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#23 Ride on shooting star

これからどこへ行けばいいか、うちには分かっていた。あの『そらのはしら』に一番近い場所、側に寄り添うように立っている廃ビル、あの屋上だ! 決して高いとは言えない、たかだか五階建てかそこらの小さなビル。だけどあの場所には光が差し込んでる、『そらのはしら』から強い光が当たってる。あそこに何かあるに違いない、そこから陽介の所へ行ける気がする、いや、行けるはずだ!

光の当たるあの廃ビルまでかなり距離がある。けど、地理の感覚はなんとなくある。あの場所には見覚えがある、忘れようったって忘れられない場所だ。昨日みたいにうちが身を隠していた路地裏、「歌」に苛まれて意識を失ったあの路地裏を作ってるビルだ! なんとかしてあそこまで辿り着かなきゃいけない、辿り着いた後のことは知らない、後で考えりゃいいんだ、そんなことは!!

「行くぞ! ミナっ!!」

走ってついてきてくれるミナを励ます。太陽を浴びて力を得たミナはうちの走りにも遅れずについてきてくれてる、ここまではいい。けど、その内あいつらだってうちらに追い付いてくるはずだ。距離を稼ぐ手立てを考えないとまずい。応援を要請されたりしたら速攻で追い詰められかねない。

渡りに船とはこのこと。船っていうか自転車だけど。雨で乗り捨てられたっぽい自転車が転がってるのを見つけた。鍵は掛かってない、挿しっぱなしだ。もうこの際なりふり構ってられるか! ちょっと借りてくぞ! 自転車を蹴り上げてたたき起こすと、サニーとミナを倒れた衝撃でひん曲がった前かごに入ってもらう。窮屈だけどほんのちょっとの辛抱だ、動けよ動けよと念じてペダルを踏む、動いた! ちゃんと走れるぞ! これで差をつける!

自転車を全力で漕ぎまくる。経路は滅茶苦茶、最短とはとても思えない。だけど目指すべき場所は分かってる、スカイツリーよりも目立つあの馬鹿でかい『そらのはしら』、そこに寄り添うあの廃ビルだ。走れ、走れ、走れ! 足がオーバーヒートしそうなくらい力を入れてペダルを踏み込む、前へ出る、前へ出る、ひたすら前へ! もう何がどうなったって知るもんか、陽介のところへ、陽介のところへ行くんだ! この空の一番高い場所、陽介の待ってるあの『そらのはしら』の天辺へ!

まっすぐ、ただ真っ直ぐに進む。このまま直進すれば近道――ってところで、小さな石にタイヤが引っかかった。

「うわぁっ!?」

スピードを出し過ぎてたせいで思いっきり前へつんのめって、そのまま豪快にすっ転んだ。ガシャガシャガシャーってえげつない音を立てて自転車も転がってひしゃげる。フレームがぐちゃぐちゃだ、チェーンも外れてる。こいつはもう使い物にならない。痛みをこらえてなんとか立ち上がる、ミナとサニーもすり傷だらけだ。だけど! こんなところで立ち止まっちゃいられねえんだ! 陽介がいるところまで、行かなきゃならねえんだ!

すりむいた膝が痛い、打ち付けた腕に痣ができてる。傷だらけのひっでぇ有様、それでも前に進み続ける。それしか道がないから、もう後戻りはできないところまで来てるから。行かなきゃ、行かなきゃ、前へ進まなきゃ!

(ちくしょう、思うように体が動かねえ……!)

ミナとサニーを抱いてちゃ走るに走れねえ、けど二人とも絶対一緒に連れて行くんだ。サニーは陽介と一緒にいなきゃいけない、掛け替えのない友達だから。ミナだってそうだ、うちにずっと寄り添ってくれた大事な相棒だ。捨て置くなんて選択肢は真っ先に捨てた、何があってもずっと一緒だ、もう誰もうちから奪わせはしない、陽介だって取り返してやる! 珊瑚みたいに目の前で喪うのはもうたくさんだ! 絶対に、絶対に諦めねえぞ!

