ラプラスは力強く水をかきわけて、沖に漂うフィオネたちの群れ目掛けて突き進んでく。おれなんかよりもずっと速くて、人と海獣の違いってやつを思い知らされる。小鳥遊の言った「海獣の力を借りればいい」ってのも道理だ、おれひとりじゃこんなところまで来られるわけない。泳ぐのは得意だって思ってるけどおれはやっぱり人間で、海じゃ思うようには動けない。だからこそ、身ひとつで当たり前みたいに泳いで来られる一海が特別なんだって思わされる。
甲羅にしっかり掴まりながら、おれは前に座る小鳥遊を見る。視線を感じたのかな、小鳥遊がチラッとこっちを振り返った。
「槇村、水瀬さんのところへ行ってどうするつもりなんだ」
「おれも海に入る。一海と話をするんだ」
「海の中じゃ声は聞こえないぞ」
「声が聞こえなくたって、おれが側にいるってことは伝えられる。おれは諦めたくない」
諦めたくない、おれの本心、心の底からそう思ってる。おれが口に出してそう言ったら、小鳥遊は黙り込んだ。何も言えない、って感じじゃないな。聞きたい言葉が聞けた、だからこれ以上何か言わなくてもいい、そんな風に見える。多分、小鳥遊は確かめたかったんだと思う。おれが本気で一海のところへ行こうとしてるのか、一海を連れ戻そうとしてるのかってことを。
間違いない。おれは本気だ。
「……訊かなくてもよかったな。槇村、お前はそういうやつだった」
「しばらく話してなかったもんな。おれのこと忘れてたっておかしくない」
「そんなことねえよ。けど、あれからもう一年くらいになるのか」
ペリドットで会った時のことで間違いない。夏の終わり頃、小鳥遊から一海と昔あったことを聞かされたやつだ。お互い全然関わりがなかったのを思い出す。おれは小鳥遊の顔を見るまで名前まで忘れかけてたけど、小鳥遊はどうだったんだろう。そんな感じじゃないな、おれと一海のこと結構考えてたんじゃないかって思う。おれと自分の違いとか、一海に対する気持ちとか、そういうのが頭ん中でぐるぐるしてた、きっとそうだ。
それこそ、ちょっと前のおれがいろんなこと考えて頭でっかちになって、同じとこを延々ずっとぐるぐる回り続けてたから。
「夏休みの頭くらいかな、出海さんから声を掛けられたんだ」
「どうやって調べたのか分かんないけど電話かかってきて、水瀬さんのことで話がしたいって」
「会って直接話したいって言われてさ、ペリドットで顔合わせたってわけ」
「そこで……お前と会ったときみたいに昔何があったか話して、今は後悔してるってことも伝えた」
「水瀬さんとは、もう全然関わりがないこともな」
前を向いたまま話す小鳥遊の声が少し――ほんの少しだけ震えてたのは、きっと聞き間違えとか思い込みとかなんかじゃない。マジだって今なら思う。
「出海さんから水瀬さんのことも聞かされた。槇村と付き合ってるとか、人とポケモンの間に生まれたとか……その辺りは大体知ってたけど」
「一海の父親が誰なのか知ってたのか」
「知ってた、知り合いから聞かされたんだ。だから小さい頃は喋れなかったんだって」
「おれもさっき出海さんから聞いた」
「なるほどな。それで、今すげえ危ない状態だってことも聞かされた」
「うん」
「これから一海に何があるかわからない、俺に何か頼むかも知れない。言われたときは実感なかったけど、こういうことだったんだな」
静かに群れへ近づいてくれ、小鳥遊がラプラスに指示を飛ばす。「こういうことだったんだな」、小鳥遊の言葉に知らない間に頷いてた。そういうことなんだよな。
「槇村、出海さんになんて言ったんだ? 俺が会った時の出海さん、お前と水瀬さんを別れさせるつもりだってハッキリ言ってたから」
「『おれは一海の傍に居たい』、それだけ」
