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#04 あやしいひかり

※これ以後作中に登場する「案件管理局」は、拙著の別作品にて登場する架空の組織ですが、本作をお読みいただく分には「超常現象を調査している、警察・消防とは別の公的組織」と認識していただければ差し支えございません。

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梅雨明け間際は、雨の降らない曇りが多い。今日もまた、そんな空模様を見せている。

雲が多い割には温度が高くて、そして言うまでもなく湿度も高い。むわっとしたやな感じの空気が、肌とか髪の毛にまとわり付いてくるみたいだった。

「もうすぐ夏休みなんだけどなあ、テストが無きゃいいんだけどなあ」

あとちょっとで夏だから、夏休みが控えている。それ自体はいいことだけど、その前にテストがあるのがつらい。テストそのものもつらいし、結果を見せつけられるテスト返しはもっともっとつらい。こういうときの気持ちを、きっと「憂鬱」って言うんだろう。テストなんか無くてそのまま夏休みに入ってくれたらどんだけありがたかっただろうって、つくづく思う。

期末テストのことで頭がいっぱいなあたしの隣には、見た感じあまり深く物事を考えてなさそうな、ネネの姿があった。

「ネネってテスト勉強してる?」

「してる。算数にがてだから、凛さんといっしょに勉強してる」

「数学だってば。あー、ネネも一応やってるんだ」

あたしの家とネネの家はかなり離れていて、朝待ち合わせて登校……というのはちょっと難しい。けど、普通に登校してるとだいたい途中で鉢合わせするから、そこから一緒に学校まで行く、って流れになることが多い。もちろん毎日ってわけじゃなくて、出会えないことも時々あるけど。ネネの方が学校から遠かったから、あたしよりも早めに家を出てるはずだ。この学校は、いわゆる校区が結構広い。端から端まで入れると、一駅分くらいはあったはずだ。

ネネは川沿いにある、かなり古い団地で暮らしている。確か「リバーサイドかすがや」とかいう名前が付いていたはずだ。紫苑市の町の一つ「春日野町」にあって、大きな川の側にあるからリバーサイド、てな具合らしい。ずっと前、まだネネのお母さんがいた頃ぐらいに家へ遊びに行ったことがあるけど、エレベータが全部の階に止まらないのだ。止まるのは1階・4階・7階・10階とか飛び石で、途中までエレベーターで行って後は階段を使う。ネネは5階に住んでたから、4階まで行って階段を一つ登らなきゃいけなかった。あれはとんでもなく面倒くさかったと思う。今も変わってないんだろうか。

「そう言やネネ、今日は制服なんだ」

「うん。時間あったから。朝ごはんも食べてきた」

「んー……あたしは朝食べてないなー、面倒くさいし、食欲出ないし」

あたしは朝ごはんをあまり食べない。食べるのは休みの日くらいだ。普段はちょっとでも長く寝てたいから、ご飯を食べずに家を出ることがほとんどだ。前の日の夜からお昼まで何も食べないわけだから、二時間目くらいからだんだん授業に身が入らなくなってくる。だからホントは食べた方がいいんだろうなって思ってるけど、なかなかそういうわけにもいかない。

なんか話が続かなかったから、また別の話を切り出してみる。

「なんかテレビ観た? 昨日とか」

「ううん、あんまり。エヌエッチケーのニュースだけ見て、それから消した」

「ふーん。じゃ、何してたの?」

「ネネはねー、凛さんといっしょに本読んでた」

「えっ、本?」

「絵本じゃなくて、ふつうの、文字の多い本」

「そりゃいくらネネだからって、絵本は読まないでしょうよ。もう中学生なんだし」

「けど、ネネ絵本も好き。『となりのせきのますだくん』とか」

「あー、あの怪獣みたいな子が表紙になってるやつ」

だいたい想像が付くと思うけど、ネネはあんまり本とかは読まない。もちろん勉強のために教科書を読むのはあるけど、自分から進んで小説とかラノベとかを読むタイプじゃない。こないだあたしが図書室で借りて読んでた「イリヤの空、UFOの夏」を読ませてみたら、数ページで「もういい」って返してきたくらいだ。だから、ネネが「本を読んでた」ってのが、あたしにとっては結構意外だった。