遠くからエンジン音が聞こえてくる、明らかにうちに近づいて来てる。局の野郎、応援を寄越しやがったか。車じゃなくてバイクを出してきたのはうちが小路に逃げることを見越してに違いない、つくづく腹が立つ、なんでうちの邪魔をするんだ。うちは……うちは、陽介の所へ行きたいだけだってのに!

もうこうなったらここで迎え撃ってやる、そう思って振り向いたうちが目にしたのは、目の当たりにしたのは。

 

「おーい、ハル子ぉ! ウチよ! 清音お姉さまのご登場よぉ!」

「……清姉!?」

 

うっそだろ。思わずそんな声が出た。清姉が、ヘルメットをかぶってゴーグルをかけた清姉が、ずっと前に写真で見せてくれた、愛車だっていうベスパとかいうバイクに乗って、ものすごいスピードでこっちに走ってきてる。清姉、なんでこんなところにいるんだ。いや、マジで分からない。けど、清姉がここにいるのはマジだ。幻覚でも妄想でもない、マジモンの清姉だ。

「清姉、なんでここに……!」

「説明はあと! 後ろに乗って!」

言われるまま乗って清姉の背中にしがみつく。ミナとサニーは清姉が持ってた予備のボールへ入れてもらった。渡されたヘルメットを夢中で被る。ぶっ飛ばすわよ、そう宣言するや否や、清姉がアクセルを全開にして前へ走り出した。とんでもないスピードだ、絶対に道路交通法とかに違反してる。だけどこのスピードなら局の連中を捲ける、陽介のところにだって早くたどり着ける、いいことづくめだ。法律なんてもう気にしてられっか!

「ここにいるんじゃないかって流してたら、大当たりだったわ」

「清姉! うちが居た場所なんで分かったんだ!?」

「勘よ勘! 女の勘ってやつ!」

「マジか、勘って……」

「……ちゃんというとね、夢で見たのよ! ハル子がこの辺りを傷だらけで走ってる夢を!」

清姉は夢を見た。うちがこの辺りを走ってるって夢を。それを信じてここまで来たっていうなら、清姉は相当のお人好しだ。お人好しの清姉のおかげで、うちは今目的地へ向かうことが出来てるんだ。

