友人のAにまつわる話です。かなり長い付き合いがあり、今でも変わらず交流が続いています。そんな彼に最近、なんとも奇妙な特性があることに気付きました。
正直なところ何の害もなく、半分くらいはただの笑い話のようなものなのですが、私では原理がまったく説明できないので若干の怖さを覚えているのも事実です。
ひとまず何が起きているのかを聞いていただき、これが普通にあり得ることなのかを判断いただければと思います。
皆さんは「8番出口」というゲームを知っていますでしょうか。2023年にSteamで配信された短編のホラーゲームです。
日本の地下鉄駅らしき場所が舞台となっていますが、ゲームのルールに大きな特徴があります。
「異変を見つけたら引き返す、見つからなければ先に進む」。単なるウォーキングシミュレーターではなく、間違い探しの要素を取り入れた点が画期的でした。
ゲーム内で発生する異変は多岐にわたり、貼られているポスターが変化するもの、案内板の表記が変わるといったある意味正統派なもの。
ループ中に必ず前方から歩いてくるおじさんの姿をしたNPCがいるのですが、彼に何らかの異変が生じるもの。
もっと大規模かつ直接的な怖さをあおるものとして、停電が起きたり怪物のような存在が立っているといったパターンも存在しています。
ルールが分かりやすく、かつ様々に応用を利かせられることから、発売されてから間もなくこれとよく似たゲームが多数発売されています。
ショッピングモールが舞台のもの、新幹線が舞台のもの、商店街が舞台のもの、市街地が舞台のものなど、枚挙に暇がありません。
ちなみに8番出口自体にも続編として「8番のりば」というほぼ同じルールに基づくゲームが発売されています。
長くなりましたが、とりあえず8番出口という間違い探しの要素を含むホラーゲームと、それに似たゲームがたくさんあることが伝われば十分です。
Aはゲームが好きで、こうしたホラーゲームもよく遊んでいました。カプコンのバイオハザードシリーズをずっと遊んでいるくらいなので結構な筋金入りです。
この8番出口も発表された時から注目していたらしく、配信と同時に買ってさっそく遊んでいたと記憶しています。
私とAは「Discord」というソフトを使って連絡を取り合っています。いろいろな機能がありますが、通話アプリのようなものだと考えてもらえればいいです。
その中にパソコンの画面を相手と共有するという機能があり、ゲームを起動しているとプレイ中の画面を見せることができます。
誰かに画面を見せたいけど不特定多数にはちょっと……という時にとても便利で、私とAのいるサーバーではしばしば誰かがゲームを配信しています。
Aが初めて8番出口を遊んだときも「一緒に異変探ししようぜ」と言われて、画面共有してもらって通話しながら遊んでいました。
ゲームをインストールするところから見せてもらって普通に起動し、他の人の動画やゲーム系ニュースサイトで見た地下鉄駅らしい風景が見えました。
そこから進んでいくと様々な異変が……起こるはずでした。
何も起こりませんでした。1番、2番、3番……と一切異変が起こらないままゲームが進んでいき、そのまま8番出口に到達してしまいました。
Aは「なんだこれ」と大笑いしていましたが、私は目の前で起きたことが信じられず何度も目をこすっていたように思います。
仕組み上、一切異変が起こらないままクリアできてしまうことはあり得るのかも知れませんが、初回プレイでそれを引くことはまず考えられません。
どこかで必ず数回は異変が発生する、という話を聞いたような記憶もありますが、目の前の光景はそれを全面否定するものでした。
その後Aは二回通して8番出口をプレイしたのですが、どういうわけかその二回も一切の異変が発生しないままクリアしてしまいました。
Aは「これ何かバグってるのか?」と言ってゲームを再インストールしてもう一度挑戦しましたが、やはり何の異変も発生しませんでした。
四回も異変なしが続くと、なんだかもうそれ自体が異変なんじゃないかと思うほどですが、結局そのままエンディングが流れ始めました。
Aは「簡単にクリアできちゃったな」と言ってそれ以降遊んでおらず、類似のゲームも遊んでいないとのことでした。
なんとなくですが、他のゲームもAが遊ぶと「異変なし」という異変が起きてしまうのではないか、と感じずにはいられません。
異変が起きる前提で作られたゲームなのに、プレイ中一切の異変が起こらないということが、果たしてそう何度もあり得るものなのでしょうか?
それ自体が、ゲームの枠を超えた異変なのではないでしょうか?