「それだけ、か」
「出海さんが別れさせようとしてたってのは分かる。涌井におれの生まれの話をさせたりしたのもさ、それが目的だったって言われたし」
「だけど、槇村は水瀬さんが好きだって気持ちは変わらなかった」
「何も変わらねえよ。立ちふさがるのがおれの親だろうが出海さんだろうが、おれはぶつかってくだけだし」
「ああ、槇村らしいわ、ほんとに槇村だわ」
そうだよ、おれはおれだ。おれがどういう生まれで誰の子だろうと、結局おれはおれなんだ。
「分かってたんだろうな、出海さん。水瀬さんを助けられるのは槇村しかいないってことが」
「俺に話をしたのは、槇村だけじゃできないこともあるって分かってたんだ」
「水瀬さんが槇村の手が届かないところまで行っちまったとしても、別の誰かが傍まで連れて行ってやれればいい」
「だから俺、決めたんだよ。いざとなったら槇村をラプラスに乗せるんだって」
前にいる小鳥遊の顔は見えない、だから今どんな表情をしてるのかは分からない。分からないけど、背中が全部教えてくれてる、一から十まで余すところなく。どんな思いでおれをラプラスに乗せてるのか、今何を考えてるのか。おれは小鳥遊じゃないのに、小鳥遊になったような気分で理解できる。理解できるっていうか、理解しちまうっていうか。
おれもいろいろあって辛かったけど――小鳥遊は小鳥遊でまた辛かったんだろうな。それだけは間違いない。
「槇村、俺の話を聞いてくれ。あんまり面白いことじゃねえけどさ、今話さなかったら一生言えねえ気がするんだ」
「水瀬さんに暴力を振るってたのは事実だ。今さらそれを隠す気もないし、許されるなんて尚更思ってない」
「俺が水瀬さんの隣にいるなんてできっこない、そんなこと分かり切ってる」
小鳥遊に向けてひとつの問いかけが浮かぶ。キツい中身かも知れない、古傷を抉るようなもんだと思う、ましてやおれの口から言うもんじゃないだろって。だけど今の小鳥遊は昔のこと全部にけじめを付けようとしてる。だったら、手荒くても手を貸した方が小鳥遊にはいいんじゃないか。
「小鳥遊は一海の隣に居たかったんだよな」
「ああ、その通りだ」
「だけどさ、それがどうしてだってのかはまだ聞いてない」
「……なんだろうな、一目見て心動かされたって言えばいいのかな。側にいたいって気持ちがワッと湧いてきて」
「一目惚れってやつか」
「分かりやすく言うならそうだな」
惚れるのに理由なんか要らない、それもそうかもな。おれもどうして一海のことを好きになったかなんて、ちゃんと説明できる気がしない。気付いたら好きになってた、気付いたら一海しか見えなくなってた。
そういうもんだ、誰かが誰かを好きになるってのは。
「気持ち悪いこと言うんだけどさ」
「うん」
「水瀬さんのことを守りたいとか、そういう気持ちがあったのかも知れない」
「一海が喋れなかったりしたから?」
「そう、きっとそう。ハッキリとは思い出せないけど、水瀬さんを見て『何かしなきゃ』って気持ちに駆られたことだけは覚えてる」
繰り返すけど、おれは小鳥遊じゃない。だけど「一海を好きになった」ってことは同じだ。だから小鳥遊が何を感じたのかが伝わってくる。たぶん、小鳥遊もそれを理解しておれに話してるんだ、自分のありのままの気持ちを飾らない言葉を使って。それでもおれには全部伝わるってあいつも分かってる。おれも小鳥遊も、一海を好きになったってのは同じだから。
「だけど、どうにもならなかった。俺は水瀬さんに拒絶されたんだ」
「止めてくれって意思表示されたわけじゃない、手で払いのけられたとかでもない、ましてや直接口で言われたとかでもない」
「ただ困ったような曖昧な笑みを浮かべて、俺が近付いたのと同じ分だけ離れてく」