「ハル子、行先は!? どっか行こうとしてるんでしょ!? ウチにはね、ぜーんぶお見通しなんだから!」

「あの光の柱、清姉にも見えるだろ! その隣のビルまで連れてってくれ!」

「おっけぇぇぇい! んじゃもーっとかっ飛ばすわ、しっかり捕まってて!! いよっしゃぁ! いっただきーっ、マンモースっ!!」

清姉がギアを上げた。一段とスピードが上がる。両腕で掴まってないと振り落とされそうなくらいの速度で、人気のない道を駆け抜けていく。

「あの後ね、ずーっと自分に言い聞かせてたの。ウチには仕事があるんだ、義姉さんだっているんだ、家もあるんだ、だからしょうがない、って」

「でも本音には逆らえなかった! ハル子と陽介くんと最後までこの夏を過ごすんだって、そのでっかい本音にはね!」

叫ぶ清姉の言葉ひとつひとつが胸に沁みる。本当に、本当にお節介を焼くのが好きな人だ。ここまで来ると、立派過ぎるくらいの最高のお節介焼きだ。

「あのくそ雨、ムロに降ったあの最悪の雨と同じなんでしょ!? 馬鹿でかい化物が降らせまくって、うちの兄貴を連れてったあの雨と!!」

「それでさ、夢で見たのよ! 陽介くんがお願いして、あのくそ雨を止める姿を! やめろって言っても聞かなくて、朝起きたら涙が溢れてた!」

「起きてから窓を開けたらこの青空! この晴れ! あれは夢なんかじゃなかったんだって、分かったのよ! 膝から崩れ落ちたわ!」

「その時決めたわ、もう大人ぶるのは辞める! 感情に全部任せる、先のことなんてもうどうでもいい、ハル子と陽介を助けるんだって!」

「だいたいねぇ、ウチが常識に慮ってこそこそ隠れてるってのがねぇ、らしくなさすぎたのよ! 歳とったせいで気付くの遅れたわ!」

「ちょっと前までイキって好き放題やってたくせに、今更何常識人ぶってんのって! ほんとウチらしくもない!」

「ウチはもう逃げない! やりたいことやるだけ! 兄貴みたいに陽介くんにも会えなくなる、んなもんまっぴらごめんよ! くそ食らえだわ!」

障害物をすり抜けて、前を走る車を追い越して、清姉はぶっ飛ばす。ひたすらにぶっ飛ばす。

「ねえ、瑠璃!」

「今行こうとしてるトコ、そこに陽介くんがいるんでしょ!? だったら絶対連れ戻してきて!」

「ウチはあんたを信じてる! あんたならやれるって信じてる、あんたに賭けてるから!」

「陽介を連れ戻して来たら、ウチがとっておきの料理をごちそうするわ! 食べきれないくらいのね!」

「いい酒だってバッチリ冷やしてあるわ。一緒に開けて朝までどんちゃん騒ぎよ!」

「だから瑠璃! 陽介を連れ戻してきて! 約束して!」

ああ、約束する。約束するよ、清姉。

絶対に陽介を連れ戻す、陽介を取り返すって。

 

ベスパでぶっ飛ばし続けて目的地まで一直線、って行けば完璧だったんだけど、残念ながらそう上手くはいかなかった。

「清姉見てくれ、前が……」

「ちっ、昨日のバカみたいな天気のせいで、池みたいな水たまりができてるわ」

ブレーキをかけて止まる。窪んだところに水が溜まりに溜まって、ちょっとした池のようになっちまってる。ここを駆け抜けるのは無理だ。見回してみても回り道も見当たらない。これ以上バイクで進むのは無理だ、別の手を考えなきゃいけない。手というか足を。

清姉がベスパからスッと降りる。スタンドを立てて近場に停めると、ベルトに手をやった。

「地上がダメなら空から。でしょ?」

「清姉、もしかして……」

「そのもしかして、ってヤツよ! 出てきて! ティアット!」

放り投げたボールから飛び出すティアット。シュッと灼けた道路に降り立つ。うちと清姉に背中を向けて、その大きな翼をバッと広げる。

「知ってる? この子ね、地元じゃ『空のタクシー』って言われて、人を乗せる仕事をしてるのよん」

「それじゃあ、うちらを載せて……!」

「ご明察! さあ乗って乗って! 先を急ぐわよ!」

ティアットの背中に乗り込む、清姉も一緒だ。二人を載せてもティアットはちっとも動じない。黒く光る翼で風を捉えて、垂直に飛び上がった。目標はしっかり捉えてる、あの光の柱、それに寄り添う廃ビルだ。高度を十分に得てから、ティアットが大きく前進する。清姉の後ろに乗せてもらってたときよりも強い風が頬を撫でていく、撫でるっていうか引っ掻いていくような感じだ。背中にしっかり掴まる。羽の一つ一つがエアームドのそれみたいな鋼でできてて、その硬さが心強かった。

文字通り風を切って飛ぶティアット。ひゅんひゅんと空を駆け抜けていく。いける、このままあのビルの屋上まで! うちがそう確信した直後、そうは問屋が卸さないとばかりに、横やりが入って来た。

「飛行中の対象#143796-2を発見! 制圧します!」

「案件管理局だ!」

「来たわねお邪魔虫! ティアット、追い払うわよ!」

飛行タイプのポケモンに乗り込んだ局員たちが、うちと清姉、それからティアットを見つけて襲い掛かって来やがった。向こうからしたら、空からうちを探してたらその空に突然現れた、って感じだろう。どっちにしろ厄介だ、なんとかしねえとまずい。けどティアットの上じゃ、ミナもサニーも外へ出すわけには行かない。心苦しいけど、清姉とティアットに頼るしかない。

