はじめに。このプリントは家でたいせつに保管して、いつでも見られる場所に置いておきましょう。
保護者の方にわたして、必ず中を読んでもらってください。一日一回、宿題がおわった後や夜寝る前に声に出していっしょに読むようにしましょう。
このプリントに書かれていることをすべて守って、安全にすごすようにしてください。
朝起きたとき、外に出る前に窓から外のようすを確かめてください。特に雨がふっているときは、よく音を聞くようにしましょう。
誰もいなければ、学校へ行く準備をして登校しましょう。その時、近くに住んでいるお友だちといっしょに行くようにしてください。
誰かがいるようなら、保護者の方に伝えてください。保護者の方は、別でお配りしているプリントへ記載された番号へ電話をかけ「96番です」とお伝えください。
学校では週に一度、金曜日の朝の会の時間に、このプリントに書かれていることの復習をします。
皆さんは先生の指示にしたがって、ビデオの鑑賞とプリントの音読をしてください。途中で気分の悪くなった生徒は、先生へ手を挙げて教えましょう。
先生が朝の会をしなかった、もしくはプリントが配られなかったりした場合、すぐに職員室まで来て連絡してください。
休み時間、特にお昼休みの間に、校庭の門が開いていることがありますが、皆さんは決して外に出てはいけません。
門が開いているのを見た生徒は、近くにいる先生に連絡してください。連絡したあとは、すぐに教室へ戻って自分の席に着いてください。
次の授業が始まる前に担任の先生から点呼がありますので、皆さんは名前を呼ばれたら、始業式の時に個別に配られたプリントに書かれた番号を答えてください。
授業が終わって家に帰るときは、できるだけ近くに住んでいるお友だちといっしょに、なるべく早く帰るようにしてください。
どうしても一人で帰らなければいけない場合、職員室に残っている先生と相談してつきそってもらうか、倉庫で備蓄している干し肉をもらってください。
帰る時には家に入るまでずっと干し肉を手に持ち、もしもの時は四月に配られたプリントに沿って使ってください。
日が落ちた後は、決してひとりで外を出歩いてはいけません。保護者の方がいるときも、できるだけ家の中ですごすようにしてください。
もし、やむをえず外へ出るときは、街灯の設置された道を選んで歩きましょう。街灯から街灯まで、できるだけ目をそらさずに進んでください。
必ず決められた大きさの干し肉をもって、家に帰ったら保護者の方に渡して処分してもらってください。同じ干し肉を二回以上使ってはいけません。
しばらく会っていなかった人が家を訪れたら、すぐにドアを開けずに、必ず識別番号をたずねて確かめるようにしましょう。
訪れた人が識別番号を答えられない、あるいは間違った番号を伝えた場合、保護者の方に連絡して、プリントに記載された番号に名前と住所を連絡してもらいましょう。
この時、何があっても家のドアを開けてはいけません。家のドアを開けなければ、皆さんは安全だということがわかっています。
月に一回、学校で身体測定を実施します。身体測定の日に学校へ来られないときは、事前に先生へ相談して、個別に身体測定を受けてください。
身体測定で「B」の判定が出た場合、学校から保護者の方へ個別に連絡をします。その際、保護者の方にも検査を受診いただくことがあります。
連絡を受けた保護者の方は、必ず学校まで来ていただきますようお願いいたします。
これらのことを守って、楽しく元気に学校生活を送りましょう。そして、私たちの生活と安全をしっかりと守りましょう。
けっして怖がる必要はありません。怖がっていることが、何よりも危険なことです。常に気を付けて、注意をして、けれど堂々と暮らしていきましょう。
皆さんが全員でいっしょに、無事に次の学年へ進級できることを心から願っています。
――以上の文章が書かれた色褪せたわら半紙のプリントが、実家に置いてあった学習机の奥から折りたたまれた状態で出てきました。
プリントに記されているようなこと、例えば干し肉を持って外に出るようなことをしていた記憶はまったくなく、なぜこんなものが出てきたのか困惑しています。
日付からして私が小学三年生だった頃のもののようですが、覚えがありません。同じようなプリントを見た、または書かれていたことをしていた人はいますでしょうか?
書かれていることをそのまま読む限り、何か得体の知れない超常的な存在が、学校の近隣をうろついていたとしか思えないのですが……。