「ネネが本読むなんて、珍しいじゃん」

「凛さんがね、ネネも本読んだ方がいいって言ってた」

「そりゃま、読まないより読んだ方がいいけど。何読んでるの?」

「うーん。えーっと、『霧のむこうのふしぎな町』って本」

「あー、なんかそれあたしも聞いたことある。小四の時に読まされた、課題図書で」

「おもしろいから、うちに帰ってからつづき読む」

なんかこう、女の子が夏休みに旅行するんだけど、「不思議の国のアリス」かよってくらい変な人ばっか出てきて、読みながら「こんな変な人いないよ」って突っ込んでばっかだった。他の内容はほっとんど覚えてない。最後どんな結末だったかも忘れた。けど、ネネは面白いらしい。ネネの好みはよく分かんない。

とかなんとかやってたら、横から人影が。

「おーっす、サチコにねね子」

「おー。おはよ、ケイ」

「おはよー、ケイちゃん」

やってきたのは、クラスメートのケイだった。

ネネ以外でこの時間に出くわすのは、だいたいケイくらいだ。くたびれたカバンを揺らしながら、ネネの左隣についた。あたしはネネの右だから、ネネが真ん中に来ることになる。三人の中で一番背が低いから、イメージとしては「凹」の形に近い。ちなみに、ケイはあたしよりもちょっとだけ背が低い。そういうあたしも、クラス全体で見たらそんなに高いわけじゃないけど。

「元気かねね子。今日も相変わらずちび助だな」

「ネネも毎日モーモーミルクのんでるけど、全然のびない」

「牛乳飲んだって、そんなすぐには伸びねーって。それに、ねね子が大きくなるなんて想像も付かねーな」

「うーん。ネネ、もっともっとおっきくなりたい。ケイちゃんよりおっきくなりたい」

「背ばっか伸びたっていいことねーよ。ま、のっぽでもちび助でも、ねね子はねね子だけどな」

「じゃあ、ケイちゃんもケイちゃん」

「こいつ、よく言うぜ」

ネネの髪をぐじぐじやりながら、ケイが笑って言った。

ケイは、見た目は髪をばっさりショートカットにしてて男子っぽいし、口調とか仕草がそれ以上に男子っぽい。よく日に焼けてて真っ黒なのも、輪をかけてケイを男子っぽく見せている。ともすると「遊んでそう」なタイプにも見えそうだけど、実際はどうかって言うと。

「ケイ、朝練無かったの?」

「今日は中止になったんだよなー。顧問が来れねーとかでさ」

遊んでるよりも走ってる方が好きな、まあなんて言うか、根っからの体育会系だった。日に焼けてるのもそういう理由で、焼こうと思って焼いてるわけじゃない。外でひたすら走り回った結果、ってことだ。

あたしがケイと仲良くなったのは、小学四年生の頃くらいに同じクラスになって、たまたま班が一緒になってからだ。その時も、騒がしい系の男子に混じって外で走り回って遊んでた記憶がある。それに限らず運動全般が好きで、体育の時間はいつも楽しそうにしてたし、小学生の間は地元のキックベースクラブで活躍してたって聞いた。そういうところは今もちっとも変わってなくて、ケイをケイらしいと思うところだ。

運動なんて面倒くさい、スポーツなんて楽しくない。そう思う半面、活発なケイを傍で見ていると、時々ケイのことを羨ましく思うこともある。そういうときはつくづく思う。あたしにも運動神経があればよかった、今からでも運動神経が欲しい、って。願っても手に入るもんじゃないから、諦めてケイの姿を見ているだけなんだけど。

