてる。近くにトイレを借りられそうな場所も見当たらない。

さあまずいぞ、どうしよう、ってなった時に、あたしと智也が取った行動は――と言うと。

(さすがに、あれは今思うと恥ずいかも……一応、茂みに隠れてたつもりだけど)

いちいち細かくは言わない。ただ、まぁ、そういうこと。そういうことなのよ。

あの時は別にどうってことなくて、はーやれやれすっきりした、って感じだったけど、今思うとめっちゃくちゃ恥ずかしいことしてたわけじゃん、あたし。隣に智也もいたわけだし、近くで風太も見てたわけだし……あ、やばい、やばいぞこれは。考えれば考えるほどカーッとしてきちゃう。ちょっと思考をストップして、家に帰ることだけ考えなきゃ。

「うぐぐ……今日ばかりはこの坂のきつさが恨めしいわ……っ」

普段歩き慣れてる坂が何気に急勾配になっていることを恨みつつ、あたしはどうにか家まで辿り着いた。

玄関で靴をばたばた脱ぎ捨てて、靴下の滑りも活かしてフローリングの床をダッシュ、勢いを殺さずそのままトイレのドアを開けて飛び込む。いやー、一時はどうなることかと思ったけど、間に合ってよかったよかった……。

「……?」

と、一安心したのも束の間。トイレに入った瞬間、あたしは言いようの無い違和感に襲われた。

よく分かんないんだけど、なーんかおかしい気がする。具体的に何がおかしいかって言われると答えられないけど、中に入った瞬間から、明らかに何かが「ズレてる」気がして仕方ない。でも、何がどうズレてるのかはさっぱり。なんだっけ、何か忘れてるような気がする。今の状態がどこかおかしい気がする。何かを忘れてて、もやもやしたものが胸の中に残ってる。

なんだろうなあ、この感覚。すっきりしない。

「ま、気にしてもしょうがないか」

考えても分からんものは分からん、ってなことで、さっさとやること済ませちゃおう。こっちの方は出せばすっきりするわけだし。

……ちょっとあんた、いつまで見てるのよ。外出なさい外。あたしにだって一応恥じらいってもんがあるんだからっ。

 

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。

Thanks for reading.

Written by 586