「近付こうとすればするほど、水瀬さんはハッキリと距離を置いていくんだ」
「それは俺に対してだけじゃない、ほとんどのやつに同じように接してた」
「四条みたいに本当に心を許した人以外には、誰に対しても分け隔てなく壁を作ってた」
「俺は周りにいたその他大勢と同じように、水瀬さんが作った壁の向こうに行けなかった」
「行けなかったんだ、俺には」
ここには小鳥遊とおれしかいない。こんな話、きっと他の誰にだってしたことないはず。小鳥遊は自分と向き合うためにおれに言わなきゃいけない、きっとそう思ってる。だったらおれはどうするべき? 一つ残らず全部聞いて、心に刻んで消えないようにするしかねえよな。
「どうにもならなくて、けど水瀬さんが好きだって気持ちだけは消せなくて、心ん中で腐ってった」
「腐った気持ちを吐き出したかったんだろうな、今だったらそう思う」
「だから水瀬さんに手を上げた。カラダを痛め付けて、ココロを傷付けて、ひどい目に遭わせた」
「憎まれたって構わない、どんな形でもいいから水瀬さんの心に残りたかった。俺を憶えておいてほしかった」
「俺は馬鹿だ。本当に馬鹿なことをしたとしか言えない」
「どうしようもない、底抜けの大馬鹿野郎なんだ」
自嘲的、って言葉はきっとこういう時に使うんだろうな。今ちょうど小鳥遊がおれに話してる口ぶりみたいなやつ。小鳥遊は波の音に負けないように大きな声を上げて、喉が嗄れるのも構わず話し続けてる。辛そう、マジで辛そう、それは間違いない。だけど声には張りがあってさ、躊躇いとか気後れとか、そういう引っかかりはちっともない。誰にも言えずに心の中でグルグル延々渦を巻いてた赤黒い感情が、今やっと外に出ていけたって感じだ。
「結局さ、俺が水瀬さんの心に入り込む余地なんて無かったんだ。そこにはもうお前がいたからな」
一海がおれのことを昔から知ってたっぽいのはなんとなく気付いてた。けど、おれはどうしても一海との接点を思い出せない。いつ一海と出会ったんだろう? 一海はどこでおれを知ったんだろう? 一海に訊こう聞こうって思ってたのに、思ってるだけで結局行動は起こせなかった。この話ぶりだとさ、小鳥遊は何か知ってるみたいだ。それでいて、まだ知らないおれに一海がおれをどうやって知ったのかを話そうとしてるようにも見える。
「なあ、お前にこんなこと訊くのもおかしいけどさ」
「水瀬さんがどうして槇村のことを知ったのか、だよな?」
「えっ」
「やっぱ図星か。水瀬さんに訊こうと思ってたけど、それより今水瀬さんと一緒にいるのが楽しくて後回しになってた。どうせそんなとこだろ」
「そうだよ、全部その通り。おれ一海の彼氏だってのにさ、まだ一海がおれのことをいつどこで知ったのか分からねえんだ」
「ああ、槇村らしいや。いいさ、構わない。俺から話してやる」
一海から筆談で直接知らされたことだけど、小鳥遊はそう前置きをした。今から話すことは小鳥遊の考えとか思い込みとかじゃなくて、あくまで一海が自分の言葉で小鳥遊に伝えたものだってことみたいだ。ごくりとつばを飲み込む。一海はおれのことをどこで知ったんだろう、どうしておれのことを好きになったんだろう。そーいう大事な話を今になって、しかも一海からじゃなくて小鳥遊から聞いてるってのが、さっき言われた通りなんか「おれらしい」なっておれ自身も思う。
「憶えてるか? お前が小四の頃にさ、ジムで水泳の大会あっただろ」
「あれか、強化選手の選抜試験兼ねたやつ」
「それだよ。あん時さ、お前二位だっただろ」
「そうだった。おれより速い女子がいたんだ。あとちょっとだったけどさ、そいつの方が速く泳ぎ切ったんだ」
「それは合ってるな、俺の記憶とも一致してる。けど――槇村」