「あー。顧問の先生いなきゃ、できないって決まりだしね。面倒くさいけど」

「そうそう。放課後はまた走り込みとかするんだろうけどよ。けど、朝から走れないと調子狂うって、マジで」

「朝から何キロも走るとか、あたし考えただけで無理。貧血になる」

「そうか? ウチは朝運動した方がよく目が冴えるんだけどな。ねね子もそうだろ?」

「うーん。ネネ、朝はいつもねむいから、よく分かんない」

「はあ? ウチより早起きだってのに。ま、朝はいつも眠そうにしてるしな、ねね子は」

眠そうに目を擦るネネの肩をポンポン叩いて、ケイがまた笑うのだった。

それからちょっと歩いて、もう後五分くらいで学校に到着するってところで。

「あ。管理局の人だ」

「おー、マジだ。パトロールか何かか?」

緑色の作業服を着た、局の……あれだ、そう、案件管理局の人が、近くを歩いているのが見えた。

案件管理局っていうのは、いわゆる警察とか消防とかと同じようなものだけど、そういうとこじゃ扱えないもの全般を取り扱ってるところだ。具体的にどういうことをしてるのか詳しく知ってるわけじゃないけど、とりあえず何かわけの分からないことがあったらここへ通報しろっていう風に、学校の先生から教えられた。職員らしい人が辺りを巡回してるのをしょっちゅう見てて、なんていうか、日常風景の一部になってる。

「ねーねー。ネネ、きのうラジオ塔の近くでパトロールしてるの見たよ」

「なんかウチも聞いたぞそれ。また変なもんが上から落っこちてきたって。やたらでかいピカチュウの死体だとか」

「ピカチュウの死体が空から降ってくるとか、それ普通にきしょいし。局の人も大変じゃん、そういう意味不明なものがあったら呼ばれるんでしょ。絶対面倒くさいって」

「ウチも一回通報したことあるな。青いコラッタみたいな、けどどう見てもおかしいヤツがいてさ」

「コラッタって普通紫でしょ? なんか、青いってだけでヤバそう」

「だろ? おまけにさ、錆びた自転車のブレーキみたいな鳴き声上げてたんだよ。ギギギーっていうあの音。で、そいつが普通のコラッタと交尾しようとしてたわけ」

「何それきしょい。普通にきしょいし」

「これヤバいだろって思って通報したら、ホントにヤバかったらしくてさ、結構いろいろ話聞かれたっけか。あん時もラジオ塔のすぐ近くだった気がするな」

「あれだよ。ラジオ塔ってさ、あれでしょ。ポケモンのお墓あったの壊して建てたんでしょ。何か呪われてんじゃないの」

今ラジオ塔がある場所には、かつてポケモンの集合墓地があった。あたしがまだ幼稚園とかの時だったからよく覚えてないけど、死んだポケモンのお墓がずらーっと並んだ、七階だか八階だかの、今のラジオ塔よりちょっと低いくらいの別の塔が立ってたらしい。その名も「ポケモンタワー」。いや、もうちょっと名前ひねれよ、って突っ込みたくなる。

ポケモンタワーは、あたしやネネやケイの住んでいる紫苑市でもっとも名の知れていた場所で、そして唯一の、他の街に住んでる人でも知っている場所でもあった。なんかこう、ポケモンの霊を慰霊するとか、そういう目的で作られたらしいけど、まあ辛気臭いし不気味だしってことで、そんなのじゃなくてもっとマトモなものを建てろって人がたくさん集まって、それでラジオ塔に建て直されたって寸法だ。

なんとなく想像付くと思うけど、ポケモンタワーを取り壊してラジオ塔を建てるっていう案は、やっぱり結構揉めたらしかった。さっきとは逆に、ポケモンが安らかに眠ってる神聖な塔を壊してラジオ塔を建てるなんてけしからん、って言う人も大勢いたそうだ。揉めに揉めて、市が三つか四つに割れて――ラジオ塔建設に賛成・反対・どっちでもいい・どっちもいらない――、最後の最後で賛成派が勝ったらしい。そういうわけで今紫苑市には、関東地方全域をカバーする立派なラジオ塔が完成したってわけだ。

