開設している医療機関及び行政機関の窓口に「スリーパーに襲われる夢を見た」という直接の申し出があった場合は、直ちに捕獲のための特別チームを出動させてください。対象は一時的に保護入院の措置を執り、捕獲が完了した段階で退院してください。夢を見た際に強い心的外傷を負っている虞があるため、解放の際は併せて専用に調整した精神安定剤を処方してください。
パソコン通信の各ホストで開かれているフォーラム、特に医療に関するフォーラムを継続的に監視し、スリーパーに関する悪夢を訴える利用者がいないかを確認してください。該当する利用者が見つかった場合、ホストに問い合わせを行い利用者へコンタクトを取ってください。コンタクトの際は身分を明かし、見た夢の内容は危険であること、身の安全を保証するために数日間指定の病院へ入院して欲しい旨を丁寧に伝えてください。
野生のスリーパーを捕獲するための試みが続けられています。スリーパーを目撃した局員は決して直接アクションを起こさず、案件#62403の担当者に電話または社内メールで連絡を取ってください。スリーパーの持つ能力の性質上、捕獲に際しては特別な技術を持つ専用チームが出動する必要があります。スリーパーの捕獲後は、手順M-62403に沿って適切な処置が施されます。
案件#62403は、携帯獣の「スリーパー」に襲撃される夢を見るという事象と、それに伴って現実でスリーパーと出会うという事案の2件からなる案件です。
少なくとも1970年代後半頃から、夢の中に明瞭な形でスリーパーが現れ、夢を見た数日以内に実際に野生のスリーパーと接触するという事象が各地で報告されていました。案件管理局が把握している最古の例は、1969年にカントー地方クチバシティ在住の十四歳の少女が同様の夢を見た翌日にスリーパーと出会い、危うく誘拐されかけたところを別のポケモントレーナーによって救出されたというものです。以来地域を問わず、スリーパーが棲息しているすべての地域で同様の事象が発生しています。
この事象の特徴的な点は、現実にスリーパーと接触する前に必ず夢を見るというものです。夢の内容は大まかな部分で一致しており、スリーパーが被害者の夢の中に突然現れ、被害者の夢を「食べて」しまうというものです。夢を食べられた被験者は強い恐怖心に襲われ、その後実際にスリーパーと接触するとほとんどの場合パニックに陥ります。現在のところ管理局が把握しているケースで実際に野生のスリーパーに襲われた事例は無く、いずれも何らかの形で救助が行われていますが、被害者は往々にして強い心的外傷を負います。
昨今のパソコン通信の発達により、この事象が国内各地で発生していることが明らかになりました。医療機関への相談件数も増加の一途を辿っています。案件管理局では本件を重大案件として採り上げ、専門チームを組織して対策に乗り出しています。主な対策は夢を見た対象を保護することによる防御的措置、及び野生のスリーパーを捕獲することで本件の事象が起きることを防ぐ積極的措置の二つから成ります。
取扱資料にもある通り、決してスリーパーに直接アクションを起こしてはなりません。野生のスリーパーを見つけた場合、速やかに援護要請を行ってください。最寄りの拠点から専門チームを派遣します。これは事前に夢を見た場合も同様です。繰り返しになりますが、何があろうと個人でアクションを起こさないでください。
本案件に付帯するアイテムは公開されていません。管理局の判断により、付帯資料に付いては秘匿する方針が定められています。本件に携わるレベル1以上のセキュリティクリアランスを持つ職員にのみ、限定的にアクセスが許可されます。