「ビビヨン! 対象を捕らえろ!」

大きなファイアローに乗り込んだ局員が、隣に帯同させていたビビヨンに指示を飛ばす。ビビヨンが口から勢いよく白い粘液を吐き出す。あれは――「いとをはく」だ! これを食らっちゃまずい、まともに飛べなくなるぞ! こんな感じでうちは焦ってたけど、当の清姉は清姉は涼しい顔だ。どうなってやがるんだ。

「どーやら、この子に関する知識はあんまり無いみたいねぇ。儲かっちゃったわ!」

次の瞬間、吐き出された糸が「鏡」のようなヴィジョンにぶつかって、そのまま跳ね返されるのが見えた。なんだありゃ!? ミラーコートの親戚か何かか!? 糸は吐き出したビビヨンに直撃して、まともに飛べなくなったビビヨンが墜落していく。跳ね返された局員は面食らって驚いてたけど、落ちていくビビヨンを追いかけて急降下していった。隙ができた、先を急ごう!

「ティアットにはね、『ミラーアーマー』って名前の特性があるの。能力を下げようって姑息な技なんかは、ぜーんぶそっくりそのまま跳ね返しちゃうわけ!」

聞いたことのない特性だ。けど、目の前で起きたことと一致する。通りで「いとをはく」が通じないわけだ!

高速で飛ぶティアットのおかげで、廃ビルがもう目の前に見えて来た。このまま屋上へ滑り込んで、陽介のところまで一直線――

「今だジバコイル! 『ロックオン』!」

「ええっ!?」

「あいつ――佐藤っ!!」

ビル屋上のひとつ下の階、そこで佐藤が他の局員と一緒に待ち伏せていて、隣にいたジバコイルに指示を飛ばす。「ロックオン」で対象を捕捉してからどうするか、うちにもそれくらいの知識はある。知識があるからこそ次の一手が見えて、その一手がこの上なく厄介なものだと理解できて。

「『でんじほう』!」

ジバコイルの目が光ったかと思うと、圧縮された高電圧弾が恐ろしい速さですっ飛んできた。回避する余裕なんてない、ティアットに直撃だ。この一撃が致命傷になった、ティアットが佐藤のいる階へと墜落していく。割れた窓ガラスをさらに粉砕して、うちと清姉を乗せたまま中へ倒れ込んだ。うちも清姉も割れたガラスであちこち切りつけられて切り傷だらけ、血もちらほら滲んでる。満身創痍だ。

「ポイント#143796-2にて対象#143796-2とその協力者を確保。近隣の封鎖を要請する。以上」

佐藤がこちらに迫ってくる。うちがなんとか立ち上がって、清姉もふらつきながら立ち上がる。けど、そこを局員たちに取り押さえられた。うちと清姉を一人ずつで。暴れても暴れても無駄で、ちっとも手を緩める気配がない。それだけじゃない、うちらの周りを佐藤と手下の局員たちが取り囲んでる。この状況じゃ、もうさっきみたいな奇襲は通用しない。佐藤もジバコイルを出したまま警戒を解いてない。ティアットは息はあるけどボロボロでもう戦えないくらいダメージを負ってる。あと少し、あと少しで陽介の所へ行けるのに! 陽介が空で待ってるってのに!

「やめろっ! くそがっ! 離しやがれ!」

「残念だけど……ここまでみたいね、ウチは」

清姉が項垂れてる。万策尽きた、そんな顔してる。だけどうちはまだ諦めない、諦めたくない。傷だらけのズタボロの血まみれになっても、どうやってもここを切り抜けて陽介のところまで行ってやる! 行ってやるんだ!