もちろん、反対してた人にとっては不満でしかない。中にはまだ、ラジオ塔を壊してポケモンタワーに戻せって言ってる人もいるって聞く。仲の良かった人が、この件をきっかけに険悪になったっていう話もあったっけ。いろいろと、面倒くさい話だって思う。

「ポケモンタワーだったっけ? そんなもん無い方がいいに決まってんじゃん」

そんなあたしの思考に待ったを掛けたのは、ケイの言葉だった。

「ラジオ塔の方がさっぱりしてるし役に立つし、ぜってーいいって」

「死んだポケモンなんか埋めたってしょうがねーだろ。だってもう死んじまってんだから」

あたしもその気持ちは分からないわけじゃない。昔死んだ人のことより、今生きてる人のことの方が大事だっていうのは、なんか、うん、そうだねってそのまま言いそうになる。

ただ、なんか、こう。

「ポケモンの霊なんか慰めてるより、音楽の一つでも流してた方がぜってーいいって。ただでさえ葬式ん時みたいに静かなトコなんだから、ココは」

ずばずばと迷わず自分の意見を言うケイに、ちょっとだけ気が引けてしまって。

ケイの言う通り、紫苑市は住んでいる人の間でよく「静かな街」だと言われる。それは一面では正しいことで、騒がしいと感じることは少ないから、過ごしやすい街と言えるのかも知れない。けれどあたしはそういう風には思わない。どちらかと言うと、活気が無くて沈んだ雰囲気のする街だと思う。静かなのは単にみんな元気が無いからで、明るくする気が起きないからじゃないか。

玉虫市にも山吹市にも道路がつながってるし、トンネルを一つ越えれば縹市にも行ける。桟橋を渡っていけば、結構遠いけど石竹市にも辿り着く。玉虫市も山吹市も縹市も石竹市も、紫苑市よりもずっと大きな都市で、建物だってたくさん建ってる、電車が留まる駅だってある。そんな大都市に簡単に行けるから、紫苑市は住宅地として人気だ。しょっちゅう引越し業者のトラックを見るし、よそからやってくる人はとても多い。

けどそれは、紫苑市が人気だって言っていいのか、時々分からなくなる。

もし紫苑市が中身は今のままで、玉虫市とかにつながってなかったとしたら、人気なんかちっとも出なかったんじゃないか。今よりもっと淀んだ空気に包まれて、今よりずっと静かだったんじゃないか。もちろん、悪い意味で。

今こうしてたくさん人がいて、外からわざわざ引っ越してくるような人がいるのは、紫苑市に何か魅力があるわけじゃない。ここからつながってる玉虫市や山吹市へ行きたいから、だから住んでるだけ。人気なのは玉虫市や山吹市で、紫苑市はただそれにくっついている。あたしには、そんな風に思えて仕方がない。

「ラジオ塔の方がさっぱりしてるし役に立つし、サチコだってそう思うだろ? 他に何もねーんだし」

「まあ、そうだよね。ここ、ポケモンジムも無いし」

ケイはポケモンタワーなんか無い方がいいって言う。死んだポケモンをどうこうするより、生きてる人の役に立つ方がいい。たぶん、そういうことを言いたいんだろう。実のところあたしも、ケイとほとんど同じことを考えてる。正直、ポケモンタワーが無くなってよかった、そんな風にも思ってる。なんだかんだで、辛気臭くて嫌な雰囲気の場所だったし。

けど、ケイみたいに堂々と口に出して言うのは、さすがにちょっとできそうにない。死んだポケモンにこだわってる人だっているし、そういう人に目をつけられるのは面倒くさい。何かにこだわる人は、大抵面倒くさい。