「なんだ」
「お前を負かした『そいつ』が誰だったかは憶えてないだろ」
あっ、と声が出た。言われてみたら確かにそうだ。おれが水泳で負けて二位だったってことは憶えてる、おれより先にゴールするのが見えた、これもしっかり記憶してる。だけど肝心のそいつが誰だったのか、どんなやつだったのかは全然思い出せない。別に嫌だから思い出したくないわけじゃない、そういうのじゃない。おれが速さで負けたのは事実で、それはどうやっても変えられないことだ。負けを受け入れられないほどおれだってバカじゃない。ホントにただ思い出せなくてさ、まるっきり記憶の引き出しに残ってない感じ。おれより速く泳げるやつがいた、自分よりずっと輝いて見える誰かがいた。おれはただそれだけ憶えときゃいいって、その時はきっとそう思ってたんだ。
翻って今だ。小鳥遊からこんな時にこんな話をされるってことは、それなり以上の重たい意味があるに違いなくて。
「目いっぱい引っ張ったんだからさ、もう分かるだろ? そいつが『誰』だったのか」
「分かる。他の誰でもない、間違えるはずなんかない」
「言ってみな。答え合わせをしてやるよ」
「……一海。あの時おれに勝った女子は、一海だったんだ」
一海、一海。名前を口にした途端、今まで奥の方で眠ってた記憶が一気に蘇ってくる。脳みそが炭酸水のプールに入れられて、中と外でパチパチ弾けて音を立ててるみたいだ。気にも留めずに忘れてた風景、顧みられることすらなかった言葉、だけどいつまでも消えることなく、ずっとおれの中に残り続けてた記憶。
100メートルを泳ぎ切って、水面から顔を出す。右のレーンで泳いでた女子が、ほんの少しだけ先に顔を上げてるのが見えた。あいつ、すっげえ速えな。同い年の連中だったら負ける気なんてしなかったのに、こんなやつが榁にいたなんて思わなかった。信じられねえって気持ちと、負けちまったって悔しさ、だけどそういうのを上回るくらい「すごい」って感情が湧いてくる。おれより泳ぐのがうまいやつがいたんだ、それが分かっただけで無性にわくわくして、声を掛けたいって気分になった。
プールサイドを歩いて、選手が待機するベンチに座る。あの女子の隣には誰もいない、だったらおれが座ったって構わないよな。改めて姿をじっくり見てみた。シュっとした体形のちょっと背が高い女子だ。おれの知ってる女子って言ったらユカリだけど、あいつとは全然雰囲気が違う。もっとオトナっぽいっていうか、落ち着いた感じの子だ。ユカリ基準で考えるのどうなんだろって思うけど、関わりのある女子なんてユカリくらいだし。座って少し俯いてるあの女子に、おれは思い切って声を掛けた。
「あのさ」
「……?」
「さっきおれと泳いだよな」
女子は驚いたように目を丸くしてる。なんだろう、不思議な雰囲気だ。泳ぐのが得意な女子にいがちな勝気な感じじゃない、むしろすっげえ大人しくて、おれより速く泳いだってのが信じられないような見た目してる。けど間違えるはずなんかない。顔を上げた瞬間の活き活きした表情、誰にも負けないんだって強い意志は確かにこの顔から発されてた。だからおれは構わず続ける。
「おれ、同い年のやつには絶対負けねーって思ってた。誰よりも速く泳げるって思ってた」
「けど……お前、おれより速く泳いでたよな。見てみろよ、今一等賞だぞ」
おれの言いたいこと、上手く伝わってるかな。なんか怖がってる風に見えるし、ひょっとしておれがインネン付けてるって思われてるのかも。うーん、そうじゃねえんだけどな。おれが前に出すぎなのかな、けどこんなすごいやつを前にして落ち着いてるって方が難しい、難しいよな。とにかくおれの気持ちに素直になって正直になって、おれの気持ちが伝わるまでしっかり言うしかねえ。