「これ以上の抵抗はやめなさい。後は我々に対応を委ねてください!」

「嫌だ! 絶対に! 陽介が空で待ってるんだ! 陽介が!」

「……どうしても指示に従わないのならば、貴女をここで制圧するほかありません。春原さん――いや、対象#143796-2!」

ジバコイルが磁石を回転させてエネルギーをチャージしているのが見える。一発でも貰えばもうそこで終わりだ。でも、終わりは認められない。認められるわけがない。押さえ込まれて動けないのが歯がゆくて、悔しくて、必死に暴れても逃げられない。なんでだよ、なんで邪魔をするんだ。

なんで――なんで、陽介の所へ行かせてくれねえんだ!

「うちは、うちは、うちは――!」

どうして陽介の所へ行かせてくれねえんだ!

「行くんだっ! あの空の向こうに……! 陽介のいる空の向こうに!! 絶対にっ!!」

「諦めてください。貴女はもう……」

「なんでだよ! あんただって大切な人を殺されたんだろ!? 今も空にいる、あのバケモノに!!」

「……!」

佐藤の目が見開かれて、その色が大きく変わるのが見えた。

「空にいるバケモンを! ムロとここに大雨降らせたあいつをぶっ殺して!」

「陽介を助けるんだ! 陽介を空から連れ戻すんだ!」

「あんただって、あんただってあの雨はもう二度と降らせたくねえんだろ!? だったらなんで……なんでうちの邪魔するんだよ!!」

 

「陽介のところに、行かせてくれよ!!」

 

うちが声の限りに叫んだ、次の瞬間だった。

「これは……! サニーっ! ミナっ!」

「うきゅうぅっ!」

「うわっ!?」

サニーとミナがボールから飛び出してきて、ミナがうちを捕まえてた局員に飛び掛かって強烈な電撃を浴びせた。その隙にうちが手から抜け出る。今だ!

「ジバコイル!」

佐藤がジバコイルを差し向けて来た。けどその隣で、サニーが力を蓄えていて。

「やってやれ……! サニー! 『だいちのちから』だ!!」

「しまった! ジバコイル! 『でんじ……」

「くたばりやがれぇーっ!!」

サニーが繰り出した「だいちのちから」がジバコイルを捉えて、ものすごい勢いでぶっ飛ばす。しばらくは立てなさそうだ。周りの局員たちが一斉にポケモンを繰り出す、揃いも揃ってうちを取り押さえるつもりだ。五人、六人……半端な数じゃない、ちきしょうが!

「……兄貴! ウチに力を貸して!!」

後ろから声が聞こえた。清姉、清姉だ。腰に付けていたもう一つのモンスターボールを取り外すと、力の限り前へぶん投げた。

「ハイドロっ! 『だくりゅう』っ! やつら全員、こっから追い出して!」

着弾した先に現れたのはラグラージ、ぬまうおポケモン・ミズゴロウの最終進化形だ。現れると同時に大きな咆哮を上げると、後ろから濁った水流、文字通りの「だくりゅう」が押し寄せて来た。追っ手を倒して付いてきたミナとサニーを伴って、濁流に巻き込まれる前に一気に駆け抜ける。当たって砕けろ! うちにはもうそれしかない! 局員を押しのけ、立ち塞がろうとしたマッスグマをぶっ飛ばして、奥に見える非常階段へ足を掛ける。局員とポケモンたちが濁流に脚を取られるのが見えた、今がチャンスだ!

「行って! 瑠璃! お願い! 止まっちゃダメ!!」

「あいつを! ムロに大雨を降らせたあのバケモノを、ぶっ殺して!」

「雨の中死んでいった兄貴の無念を……晴らしてよ!!」

清姉に背中を押されて、止まることなく階段を駆けあがる。もう背中は振り返らない。振り返ってる時間はもうどこにも無い。前へ進むしかねえんだ、ただ前へ!

ぶっ殺してやる、絶対にぶっ殺してやる! くそ怪物め、絶対にぶっ殺してやる!

絶対に、絶対にだ!!

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。

※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。