何かを考えるのは自由で、そもそもそれを縛ることはできない。だけど、思ったことをそのまま口に出していいかは別の話になる。何か言ったら、他の人から「そうじゃない」と言われることも受け入れなきゃいけない。そういうことを言う人は決まって面倒くさい。面倒くさいので、最初から関わらないようにした方が何かとお得なのだ。

「だいたい、あの事件だってあったじゃん。ポケモンタワーから『詩音ちゃん』が飛び降りたやつ」

「ちょ、ちょっとケイっ、詩音ちゃんの話はしちゃダメだって。外で言わないようにって先生も言ってたじゃん」

「なんでだよ。そんなワケわかんねー指示に従う理由ねーよ。ま、あれか。事情知らねーヤツには『引っ越した』っつってごまかしてるからか。ホントは人ひとり死んでるってのに、それを隠そうなんてロクなもんじゃねーや」

「ケイったら、声が大きいよ」

「あれでずいぶんイメージ悪くなったし、ぶっ壊す理由もできてよかったんじゃねーの」

言いたいことをズバズバ言うケイを見ていると、危なっかしいなーと思うことも無きにしも非ずで。

「あれ? ネネは?」

とまあ、朝っぱらからカロリーを使うやりとりや考え事をぐだぐだやってると、いつの間にか学校のすぐ近くまで辿り着いていて、そして併せて、いつの間にかネネがいなくなっていることに気付いて。

ちょっとばかり周囲を探してみると、学校の敷地内にある砂場に目が留まって、あ、もしかして、ってなる。その「もしかして」は、しっかり当たっていた。

「よしよーし。いいこいいこ」

例によってスパッツ丸見えの無防備な姿勢でしゃがみ込んで、子供のカラカラを楽しそうになでているネネの姿があった。それにしても、ネネにスパッツを穿かせた凛さんはさすがだって思う。ネネはいくら言ってもあの座り方をやめないから、見えてもいいようにしておこうって寸法だろう。ネネ本人はカラカラと遊ぶのに夢中で、割とこう、はしたないことになっていることにちっとも気付いていない。

まあ、楽しそうならいいか――って訳にも行かなくて。

「おいこらねね子! なぁにやってんだ!」

お隣のケイがいきなりダッシュして、砂場にいるネネとカラカラのところまで追いついた。また始まった、ため息をつくあたし。この光景は、今日が初めてなんかじゃない。何回も何回も繰り返されてる、お定まりの光景だ。

「あ、ケイちゃん」

「『あ、ケイちゃん』じゃねーよ。いい年こいてカラカラなんかと遊んでたら、笑われんぞ」

屈んでいたネネの腕を引っ張って立たせて、ついでにカラカラを追い払う。

「ほら、向こう行け向こう。学校は野生のポケモン立入禁止だぞ」

「またねー」

「だから『またねー』じゃねーよ。お前何回言えば分かるんだっての」

ネネが抜けているのも、抜けているネネにツッコミを入れるケイも、まあいつもよく見る光景だ。ケイの言う通り、ネネは何回言ってもポケモン、特にカラカラと遊ぼうとするのをやめない。で、ケイはそれが嫌だから、何回でもネネに突っ込む。とまあ、こんな具合だ。

「ねね子さー、お前さー、なーんでカラカラなんかと遊ぶんだよ。やめろっつってるじゃん」

「だって、カラカラってお母さんいないし」

「ウチの質問の答えになってねーだろ。なんでカラカラに親がいなかったらねね子が遊ぶってことになんだよ」

「ネネが遊ぶと、よろこんでくれるし」

「あーもう、話になんねーって。ほらもう行くぞ」

理由になってない理由を並べるネネに呆れたのか、ケイがさっさと先に歩き始めた。ケイちゃん待ってー、と後を追うネネ。

じゃ、あたしも行くとするか。

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。