「ちょっと悔しいけど……だけど、でも」
「おれ、お前のことすごいって思ったんだ。こんなやついたんだ、しかも女子に、って」
「榁でおれより速いやつに会えるなんて思ってなかった。だからおれ、今すっげーうれしいんだ」
隣の女の子はさらに目を丸くして、おれの言葉をじっと聞いてる。空気が変わった気がした。おれのこと怖がってるとか嫌がってるって風じゃなくなった。今ならいける、おれの伝えたいこと、目の前にいる子にちゃんと伝わるはずだ。初対面なのにこんなに喋ったの初めてだけど、でも伝えずにはいられない。ここで伝えなきゃ一生伝わらないかも、そう思えて仕方なかったから。
「絶対いい選手になれるって、おれも応援してえよ」
「それでさ、有名になった後にさ、おれみんなに自慢するんだ」
「おれあいつと競り合ったことあるんだぜ、もうちょっとで勝てたんだぜ、って」
瞳がきらきら煌めいてるのが見える。あっ、これ喜んでるんだ。人の気持ちを読み取るのはそんな得意じゃないけど、今の女の子の顔はうれしそうだ。本当に、心からうれしそうな顔してる。それを見てるおれの方までうれしくなってきそうないい顔だ。
「おれ、お前に会えてすっげーうれしいからさ!
「おれももっと練習して、もっと速くなるから」
「だから――また、おれと競争しようぜ!」
お前に会えてうれしい、また競争しよう。おれは確かにそう言った。
そう言われた女の子の表情は、女の子がどんな顔をしてたかは――。
「――おれ、あの時一海と話したんだ。競技が終わってすぐ、隣に並んだときに」
「何を話したかも憶えてるか?」
「憶えてる。全部思い出した」
「その時なんて言ったのか、教えてくれないか」
「一海を見て、おれ、すごい速かった、絶対すげえ選手になれる、また競争しよう……って」
また競争しようって、おれが言ったんだ。一海があの時プールに来て「競争しよう」って言ってきたのはどうしてか。今だったら分かる、あの時のおれの言葉を憶えてたから。おれがすっかり忘れてた「競争しよう」って約束、一海はずっと憶えててくれたんだ。
「槇村はさ、水瀬さんにとって初めての存在だったんだよ」
「自分をありのまま、そのまま受け入れて、いいところをいいって言ってくれる」
「全力でぶつかってきて、勝負に負けても『すごい選手になれる』『また競争しよう』って返してくれる」
「水瀬さんにはどう見えたと思う? お前に分からないはずなんて無いよな」
分からないはずなんてない。一海にとってのおれを言い表せるたった一つだけの言葉が、無意識のまま口から出てて。
「――『光』」
光。おれは一海にとっての「光」だった。
「お前はさ、『光』だったんだよ。真っ暗な宙できらきら光る、水瀬さんにとっての『煌めき星』だったんだ」
闇の中でも自分を見失わない、きらきら光る煌めき星。おれにとっての煌めき星は一海で、一海にとっての煌めき星はおれだった。一海が誰もいない闇の中でおれを見つけたみたいに、おれも真っ暗な中で一海を見つけた。おれは一海が、一海はおれがいるって分かって、この世界で生きていくんだって気持ちになれた。
「水瀬さんは……一海は光をなくして、真っ暗な海へ消えていこうとしてる」
「今にも消えそうな一海を照らせるのは、見つけられるのは、お前だけなんだ」
「一海がお前の中で光るのは、透、お前に見つけてほしいからなんだ」
「最後の煌めきを見逃さないでくれ、どうか一海を見つけてやってくれ」
見つけてみせる、見逃したりするもんか。
絶対に、見つけてやるんだ。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。